【今日の授業】経済分析 Measuring Outcome2

Lecture 6 Valuing health outcomes:non-monetary values

先週の授業に引き続き、健康のOutcomeをいかに測定するかという講義の二回目です。前回も今回も、Outcomeをお金に換算して測定する方法ではない方法に関するものです。

今日は先週出てきたEQ5DやHUI2などの、genericな方法ではなく、健康状態に特化して患者が評価するという方法について触れられました。

一つめは、Visual Analogue Scaleという手法で、死亡から完全な健康までを直線上の両端において、その直線に等間隔の目盛りを振って、患者さんが今自分の健康状態は直線上のどのあたりなのか示してもらうというものです。

次に紹介されたのは、Standard Gambleというもので、ある治療によって完全に治る確率がp、死んでしまう確率が(1−p)あるとして、今の病状を考えて、どの程度のpの確率だったら治療を受けるか判断してもらうというもので、これによってそのpの値が現状の状態を表すことになります。(例えば、現在の病状がmildであれば、pが限りなく1に近くないと治療は受けないが、病状がsevereであれば、pの確率が低くても治療に踏み切る、というような形でpが決まります)ただし、治療による死亡をとってしまうと、mildな病状の患者は1もしくは限りなく1に近い数字しか選ばないので、死亡ではなく病状の悪化の確率を(1−p)とする方法もあるようです。

次はTime Trade-off。これは、現在の病状でT年いるのは、完全に健康な状態でいる何年に相当するのかを聞くものです。

最後に紹介されたのがPerson Trade-off。これはあるInterventionをすることで例えば1000人の人が完全な健康状態で1年生きることができるのに比較して、別のInterventionによって、ある病状のまま1年生きることができる場合にそれが何人であれば、前者と同じ価値を持つのかというものです。これによって、ある病状が病状毎にratingされます。

では、どの手法が好まれるのか。Economistは、患者がTrade-offで選択する手法(上で言うとVAS以外)を好むとのこと。これはTrade-offを強いることでより正確になるからです。ただしVASは患者に説明する手間も少ないという利点もある反面、適切なIntervalをもった目盛りをどうやってつくるのかについて疑問があります。

いずれにせよ、どの手法もBiasを免れ得ません。

Standard Gambleは、回答者のリスクへの許容範囲によって同じ病状でも数値が変わる可能性があります。同様にTime Trade-offは、時間への価値観によって同様に変わってしまいます。Pearson Trade-offは、個人を見ていない分だけ、健康状態そのもの以外の要素に左右されますが、逆に社会としての意志決定を表すことができるメリットがあるという人もいるとのこと。

いずれにせよ、一つの完全な測定法はないということだと思います。明日のセミナーでは、これまでの測定法のうち、QALYとDALYを取り上げて、どちらが優れた測定法なのかディベイトをする予定で、我々のグループが議論をリードする役を割り振られています。5人のグループですが、私と同じコースの人が途上国関係ということでDALYを推進する派、他の二人がQALYを推進する派ということで、それぞれ準備を進めています。

DALYについては、以前、Diseases Control Priorityを使って勉強したことがあって、疾患や対策毎にDALYあたりの費用対効果を表すことができることは知っていたのですが、求め方などを授業で取り上げてないので、少し詳しく調べることができて参考になりました。(偶然ですが、先週、日本人で唯一DCP執筆者となっていらっしゃる方がロンドンに来られて昼食を食べる機会がありました。この話はあまりできなかったのですが、いろいろとお話を伺えて参考になりました。ツイてます。)

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