【シャーロック】遺体に鞭打つシャーロック、棒で叩いてまわるホームズ

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「ピンク色の研究」より

(C)Colin Hutton(C)Hartswood Films 2010 John Rogers(C)Hartswood Films 2010


BBCドラマ「シャーロック」を見てシャーロック・ホームズに興味を持った人のためのシャーロッキアン講座。 これまではジョンのことを書いてきましたが、ようやくシャーロックが登場します。 ネタバレも多少ありますのでご注意ください。

 

遺体を乗馬ムチで叩くシャーロック

スタンフォードがジョンとこんな会話をします。

「ルームシェアをすれば?」

「誰が僕なんかと」

「何だ」

「同じ事を言った男が」

「誰だい」そして画面が切り替わり、遺体袋のチャックを開くシャーロックの顔が(遺体袋の中からの視点で)映し出されます。

この会話から、ジョンと同じように自分とルームシェアしてくれる人がいないだろうと自覚している人物(シャーロックですね)、つまり同居人としては難のあるであろうことが示唆されています。

そして次のシーンでどれほど変な人間なのかというエピソードに続くわけです。

遺体を見たシャーロックはモリーとこんな会話をします。

「鮮度は?」

「来たばかり」

「67歳 老衰 ここで働いていた いい人だったわ」

「乗馬ムチから始めよう」そしてすぐにちょっと狂気じみた雰囲気で遺体を鞭打つシャーロックへと画面が切り替わります。

このエピソードだけ見るとちょっと衝撃を受けるとともに、確かに同居人には向かないかも・・・という気持も理解できるようになりますね。

シャーロックは遺体袋のチャックを開けてモリーとこんな会話をします。(モリーについてはまた別途書くこともあるかも。この場面ではシャーロックに好意を持っているけど相手にされないということが示唆されるのですが、彼女がどんな人なのかはおいおい明らかになっていきます。)

死体を棒でたたいてまわるホームズ

では原作のホームズはこんなことをしていたのでしょうか。

実は同じようにワトソン博士との出会いの前に、スタンフォードがワトソン博士にこんな風にホームズを紹介しています。

「まあそれほど知識の正確さにたいして情熱をもっているらしいんですね」

「それも大いにいいじゃないか」

「ところがそいつも度がすぎでもしますとね。たとえば解剖室の死体を棒でたたいてまわるといったようなことにでもなると、おだやかじゃありませんよ」

「死体をたたく?」ホームズもやっぱり死体を叩いていました。そしてスタンフォードはそのシーンを目撃したこともあるのだそうです。やはり世間的には理解されない変わり者という印象を持ってしまいます。

なぜ死体を叩くのか

二人のシャーロック・ホームズは二人とも死体を叩いていました。シャーロックは乗馬ムチで、ホームズは棒で。

ではなぜこんなことをしていたのでしょうか?

シャーロックはこのように言っています。

「アザの経過を報告してくれ ある捜査に必要だ」

遺体にムチで打ったあとにできるアザがどのような変化を遂げるのかが重要な事件をかかえている様子です。

そして一方でホームズも棒で叩いた理由はこのように説明していたようです。

「死体をたたく?」

「たたくんです。死後どの程度に打撲傷がつくか、確かめるのだといってね。」死者に鞭打つという行為は中国の戦国時代に、父を殺された伍子胥が復讐を果たすためにすでに死んでいた仇敵の墓を暴き死体をムチで粉々にしたという故事に由来する言葉だそうです。復習に燃えた行為ということですが、当時から道徳的にはあまり認められた行為では無かったようで、これを諫める人もいたそう。

現代の日本では死者に鞭打つ行為というのはよろしくない行為とされていると思います。

イギリスにおいてもやはり死体をどうにかするというのは良いこととはされていないことが「シャーロック・ホームズの科学捜査」という本に書かれていました。

イングランドでは長きにわたって、遺体の扱いは配慮を要する問題だった。宗教上の慣例、迷信、故人への情緒的経緯があいまって、人体をあばかせると考えるだけで忌まわしいと思えたのだ。

死者をさらに鞭打つ行為というのがどのように認識されているのか不明ではありますが、スタンフォードの対応を見ると異常な行為として映っていたようなので、やはり普通ではない行為といえると思います。

なぜそのようなことをしたのか、スタンフォードはホームズの性格をこのように分析してワトソン博士に説明しています。

「ホームズという人は私の眼から見ると、少し科学的でありすぎる――むしろ冷血にちかいくらいなんです。たとえば親しい友だちにだって、新発見の植物性アルカロイドをちょいと一服のませてみる、それくらいのことはやりかねない人ですね。(中略)まあそれほど知識の正確さにたいして情熱をもっているらしいんですね」

科学的でありすぎて冷血。

まさに原作でも現代でもシャーロック・ホームズの一面を良くとらえていると思います。しかし、その冷血さに下にはジョン・ワトソンを友とする暖かい心も持ち合わせていることを我々は知っています。

Tomo’s Comment 

ということで、シャーロック登場のしょっぱなのシーンを少し詳しく見てみました。

さて、鞭について。

現代シャーロックが棒では無く乗馬ムチを選んだのには何か訳があったのだと思います。

原作のホームズの方は、武器としてしばしば狩猟用の鞭を手にすることがありました。「6つのナポレオン」事件で、ナポレオン像を粉々に砕いたのは愛用の狩猟用の鞭でした。乗馬用では無く。

現代シャーロックにおいては鞭は後に大きな役割を果たしました。「ベルグラービアの醜聞」において、アイリーン・アドラーに打ちのめされるときにアイリーンが使ったのが鞭でした。死者を鞭打った報いが巡ってきたのかどうかは分かりませんが、自らが鞭でうたれてしまったわけです。

 

参考文献です。

遺体の打撲について何か分かるかと思いましたがそこについては書かれていませんでした。

*本ページの画像引用はBBC制作のドラマ「Sherlock」シーズン1エピソード1の「ピンク色の研究」からとなっています。

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