【公衆衛生】公衆衛生分野で地理情報システムを使うために読んでおきたい本を紹介

Icon arcgis

 

GISというのはGeographical Information Systemの略で、日本語では地理情報システムと呼ばれています。

さまざまな情報を地図上に表現して、データ分析の一助に使用というものです。

私の専門の公衆衛生の分野でもかなり前からこの地理情報システムを活用していろいろな分析をして介入をしていこうという流れがあり、ある程度の知識は知っておきたいところ。

ロンドン大学留学中にも少しだけ習いましたが、その後ガーナでの仕事で必要となったのであれこれと本を読んでみました。GISのこと、そして公衆衛生でどのように使うかという観点から、私の読んだ入門書をいくつか紹介したいと思います。

 

GISのソフトウェア

GISはコンピュータ上で地図と情報を組み合わせて使いますので、その専用のソフトウェアが必要です。

おそらく最もメジャーなのがこのArc GISかと思います。

メジャーではあるのですがお値段はかなりのものですので、個人での購入というのはちょっと厳しいかもしれません。基本のソフトに各種の追加パッケージも足すと100万円以上するかも。企業での購入や研究費での購入が多いプロ用と言えそうです。

個人では手が出ないArcGISだけではなく、他にも各種無料・安価なGISソフトもあります。

こちらのページがよくまとまっていると思いました。

GISを理解する

まず私が読んだのがこちらでした。

 

2005年初版と若干古い本ではありますが、基礎的なところについてはそれほど変わっていないだろうと思いますので、大いに参考になりました。

最初の章では地図の起源から紐解き、GISで使われる測地系のことまで丁寧に解説されています。 さすが基礎からわかるというだけあり、本当の基礎から説明されていて好感が持てます。

その後はGISのデータ構造、規格、空間分析と続き、GPSとリモートセンシングについても触れられていて基本的なことはほぼカバーされている印象。(この後、基礎となったこともあるのかもしれませんが・・・。)

後半はGISの応用事例と言うことで実際にどのように使われているかが分かりました。

前回紹介した本を読んでいく上で、最初に読んでおいて良かったというのが感想。図が多いのも理解の助けになります。

 

そしてArcGISを使いこなしたいと思って手に取ってみたのがこちら。

 

この本は最初にちょっとだけ、GISとは・・・ということが書かれているのですが、その後はほぼ演習問題を解いていく形で進められていきます。

演習用のデータを指定のウェブサイトからダウンロードして使いながらインストラクションに沿ってArcGISでいろいろな地図を作成していきます。 

演習を通じて機能をどのように使えるのか理解できる構成になっていますが、ただ指示に沿ってやっているだけではなかなか自由自在に使いこなせるということにはなりません。大学の講義の教科書なので、やはり細かいところなどを講師の話を聞きながらでないと分かりにくいところもあるように思います。 

一度一通り演習をやってみたのですが、実際に仕事や研究で作りたい地図を想定するなど目的意識を持って演習をしていくと、この機能が使えそうとか、こうするにはどうしたらいいのか、なんてことを思いながら学べて良いのかも、と思い再度最初から読み直しているところです。 

このシリーズでPart2とPart3もあるのですが、Part3はまだArcGIS10には対応してないようで、ArcGIS9を使っての演習となるようです。

 

 

公衆衛生とGIS

公衆衛生分野でのGISの活用について、日本語でまとまっているほぼ唯一の書籍と思われるこちらを読んでみました。


公衆衛生とGISといえば欠かせないのがJohn Snowのコレラマップ。こちらの本でも第一章「保健医療と地理情報科学」で紹介されています。

ロンドンに留学していたとき、授業で扱われていたり、実際のコレラが蔓延した場所を回ったり、John Snowパブでクラス会をしたりと親しみのある話題ではありますが、あらためGISの見地から見ても優れた研究と実践をしていたと言うことが分かります。Snowが手作りしたコレラ地図を現在のGIS技術を用いて、いろいろな手法で表現してあるところはかなり参考になりました。

続く「GISと疾病地図」、「空間疫学分析」はややテクニカルな面が強くて、昔の疫学統計の本を引っ張り出して参照しながら読みました。(が、分からないところが多くてもう少し復習が必要。)「感染症とGIS」の章では、日本の感染症対策の事例が多く使われていて参考になります。

この本を読んだときは感染症については仕事で扱ってなかったので、その後の2章「保健医療計画とGIS」、「開発途上国の地域保健とGIS」が特に参考になりました。

GISなどテクニカルで目新しい(といってもGISはもうかなり前から一般化していますが)分野というのは、取り入れたいと思う人が多くいる一方で、GISでなければできない分析がなんなのかをきちんと押さえていないケースもあるようです。地図上に表現することでどのような付加価値が生まれるのか、あるいはGISを使わねばできない分析とは何なのか、常に意識していかないといけないと思っています。 

 

英語の本ではこんなものが定番となると思います。

 

こちらはまさに教科書的に幅広く基礎的な内容を網羅しています。実は通読していないのですが、必要なときに関係した章を読んでいました。

 

そしてこちらはDVDが付属していて演習ができる本です。

 

こちらも読んでいる途中で同僚に貸してしまいやっと返ってきたのでまた再開したいと思っているところです。

英語になるとかなり公衆衛生とGISに関する本は多いのですが、とりあえず上の2冊を読めばよいように思います。むしろ、GISを活用した研究などの論文をたくさん読むことをお薦めします。

 

GIS学会など

日本にもGISの学会があります。

私も会員になってみましたが、公衆衛生についての研究はあまり多くないようです。いつか何か発表できたらいいのですが。

 

新潟大学はヒューマン・ヘルスGISセンターを設置して積極的に取り組んでいる様子です。

 

Tomo’s Comment 

GIS、もっと本格的に取り組みたいのですが、日本に帰ってきてからは本業が忙しくてなかなかじっくり勉強する時間がありません。

今後、仕事の傍ら研究もしていく予定なので、GISの活用などもう一度考えて、勉強していきたいと思っています。

 

 

 

 

 

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