【旅食】地元密着のファド酒場「ア・バイウカ・アルファマ」でポルトガル料理を楽しみながら特等席でファドを聞く

a baiuca alfama

 

リスボンに来たのは初めてでしたが、ロンドンで同じ大学院にいて知り合いだった友人が到着日にあちらこちらに連れて行ってくれて助かりました。

夜ご飯もおつきあいしてくれることになり、せっかくならファドを聞きに行こうということに。その友人の知り合いの音楽家にいいお店を紹介してもらったのですが、電話をしてみると今日は満席とのこと。

そのお店はアルファマ地区という下町情緒たっぷりでファド酒場もたくさんある地域にあるということで、とりあえずそのアルファマまで行って見ることにしました。

 

アルファマ地区を散策

アルファマというのはリスボンの下町でこのあたりのことです。

 

 お目当てのお店、A Baiuca Alfamaに行くとやはり満席でしたが、予約のキャンセルもあるかもしれないということで、しばらく時間を潰してまたくることにしました。

 

このアルファマという地域、リスボンでも古い町並みなのだとか。

地球の歩き方によれば、

「バイシャ地区の東に広がるのが、リスボンで最も古い町並みを残すアルファマ地区。「アル」で始まる単語はアラビア語が期限だが、迷路のような路地や白壁の家々はかつてのイスラムの影響を色濃く残している。「リスボンの下町」と呼ばれるこの地域では、観光名所を訪ねるだけではなく、ただぶらぶらと歩き回るだけでも楽しいところだ。」(「地球の歩き方 ポルトガル」P78)

という記載は後で読んだのですが、ちょうどよい時間でもあったのでブラブラしてみることにしました。

 

アルファマ地区は高台の斜面に広がっている街なので、あちらこちらに階段がありますが、古い町並み菜ためかあまり区画が整理されておらず、こんな細い階段もたくさんみかけました。

アルファマ

 

道も真っ直ぐな道ばかりでなくところどころにこのような空間も。

アルファマ

 

こちらはとあるレストランの庭先。

アルファマ

 

ここは教会近くの集会場みたいな所なのでしょうか。壁にこんな絵がかかれていました。

アルファマ

 

ここも教会近くのちょっと広めの階段ですが、オレンジの木が植わっていました。

アルファマ

 

日も暮れてからかなり時間も経っていたためか、歩いている人はほとんどおらず少し寂しい感じもします。

アルファマ

 

それでも生活感があるのは、細い道で坂道も多いのに車は結構入ってきているところ。ちょっとしたスペースに車が停まっています。

アルファマ

 

リスボンの街自体どこか他のヨーロッパの都市と違う雰囲気があるのですが、それはちょっと寂しいというかおとなしいというか・・・。

活気がないという訳ではないのですが、どこか影のある雰囲気を感じてしまいます。ここアルファマも全体的に古い町、さらに夜と言うことでそうした気分もつよくなります。

そして見つけたこのビルは、なんだかそんな寂しいうらぶれた感じを象徴しているようで印象に残りました。

アルファマ

 

壁にはアズレージョというタイル画がたくさん貼ってあって元々は美しい建物だったのと思うのですが、所々崩れていて工事中のままほっておかれている感じ。たまたま工事の途中で、夜で人がいないだけなのかもしれませんが、寂しさがつのる風景でした。

 

小一時間も歩き回って、下町というか歴史のある地域を堪能できたと思います。時間が夜だったこともあって、おそらく昼とは違った一面も見られたと思います。

 

アルファマにファドを聞きに行くのであれば、ついでにこのあたりを歩き回ってみることをおすすめします。

 

A Baiuca Alfamaの特等席に入れてもらえた

アルファマの路地裏を散策して、満席だったファド酒場に戻ると相変わらずの盛況。

人気店なのですね。

場所はこちらです。

 

キャンセル待ちもお客さんが帰る気配もありません。

ポルトガル人の友人はお店の人とおしゃべりしながら、われわれも中から聞こえてくるファドを聞きながらドアの外で待っていました。

外で聞くファドもなかなかに哀感がこもっていることがうかがえ、思わず我々もうっとりと聞き入り、曲の終わりには中のお客さんと同じように拍手などしていました。

そんな風に待っていると、先ほど友人と話していた店の主人らしき恰幅の良い男性が、店に入るようにとのこと。

入り口付近の席を我々のために空けてくれたのです。

A Baiuca Alfama

 

この席、実はこれからファドを歌う人たちや歌い終わった人たちが座る席だとか。友人から聞いたところによれば、我々が熱心にドアの外でファドを聞いていたことや、友人が文句を言うこともなく店の主人とあれこれ話していたことなどから、主人が我々を気に入って特別に空けてくれたのだそうです。

あとでその友人の友人の音楽家(彼も前日ここで歌っていたのだとか)が言うには、このような対応は考えられないとのこと。友人に感謝です。

 

上の写真でも見えている年配の女性も、これからファドを歌うのだとかで友人の通訳でいろいろとファドのことを教えてくれました。お母さんの思い出を歌った曲の時は本当に悲しい気持ちになりながら歌うんだ、と話していました。

 

CDも出したことがあるようで(自費製作かもしれませんが・・・)、見せてくれたので一つ買わせてもらいました。

 

食事をしながらファドを聞く

席に座ると飲み物と一人一品の食事はオーダーしなければならないシステムのようでした。

夕食は食べていなかったので、友人のすすめに従っていろいろとオーダー。

ファド酒場の食事

 

オリーブとパンはオーダーしなくても最初にやってきます。このオリーブがかなり美味しかったです。ポルトガルでもオリーブをよく食べるそうです。

奧にあるのがタコのリゾット。タコを食べるのは日本と韓国、イタリアくらいかと思ったらポルトガルでも食べるんだそう。味と香りのしっかりとしたタコで美味しかったです。

手前にあるのもリゾットなのですが、のっている白身の魚は鮫なんだそうです。

友人は昔海洋研究所のようなところで働いていて鮫の生息数などの調査にも関わっていたとか。そのとき、ポルトガルでは実はよく鮫料理が食べられていることを知ったそうです。

そして、ポルトガルの多くの人はそのものの名前は知っていても、それが鮫だとは認識していないのだとか。なんだか面白い話でした。

そしてもう一品。

ファド酒場の食事

これはピラフ状になっていますが、具は何だったかな。

 

デザートは一つ食べるだけのお腹の余裕がなかったので味見だけさせてもらいました。

ポルトガルデザート

ボリュームは結構あって、ワインも結構飲んだからすっかりお腹がいっぱいになりました。

 

ファドを鑑賞

さて、このお店、お客には観光客も多いのですが、ファドの歌い手はみんな近所の人なんだとか。店の主人とみな知り合いで、近所からふらっとやってきて、この席でちょっとした食事や飲み物を飲んだりして、2〜3曲歌って家に帰っていくのだそうです。

もともとファド酒場というのはこのようなシステムで、こうしたファド酒場からスカウトされて有名な歌手になっていく人も多いのだそうです。

この日も、こんな若い歌い手さんも登場していました。たぶん18才前後くらい?

A Baiuca Alfama

 

ファドは、貧しい層の人たちの間の娯楽で、もともと大衆的な音楽だったのだそうです。

地球の歩き方ではこのように説明されています。

「ファドの語源は「運命」を意味するラテン語の”faumu”に由来すると言われる。またポルトガル語の「サウダーデ」という後は、失われたものに対する郷愁、悲しみや懐かしさなどの入り交じった感情である。歌の中にサウダーデの言葉がよく使われるように、ファドは人々のさまざまな心の感情を表現している。」(P18)

 

私もファドは日本の演歌のようなもので、悲しい歌なんだろうと思っていました。

確かに悲しい曲調で歌い上げるような曲も多いのですが、一方でみんなでさびの部分を一緒に歌うような楽しい曲も多いことが今回分かりました。確かに悲しいだけでは人生やってられないし、悲しい中でも楽しい気持ちを忘れない、という意味ではファドはやはり大衆的な音楽なんだと思います。

 

ファド酒場は、歌が始まるのが遅くて、この日も我々が店に入っ座ったのが7時半過ぎくらい。食事や飲み物を注文して、食べながらファドを聞いていたのですが、こういうところではすべてが終わるまでいるというもののようで、結局11時半くらいまでお店にいました。

途中で席を立つ観光客もいたのですが、こういうのはどうやらあまり歓迎されないようです。

我々は、もちろんせっかくいれてもらったので、最後の人が歌い終わるまで存分に楽しませてもらいました。

A Baiuca Alfama

 

夕食を食べながら、プロの人が歌うのを聞いて、さっと帰るというスタイルの観光客向けのお店も多いのだそうです。

今回、こんな庶民的な昔ながらのファド酒場に来ることが出来てラッキーでした。それ以上に、ここを教えてくれた友人の友人の音楽家、店の主人と仲良くなって入れてもらった友人、そして特別席に座らせてくれた店の主人、同席になったファドの歌い手さん達、こうした人たちとの出会いが何よりも嬉しく、感謝の気持ちを感じたひとときでした。

 

 

Tomo’s Comment 

リスボンは今回とっても気に入った場所になったのですが、ポルトガルの持つ雰囲気以上に、こうしたポルトガルの人々の素朴で温かな人間性により惹かれたのだと改めて思いました。

 

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