【公衆衛生】デング熱について先日の記事にいくつか補足。蚊の生態や薬のこと。

ベトナムの研究所の様子

先日デング熱のことについてまとめてみました。

その後、あらたに見つけた記事のことやいくつか書いておいた方がいいよなと思ったこととかがあったので、改めて少し補足してみたいと思います。

媒介蚊によるウイルスの遺伝

卵を通じて次世代にデングウイルスが移行するということはないと書きましたが、移行する可能性があると指摘している人もいました。

こちらの記事でこのことについて触れられています。

害虫防除技術研究所代表で医学博士(衛生動物学)の白井良和氏は「これだけ感染が広がっているということは、ウイルスを保有する蚊(ヒトスジシマカ)は感染者数の数倍はいるものとみられる」と指摘する。  「こ …

害虫防除技術研究所代表で医学博士(衛生動物学)の白井良和氏は「これだけ感染が広がっているということは、ウイルスを保有する蚊(ヒトスジシマカ)は感染者数の数倍はいるものとみられる」と指摘する。
「この蚊は動物よりも人間の血を好む傾向にある。蚊から蚊への感染は考えにくく、感染者を刺してウイルスに感染した蚊が、他の人を刺して、うつすことで広がっていったのだろう。その蚊が卵を産み、ウイルスにおかされたまま成虫になっているとも考えられる」(白井氏)

一方で、感染症研究所作成の文書では次のように書かれています。

ネッタイシマカやヒトスジシマカの卵や幼虫からデングウイルスの遺伝子が検出された例(経卵感染)はあるが、経卵感染によってデングウイルスが次世代成虫に伝播し、さらに経卵感染した蚊がデングウイルスをヒトへ伝播できる可能性は自然界においては低いと考えられる。

私も文献検索などしてみましたが、それらしいものは見つかりませんでした。従って、蚊が卵を通してウイルスが次の世代に広まるという可能性は今のところ非常に低いと考えて良いのではないかと思います。

蚊の飛翔範囲

先日の記事では50から150メートルくらいと書きましたが、その後新宿中央公園の蚊からの感染も確認されています。

こちらのサイトがデングを媒介する蚊の生態について詳しく書かれていました。

このような記載があります。

成虫の分散範囲は100m内外とされている。しかしながら、飛翔による移動は短距離の移動をくり返して行われるので、家屋や幼虫発生源、吸血動物などの分布様式、家屋周辺の植物の生育状態などにも影響されると考えられる。

また車などに紛れ込んで移動すると行ったケースも考えられますので、現在都が実施しているように近隣でも蚊の駆除を行うのは有効だと思われます。

ヒトスジシマカは日差しの下に出て吸血することはせず、木陰で獲物を待つようです。藪などに近づかないことが刺されないために重要なようです。

デング熱の治療について

デング熱については確実な治療法はなく、対症療法で治療しているのが現実です。しかし、ほとんどの方は亡くなることなく回復しています。ただし、稀にデング出血熱に進行してしまい生命が脅かされることもあります。

注意が必要なのはイブプロフェンやアスピリンは出血のリスクがあるためデングの治療には使ってはいけないと言うことです。症状が出て頭が痛いからといって、市販の頭痛薬でこれらの成分を飲むことは避けるべきでしょう。

免疫について

人間の身体というのはとても良くできていて、ある病気にかかって元気になると、次のその病気にかかったときに免疫ができていて発症しないことがあります。

デング熱も一度かかって回復すると免疫ができるのですが、この免疫がウイルスの種類によってうまく働かないどころか悪化させることがあるのです。

現在確認されているだけで、デングウイルスには4つの種類があり、このうち一つにかかって回復しても、別の種類にかかってしまうと逆に病状が悪化してしまう可能性があります。

今の所、今回の感染で確認されているのは一種類だけですので、一度回復した人にたいしてはあまり問題はないと思われます。

Tomo’s Comment 

ガーナは媒介蚊が存在していますので、いつでもデング熱に感染するリスクはあると言えます。

しかし、デング熱よりもより大きな問題であるマラリアが蔓延しているため、必ずしもデング熱が確実に診断されて治療されているという状況にはありません。

日本と違って、デング以上に死亡率の高いマラリアが存在しているためそれほど大きな話題にはなっていないと思われます。

日本においても、聞いたことのないデング熱について恐れる必要は無く、きちんとした知識に基づいて行動をすればよいだけなのです。

前回も書きましたが、蚊は10月半ばでいなくなり卵で越冬しますので、ここで感染の経路は立たれるものと思われます。

その間に感染しないように、ヤブ蚊の好む薄暗い藪に近づかない、蚊よけをきちんと塗っておく、もし代々木公園など感染が確認されたところに行った後に頭痛がしても、イブプロフェンやアスピリン系の頭痛薬は飲まない、熱が出ているときは余計に蚊に刺されないように気をつける、等を守っていれば感染は拡大しないものと思われます。

追記
まだ疑問がいくつかあったのでさらにいろいろと調べてみました。