毎度、身近な食べものの蘊蓄満載で楽しませてくれる「めしばな刑事タチバナ」。
よくネタ切れにならないものだと感心しながらも、もう19巻まで到達してしまいました。
今回のメインテーマはおにぎり。
熱い蘊蓄が今回も止まりません。
おにぎり放談
本巻ではおにぎり放談が5話とボリュームが大きくなっています。
とある作家先生と編集者の会話形式で話は進みます。
作家先生が入った喫茶店で隣り合わせたのがタチバナを始めとする城西署のめんめん。
相変わらず食べものの話をしているのが作家先生の耳に入ります。
きっかけは丸山刑事が昆布おにぎり下げの発言に志波さんがかみついたのがきっかけでした。
そこから昆布、ツナマヨの論争になりかけたところで満を持してタチバナ刑事が語り始めます。
オニギリスト的に、「当たり前」すぎて逆にしらけちゃうというか
例えば志波さんの大好きな「昆布」は最も東西の人気ギャップが激しい具の一つでして、昆布だし文化の監視では売り上げ首位の常連ですが、関東では総じて扱いが低くなりがちです。
丸山が推すツナマヨは全国的に人気ですが、1993年にコンビニに登場してコンビニ文化とともに若年層中心に定着していった「新世代おにぎり」ゆえ、当時すでに成人していた世代は極端に嫌う傾向にあります。
作家先生も言っていますが、「とにかく語りがクドい変なヤツ」ですね。
ここから鮭ハラミと鮭ハラスの違いへと話題は転換し、ツナマヨにもどり、最後にはおにぎりのDNAへと話は膨らむ方向に。
さらにどんでん返しがあるのですが、是非漫画の方でお楽しみいただければと思います。
その他には?
今回のメインテーマのおにぎりは5話と意外と短かったため、その他にもメシバナが多く掲載されています。
ざっとあげると、昆布茶、カレー味スナック、ほたて風味かまぼこ、カニ風味かまぼこ、うーめん、などです。
カレーについては、いつもの「カレーの早川君」が登場(といってもタチバナ刑事の語りの中でしか登場しないため、一時期実存が疑われていました)、カレーの味の要素について、甘味、酸味、辛さに加えて新しく「吠え」を提案するという内容でした。
この「吠え」、最初は意味が分からないのですが(早川君にもまだ分かっていないようでうまく言語化できないそう)、読み進むうちに、何となく想像がついてくるのが不思議なところ。
狼の遠吠えみたいに食べた人の本能に鳴り響く「カレーらしさ」、らしいですが、吠えが多いからと言って美味いというわけではないそうです。意味が分かりません。でも、カールのカレーアジを食べたときの感覚、と言われるとわからなくもないかも。
そして、こうやって新しく味を表す言葉ができて定着していく、というところは(「吠え」は定着しないと思いますが・・・)、まったりやコクといった言葉を振り返ると少し納得でした。
Tomo’s Comment
相変わらずのディープなめしばな、本作でも健在で嬉しい限り。
お馴染みのキャラクターも増えてきて、ストーリーも葉馬場持たせられるようになってきたように思います。
なぜこれほど突き詰められるのか、ちょっとヒントがありました。
それはタチバナが、五島刑事に「っていうか、オニギリストってなんですか?」と問われた答えにあります。
おにぎりを日々食しながら、素朴な疑問について考察したり、深い思いを馳せたりする、俺のようなおにぎり紳士の総称だな。
ちょっと意味が分からないのですが、つまりこういう姿勢で日々いろいろな食べものについて思いを馳せるのが一つ一つのネタになってるんだろうと思われます。
ということで、安定のクオリティ、次巻2016年新春発売も楽しみにしたいと思います。
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