料理漫画が好きであれこれ読んでいますが、この「鉄鍋のジャン」、かなりユニークな作品です。
中華料理をテーマにしたこの作品。何がユニークかというと、主人公の秋山醤が、普通の漫画では主人公とはなり得ないような悪役キャラであるところ。「料理は勝負!」と言ってはばからない性格、勝つためにはなんでもするという姿勢は、およそ正義の味方の対極のキャラです。
しかし祖父じこみの中華の技術は絶対的、発想も魔法と称するだけあって驚きに充ちていて、主人公としてはとっても魅力的なのがジャンなのです。
卑怯な手を使ってでも勝つ!料理バトルが見所
ストーリーの軸となるのが料理選手権。本編では第一回、第二回の若手中華料理人選手権大会が描かれ、ジャンがライバル達と戦い続けるのですが、その勝ち上がり方がとっても破天荒でこれは完全なヒール。
他の料理人の料理を水浸しにしたり、審査員に薬を盛ったりと悪逆非道です。で、それに対するライバル達が良い人キャラかというと、ジャンの職場の同僚など一部を除くと、これまた外道なキャラ達が多くて、悪役対悪役の対決が満載です。
問答無用な手を使って、「カカカカカカカーッッ」と高笑いを続け、審査員に魔法に充ちた料理を提供するのですが、料理に全力なので憎めないところがあるというのが秋山ジャンというキャラの魅力です。
料理はなかなか本格的
もう一つの魅力は、料理の基本がしっかりしていること。これはフードコーディネーターのおやまけいこさんが監修をしていることもあるようです。文庫版の「鉄鍋のジャン」そして「鉄鍋のジャンR」の巻末には、それぞれ登場した料理のレシピが簡易版ではあるものの掲載されていて楽しめます。
とはいえ、かなり破天荒な料理も登場するので、とてもじゃないけど再現できそうにない料理もあります。食用のウジを寄生させたダチョウ肉とか再現は無理そう・・・。味はいいらしいのですが、あまり食べたくないかも。
料理としては続編の「R」になってからの方が破天荒さは控えめかもしれません。
この続編のRですが、ひたすら料理バトルが続く展開で、よく考えてみると料理大会の1日とその後の過去のライバルとの対決の1日、都合二日間のできごとだけで、全10巻になってるんですね。スピード感をもって一気に読み終えてしまったのも納得。
酢豚が食べたくなった
続編である「鉄鍋のジャンR」でもやはり料理大会が舞台になるのですが、その大会終了後にさらに料理対決があります。そのバトルの最初のテーマに選ばれたのが酢豚でした。
ジャンにとって酢豚は男の料理で、祖父、父の思い出の料理。ポイントとなるのが糖醋とよばれる豚肉を絡める餡。甘さと酸味と塩のバランスが命だそうです。
ジャンが作ったのは豚の胃袋「ガツ」にさまざまな豚肉の部位を入れた酢豚でした。さすがにこれをそのまま再現するのは難しそう。
巻末に監修のおやまけいこさんによる少し簡易化されたというか一般家庭でも作れそうなレシピが掲載されているのですが、そこにジャンの糖醋をつかった男料理酢豚がありました。おいしそうだったので作ってみることにしました。
レシピでは男らしく豚肉のみを使ったレシピだったのですが、ちょうど良いかたまり豚肉が手に入らず、細切りになった豚肉しかなかったので、少し野菜も加えて作ってみることに。
レシピの糖醋ですが、黒酢、酢、醤油、砂糖、黒砂糖を使うものでしたが、手元にあった黒酢、米酢、醤油、砂糖で作ってみました。また、レシピの砂糖がかなり多かったので、ちょっと減らしてアレンジしています。(漫画の中でも砂糖:酢:醤油が3:3:1と書かれていたのですが、これだと自分には甘過ぎ。)
豚肉はおそらく青椒肉絲用だったと思うのですが、この細切りを使って、タマネギとピーマンも加えてみます。豚肉は本来衣をつけて油で揚げるのですが、細切りと言うこともあったので、レシピにあった衣をつけてフライパンで多めの油で焼いてみました。
できあがったのがこちら。
見た感じは酢豚っぽくありませんが(青椒肉絲っぽい)、酢がきいた酢豚になっています。黒酢が効いていて、独特の味を出してくれます。
豚肉に衣をつけるというのは、肉の旨味が逃げず、衣にタレが絡みやすいという意味があるのだたと思いますが、まさしくその通りでした。衣無しだとここまで肉に味がしみるというのは難しいと思いました。
味の方はかなり良かったので、次は豚肉の食感をもう少し楽しめるようレシピ通り2〜2.5㎝の角切りでつくってみるのも良さそうです。
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主人公が悪役ということもあってなかなか感情移入しにくいのですが、勝負に徹している姿はすがすがしく、以外と爽快感を持って読める漫画となっています。
また、中華料理についてはかなり蘊蓄も多いので、料理好きには楽しめると思います。
中華料理についてはこちらの記事でも
【読食】中国レストランで美味しい料理を食べる方法が満載!「本当に美味しい中国料理が食べたい」を読んでから中国レストランに行くべし
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