Angel Underground Station P4 訪問日:2007年7月21日
Islington地域にあるAngel駅周辺のゆかりの地を紹介します。Angel駅の周りはしゃれたレストランやお店なんかもあり、若者の街といった雰囲気で、いつも人がたくさんいます。
留学中は近くにあった美味しい日本食屋さんを見つけて嬉しくなった思い出があります。高すぎるのでもなく、安くて美味しくないのでもなく、手頃な感じのお店で、もっと早く知ってたら通ったのにというお店でした。
さて、今回紹介するAngelですが、イズリントン区にあります。このイズリントン区は、我がチーム、ロンドンプレミアリーグのアーセナルの本拠地であるエミレーツスタジアムもある区。エミレーツスタジアムにはできる限り通っていましたし(チケットが取れないときは近くのパブで観戦してました)、年末の二週間ほどは友人の家を借りてフィンズベリーパーク駅の近くに住んでいたりしてましたので、親しみのある場所です。
1.Pentonville, N1
Angel周辺のゆかりの地として、「Finding Sherlock’s London」に登場するのは一カ所のみ。それが「青いガーネット」に登場するPentonville刑務所です。
「青いガーネット」は、盗まれた宝石(モーカー伯爵夫人の青いガーネット)が、ひょんな事からガチョウの中から見つかりホームズの元に届けられるところから始まり、ガチョウの出所をたどり、犯人に行きつくというお話し。ホームズとワトソンがクリスマス直後の町を歩き回る様子や、最後の犯人への対応など、私の好きな作品の一つとなっています。
Finding Sherlock’s Londonでは、このように記載されています。
This is the site of the Pentonville Prison, which was built in 1842. In
The Blue Carbuncle
, James Ryder’s friend Maudsley had served time in Pentonville. (P4)
ジェームズ・ライダーというのは主要な登場人物なのですが、彼の友人が服役していたのが今回紹介するペントンヴィル刑務所となります。
延原謙さんの訳で当該箇所を見てみましょう。
以前に私はモーズリーという男を知っていました。悪いほうへ足を踏みいれて、つい近ごろまでペントンヴィルで服役してきたやつですが、ある日この男とぱったり出あいまして、話がどろぼうの方法や、盗んだものをどう始末するというようなほうへ落ちていったことがあります。
ペントンヴィル刑務所というのは1842年に建てられたものですので、それなりにロンドンの街中でもありますし、すでに移転なりして刑務所はないものかと思っておりましたが、調べてみたら未だに現役の刑務所として使われていました。
せっかくなので行ってみることにしました。場所はこのあたり。
カレドニアン街を南側から行くとこのような標識がありました。
南側からの様子です。
正面入り口にも行ってみました。
知り合いがいるはずもないので、中までは入れません。
正面からはこのような眺めとなります。
監視カメラも多いので撮影がはばかられました。ところどころ増築してありますが、向こうに見える古いレンガ造りの建物はかなり古そうに見えます。
調べてみると、1842年はこのような姿でした。
By originally uploaded by user Honbicot, 2005-10-21, Public Domain, Link
全体像はこちらが分かりやすいと思います。
By Joshua Jebb or employee – http://www.ucl.ac.uk/Bentham-Project/journal/Steadman_fig19.htm, Public Domain, Link
現在の刑務所はグーグルアースによれば、このような構成になっています。
これを見ると建設当時の主要な構造はまだ残っていて、追加的に他の建物が建てられてきたようですね。中央部にあった尖塔は現在ではなくなっているようです。
このK字型の建物について、書籍「図解 牢獄・監獄」では次のように解説されています。
放射型は、監視用施設を中心に、その周囲への舎房を放射型に配置する形式である。上空からは全体が十字型やアスタリスク形に見える。放射形は舎房全体を少人数で監視できる利点がある反面、各房の居住性(日当たりや風通し)に差が出やすいという問題もある。
それを少しでも解消するために登場したのが、舎房をY字型、V字型、T字型、K字型などに配置する変形タイプだ。1842年に解説されたペントンヴィル刑務所(所在地:ロンドン)は諸外国でも手本とされ、似た形式の建築物が広く普及した。(第3章 No.048牢獄建築の様式)
ホームズの研究をする際に真っ先に参照するKlinger氏の註釈でも、ペントンヴィル刑務所は、建物及び囚人の厳しい矯正システムのモデル刑務所としてイングランドのみならずヨーロッパでも有名な刑務所だったとされています。孤独によって更正させるというモデルで、部屋は独房になっていて、外に出る際にはマスクをかぶってお互いを認識できないようにしたり、お祈りをする教会でも両隣の囚人を認識できないよう個室に座っていたとのこと。
その割には、ここに収容されていたというモーズリー氏、ライダーに共犯になってもらえると思われていたあたり、ちゃんと更生できていたのか疑問が残ります。
現在でも現役の刑務所ですが、かつてはオスカー・ワイルドも入っていたり、最近ではボーイ・ジョージやジョージ・マイケルなども収監されていたことがあったようです。
興味のある方のために、刑務所のホームページはこちらになります。
そしてホームズつながりで言えば、BBC「シャーロック」でも、このペントンヴィル刑務所が登場しています。
登場するエピソードはシーズン2のエピソード3。ジム・モリアーティが冒頭でシステムを停止させたのがバンクオブイングランドとこのペントンヴィル刑務所でした。
BBC「シャーロック」S2E3ライヘンバッハヒーローより。
警戒が厳重な刑務所であるペントンヴィル刑務所のシステムですらも破ることができるということなのでしょう。
Tomo’s Comment Follow @tommasteroflife
ところで、「Finding Sherlock’s London」にはAngel駅周辺と紹介されていますが、実際Angel駅から歩いて30分くらいかかりました。
最寄りの駅ということでは、国鉄のCaledonian Road and Burnbury駅が最も近く、地下鉄でもCaledonian Road駅の方が近いと思われます。
こちらの改訂版である「The New Finding Sherlock’s London」では、Caledonian Road駅に改訂されています。
ホームズゆかりの地はこちらでも
「バスカヴィル家の犬」の舞台になった「ダートムア(Dartmoor)」。荒涼とした魔犬伝説の地へ。
コメントを残す