5a Concept: Community Participation
今日は午前と午後にレクチャー、グループワークが1セットずつで、しかもそれぞれが重要なコンセプトを取り扱う日でした。
まず午前中はコミュニティパーティシペーションについて。
PHCの重要なコンセプトでも重要なものの一つが「参加」ということで、先日のEquityと並んで重要な授業だと思います。(もう一つ重要なコンセプトのSustainabilityについてはまた別の機会に違った形で扱われるとのこと。)
授業の狙いとしては、参加とエンパワーメントの理論を理解し、成功と失敗そして教訓について学び、参加とPHCについてのKey Issuesを認識するというものです。
理論的には、コミュニティパーティシペーションには、標準的な言葉の定期はなく、コミュニティといっても同一的ではなく、参加の定義も住民を動員するものから決定権をゆだねるものまで様々で、参加もアクティブとパッシブなもの、トップダウンとボトムアップ、Consultative、Contributive、Collaborativeなものがある。
なぜ参加が大切なのかというと、人々の知識の活用、問題の洗い出しの段階から参加するとコミットメントが増すこと、参加を通じてプロフェッショナルと住民双方が学びあい(Social learning)、スキル・知識が向上すること、社会正義・デモクラシーの反映であるから、といった側面があるからだそうです。
アプローチとしては、1)Medical、2)Health planning、3)Community developmentの三種類があります。1は病気が無い状態にするためプロフェッショナルが命じることを行うというもの。2は参加を貢献と見なすアプローチ、3が健康を人々の基本条件ととらえ各個人が自分の健康を守るために意志決定をするという考えかた。
このParticipationというコンセプトが徐々にEmpowermentというコンセプトに移行してきているそうで、90年代以降はEmpowermentとしてのParticipationというコンセプトになっているようです。
Empowermentは何かというと、権力を持たない人にチャンスを与え、スキルと知識、自身がもてる環境を作り出すこと。与えられるものではなく住民自身が獲得していくものということです。レベルも個人から組織そして社会・政治的な変化まであります。Participationとの違いは、参加は挑戦されるべきものではなく、Liberationを目的としたものではなく、権力と統制について熱かったものではないということ。ただしEmpowermentがすぐに透明性やアカウンタビリティ、貧困、政治や政府の変革につながるというものではない。
という理論的な背景が説明された後、どのような実践の事例があるのかということで、イラン、キューバ、インド、南ア、フィリピンなどでの、コミュニティヘルスワーカーや住民参加キャンペーン、地方分権などの事例が紹介されました。
これらの事例から導かれるよい側面には、自助努力という経験が特定の疾患の問題によい影響を与えた、参加やエンパワーメントには政府の支援が不可欠、成果よりもよい住民組織やプロセスを重視することが必要、そして小さいコミュニティレベルの活動でよい成果を上げてきたといものでした。
一方でネガティブなものとしては、目標や成果が厳しく定められているとMobilisationがEmpowerを上回ってしまう、コミュニティの人たちが自信を身につけるためには時間が必要、結果を出し、自信をつけ、行動が変わるためにはリソースが必要、スケールアップが難しい等が挙げられました。
今後の考えなければいけない課題としては、参加を目的と見るか手段と見るか、権力と統制についてEmpowermentをどう扱うのか、どう参加を測るのかといったことがあります。
参加の度合いを測る方法として、アメリカのPopulation Health Bureauが開発したCommunity Participation Programu Development continuumというマトリックスがあります。また5つの項目(Management, Needs assessment, Leadership、Organization、Resource Mobilization)を5段階で評価し、これを平面図におとすSpidergramについても紹介されました。(これは事前にReadingで予習しておいたものでした。)このSpidegramは何を示せるかというと、参加がどのていどWideまたはNarrowなのか、時間の経過によってどの程度変わったのか、参加をプロセスととらえどう見ていくのか、といことだそうで、違ったプログラム間での比較などは想定していない(実際していることもあるが)そうです。
演習では、このSpidergramを作成するというもので、クラスメートが体験を話し、それを元に作成するというもの。グループで一人アイボリーコースとのエイズキャンペーンの話をしてくれたのですが、サブグループに分かれてしまったので同じサブグループ内の人の体験を分析することになりました。彼はタンザニアの難民キャンプで働いていた経験があったため、彼が赴任した5年前から離任した昨年までの4年間について、最初と最後で5項目がどう変化したかについて議論しました。状況として難民コミュニティであること、UNHCRが主導して行政サービスを提供していたことなど特殊な事例ではありましたが、それでも若干の参加度合いの上昇は見られたという評価となりました。
参加とエンパワーメントは重要な概念であることは以前から認識していましたが、コミュニティレベルでの議論でありそれをどうスケールアップというか国や地域の政策の中で活かしていけるのか、考えていました。エンパワーされた住民が自分たちの住む環境について積極的に行政に働きかけ、行政もそれに答えるという点で、ヘルスプロモーションの理論などで説明できるということを学んだことがあります。政策レベルでできることは、こうしたサイクルを実践するための基本的な考え方を明確にし、プロセス・システムを整えるということにあるというのが結論で、だからといってこうしたサイクルを作るには各地で実践をしていかなければならないということでミクロな実践の集積になってしまうのは変えようがないようです。意識付けや事例紹介などの面、取り得るプロセスやツールの紹介というという点で、トレーニングを行い、モニタリングしていくということも可能かもしれません。昔関わっていたプロジェクトでは、このトレーニングの所まで行い、その後のモニタリング、サポートのところを計画途中で移ってしまったため、その後のことなど関係者に聞いてみたら面白いかもしれないと思いました。
Tomoさん、こんにちは。
いつも、楽しくblog拝見しております。
PHCの授業、滅茶苦茶面白そうですね!!!
うらやましいです!!
僕もTomoさんを見習って、少しは授業の様子をレポートしていきたいと思いました。
それでは、またお邪魔します!!
よしきさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
PHCはなかなか充実してそうです。来週は参加型開発で有名なチェンバースもくるそうです。彼のお手伝いに立候補してしまいました。
そちらも授業は充実してそうですよね。楽しみにしています。