【読食】越冬隊の食事の様子が分かる「面白南極料理人 笑う食卓」

 

「面白南極料理人」はすでにシリーズになって何冊か出ているようですが、こちらは二冊目にあたります。

一冊目の「面白南極料理人」については日本にいたときに読んでいましたので、電子書籍でこちらの続編がちょうどあったので読んでみました。

南極料理人?

南極にある昭和基地の越冬隊。この越冬隊の胃袋を支えるのが南極料理人です。

著者の西村さんは第三〇次と第三八次の越冬隊で料理人をしていたそうです。まだ昭和の時代のこと。

さすがに南極は行ったことがないので、まったく想像がつきません。

平均気温マイナス五七℃、標高三八〇〇メートル、最低気温約マイナス八〇℃のかなりやばい自然環境ではあったが、その中の比較的暖かい建物内で日々の調理をしていた(P8)

って書いてありますが、マイナス五七℃は体験したことないですね。カナダがマイナス二〇℃くらいだったし、ウズベキももう少しマシだった気がします。

南極料理人は、限られた食材しかつかえず、つねに同じ隊員の人に食事を作り、八五℃でお湯が沸騰するような調理環境ではたらくかなり過酷なお仕事と言えそうです。

しかも、隊員の皆さんは力仕事も多いからか、かなり食欲が旺盛なようです。

約一六〇〇玉の札幌「西山製麺」の生ラーメン、一五〇㎏の「バリラ」や「ブイトーニ」のパスタ、同じく一〇〇㎏単位の乾蕎麦、うどん、冷や麦、素麺、グリーン麺を持ち込んでいたのであるが、これらが越冬期間半ばにして亡くなってしまうだろうという恐ろしい現実に気が付いたのは、越冬初期の5月頃だった。

隊員の人たちを飽きさせないように、創意工夫して様々なメニューを作り出していく苦労もしのばれます。たとえば、上記のように麺が枯渇するような状況で、ベーキングパウダーと小麦粉でラーメンを自作したり、高地なので高温で煮炊きできない状況で炒飯が食べたいという隊員の求めに応じて中華ピラフを作り出したり。

 

それから大変そうなのが在庫管理です。途中で補給もできないことから長期間の食材を持っていかなければならいのだそうです。従って、上記のように麺がなくなって自作する必要がある一方で、前の隊次から残されたものもあり、これらも片付けていく必要もあったようです。

残された大量の干し椎茸や中華の高価食材(乾しなまこ、乾しアワビ、フカヒレ)を調理していった様子が面白おかしく書かれています。

干し椎茸が大量に余っていた。

倉庫を整理するうちに、その量が半端ではない事に気づきいっそ燃やしてしまおうかなどと、よこしまな考えが胸をよぎるほど、ものすごい量が眼前に展開していた。(P180) 

レシピ

本書の魅力は登場する料理のレシピが詳細に書かれていることにもあります。詳細に面白く書いてあります。

前作の拙著「面白南極料理人」は、幸い皆様に喜んでもらえたようであるが、自分なりに言わせてもらうと「ダイジェスト版」である。料理のレシピも結構いい加減で、「もう少し突っ込んで書いた方がいいのだが」とは思っていたが、ページ数の都合・本人の文章構成量の無さ等の理由で、読者様に一〇〇%自分の気持ちを伝えられなかったのはまぎれもない事実である。(P9)

各章の最後がレシピに当てられていて、エピソードで登場した食材などを使った料理のレシピがいくつか出ているのです。これがなかなか美味しそうなものばかり。シュラスコとか中華ピラフとか椎茸海苔とか。

家庭でも作りやすいレシピになっているので、いくつは近く作ってみたくなりました。

 

Tomo’s Comment 

南極という行ったこともない、想像もつかない環境ですが、この本を読むとなんとなく基地内の雰囲気が伝わってきます。人間関係も含めて。

シリーズはまだまだ続いているようなので、電子化されたものから読んでいきたいと思います。あるいは日本に帰ってから紙で読む方が早いかもしれません。

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