今日は、競輪場の京王閣で蚤の市が開かれているということで、掘り出し物を探しに行ってきました。
家に置く家具でアンティークっぽい椅子とか料理道具とかが欲しくて行ってみたところ、思いもよらず古本で掘り出し物がありました。
それが上の写真の「イギリス料理」という本。
あまりにも良い本なので(といってもまだ全然読み切れてないのですが)、紹介したいと思います。
京王閣の蚤の市
今年の5月から調布市民となり、週末など近場からあちこちと探検しています。タウンペーパーなどはイベント情報の宝庫なので大いに利用しているところです。
そんな情報の中で、週末に蚤の市が開催されるとの情報を発見。
ロンドンに住んでいたときも、ポートベローやリバプールストリートの蚤の市に行ってはあれこれと買い物をしていたので、蚤の市は大好き。
ロンドンでは、そんなもの誰が買うの??といったものも売られていて(水道の蛇口とか)、見てるだけでも結構楽しかったのを覚えています。
ということで、こちらの蚤の市にも調布市民として初参加をしてきました。
今年で第12回ということで、なかなか歴史のあるイベントのようです。
日常雑貨類を売っているエリア、北欧専門のフロア、衣類のエリア、イベント会場、ちょっとした食べ物を売っている広場などに別れていたのですが、中央の建物の中は古本屋さんが集まっていました。
お目当てだった家具類(主に椅子やスツールが欲しかった)については、あまりピンとくるものがなく、料理道具も興味深いものはあったのですが、実用というよりはディスプレイ用といった古さ(汚さ?)のものが多くて、購入には至りませんでした。
そんな中、古書の会場を歩いていたところ平積みになって売っていたのがタイムライフインターナショナルという会社が刊行していた「世界の料理シリーズ」。
「イギリス料理」を購入!
古い本なのですが、まず目に飛び込んできたのがその美しいビジュアル。
表紙に各国の代表的な料理が美しい写真でバーンとのっており、タイトルはただ「〜〜料理」というシンプルなもの。
奥付を見てみると1972年頃に順次発行していたようで、目につく範囲でもフランス料理、東南アジア大洋州料理、スペイン・ポルトガル料理などが積んでありました。
そんな中でひときわ魅力的に映ったのが「イギリス料理」
イギリス料理の表紙は、やはりというかローストビーフ。
このシリーズは二冊の分冊が箱に収められる形となっていて、上記の大きめのものに加えて、レシピ本としてひとまわり小さな冊子もはいっています。
この大きな方は、カラー写真がタップリと収録され、イギリス(現在の英国のみならずアイルランドも含めて紹介されています)の料理の特徴、歴史、地方性などを存分に解説しています。
「イギリス料理」P13
今から45年前の記述ですが、家庭料理、朝食のこと、紅茶のこと、そして肉料理から始まりゲームミートやおかし、スコッチまで、今日でも思いつくであろうすべての項目を網羅しています。
写真の美しさも特筆ものです。
例えばこちらは、イギリス人がピクニック好きである事を解説したページ。
「イギリス料理」P22〜23
古書市の会場でぱらぱらとページをめくるだけで、その内容、美しさにすっかり魅了されてしまい、すぐに購入モードになってしまいました。
なんで「イギリス料理」を選んだのか
もちろんシリーズの他の国も魅力的だったのですが、あえて「イギリス料理」を選んだのにはいくつかの訳があります。
一つ目としては、イギリス料理をじっくり解説した本というのは無くはないのですが、ここまで豪華にまじめに取り扱ったものを見かけたことがないから。
イギリス料理というと、美味しくないとか、三食朝食を食べるのがいいとか、あまり良い評判を耳にしませんが、素材が良ければ素朴で美味しいものも拓差あります。
ロンドンの留学時代に、英国陸軍の軍医だった同級生やデボンが実家の同級生などが家に招いてご馳走してくれました。いずれもじんわりと美味しい料理でした。
また、アイルランドで習った料理も同様、素朴ですが飽きずに食べられる美味しさがある味でした。
この本の冒頭、序文でも編集顧問であるジョージー・ウイルスン氏が次のように述べています。
イギリス料理の特徴は、凝ったソースや味付けにあるのではない。材料そのものの質の良さ、季節の収穫物が織りなす自然のリズム、食べ物の風味を生かした簡単な調理法による。
(中略)イギリス人は肉をよく食べるから、ローストの技術が最高に発達した。蒸したプディングや、山形に盛りあがったパイ、豚肉や魚のゼリー寄せや、つぼ詰め、酢漬け、また多彩なパンやケーキなどの名物料理も作り上げた。(P6)
まだ読めていませんが、この本をじっくり読むとイギリス料理の本質に迫れそうな予感があります。
もう一つの理由としては、シャーロック・ホームズの研究に役立つのではないかということ。(ホームズの研究?と思う方はこちらをご覧ください。)
ホームズのことをより詳しく知るためには、ビクトリア時代の文化や習俗についても理解が欠かせません。そして、ホームズの作品には食べ物や飲み物のことも良く登場しています。
登場する料理について、その歴史的な背景や調理法などが分かると、理解の助けになるだろうと思ったのです。
例えば、本書でも牛肉料理の項目で、ホームズ作品にも実際に登場している「シンプソンズ」というレストランについても記載があります。(「高名な依頼人」と「瀕死の探偵」の事件に登場しています。)
「イギリス料理」P69
解説にはこんなことが書かれています。
ロースト・ビーフのまだ赤みの残っている肉に、カーバー(切り分け係)がナイフを入れている。シンプソンズの店では、このコーナーには女性客を入れない。真剣にものを食べる場所には女性をはいらせないという、ヴィクトリア時代のしきたりを今も守っている、ロンドンでも数少ない店のひとつである。牛肉がおいしいことで有名で、金持ちの実業家やイギリスの新聞街フリート・ストリートの古参のジャーナリストが数多くやってくる。(P69)
今ではメインダイニングルームも女性が入れないということはありませんが、この記載によると1972年はまだ入れなかったんですね。
私も初めてロンドンに行った際に、連れて行ってもらった思い出のレストランですが、それ以降しばらく行っていませんでした。上記のようなページを見ると、この本のローストビーフの項目をしっかり読んだ上で、再度訪問したい気持にさせられました。
ちなみに、ホームズと料理をテーマとした本はすでにいくつかあります。
ホームズ好き、料理好きとしては追求していきたいテーマの一つです。
Tomo’s Comment Follow @tommasteroflife
ほとんど衝動的に購入した「イギリス料理」を紹介しました。
古本なのですが、状態が非常に美しく新刊とほぼ変わらないといっていいくらい。
そんなことも相まって、1972年という45年も前に、こんなにレベルの高い外国料理の本が出されていたということに改めて驚いてしまいました。
内容も骨太ですし、使われている写真のレベルも相当高いものです。
シリーズ全部を揃えたくなる衝動に駆られてしまいます。
もちろん45年前ということで、上記のように時代に合わない記載も多くありますが、こと歴史的なことに限っては大きく違うということはなく、むしろ近かった過去の話として今では失われてしまっている内容も書かれているものと思います。
良い買い物をしたと、美しい本を長めながら、悦に入ってしまいます。
イギリス料理についてはこちらもオススメ
【旅食】ロンドンで英国名物料理やちょっと美味しいものを気軽に食べるならパブ飯がおすすめ。
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