【今日の授業】疫学、統計

火曜日は数学系が二つ続き日です。

昨日も結局夕方寝て、夜半に予習を始めたため、結局朝方までかかってしまいました。(ネットサーフィンしたりの時間も含みます)

さて、そんな苦手意識のあった火曜日ですが、


午前の疫学には数式は登場せず、きわめて現実的な状況での疫学調査の話で、非常に分かりやすく、すんなりと講義も頭に入ってきました。

今日は感染症についての授業で、まずは感染してからのステージの定義で、症状の観点からは、感染から発症までがIncubation Period、人への感染という観点からは感染から感染力を持つまでの期間がLatent Period、感染力を持ってからがInfectious Periodとなります。

また各感染症について(既知のものは)、Incubation Periodの最短と最長がある程度分かっていることから、いつ頃感染したのか大まかに知ることができます。(HIVのようにIncubation Periodが長いものはできませんが)

また病気のアウトブレークの際の疫学調査の方法についての説明もありました。X軸に時間(病気によって月、週、日、時間など様々)、Y軸に発症人数を置いたグラフを作成すると、ある一時期を頂点に発症者が増えていれば、感染源は一つで短期間のExposureの病気、発症者のピークが何回もあるものは、人から人へ感染する病気、といったことが分かります。また、このグラフと最長、最短Incubation Periodのデータを組み合わせると感染源に接触した時期と感染源について予測ができます。演習では、実際のケース(ここではパラシュート部隊が訓練で、川や池の水を飲んで病気になったケースがとりあげられていました)を用いて、発症者数をグラフに落とし、感染した日を推定し、追加でどのような調査をすべきかということを議論しました。以前習ったAttack Ratioを使い、異なる水源から水を飲んだ人のうち発症した人しない人、飲んでないけど発症した人しない人の比較を行い、感染源を特定するのですが、以前習った知識もこうやって使ってみるとよりいっそう理解が深まります。

午後は統計。前回のレクチャーで習った部分の演習がまずありましたが、これまでもやもやしていたStandard DeviationとStandard Errorの意味がようやくはっkりと分かったのが大きな収穫でした。式を覚えるのは一苦労ですが、やっとそれぞれの意味が分かってきたので、もう一度全体を整理して復習してみたら、かなり理解が深まりそうです。SDは、実際に調査して得たデータがどのように分布しているのかということで、それぞれのデータが95%(たとえば)収まる範囲はどうなのか、ということにたいして、サンプルから全体を予測するときに使うのがSEだということが、改めてよく分かってきました。少し開眼した感じ。

火曜日はこれだけで終わらず、全校生徒を対象にしたセミナーシリーズがあります。学校の教授で、先端の研究をしている人に話を聞こうという趣旨で、今回が3回目になります。(先週は数学と重なって出られず)今日の講義は、新しいワクチンと子供の健康について。60年から90年にかけて大きく進展してきた子供の健康の改善が、90年代半ばから停滞している。この原因は、子供の健康から感染症対策に注目と予算が集まってしまったことが大きな要因のようです。特にエイズ、結核、マラリアに焦点が当たっているが、子供の死亡原因の中では、これらの疾患よりも、いまだに下痢や呼吸器疾患の方が大きな割合を占めているので、これらを予防できるワクチンの開発が進んでいるというお話でした。新ワクチンはコストがかかることなどもきちんと説明し、バランスを取ろうと努めているのは分かりましたが、多くの途上国では、WHOが推奨している基本的なワクチンの接種率も十分ではない状況で、しかも下痢には経口補水塩などの安価な治療などもある中で、本当に新ワクチンを高い費用をかけて開発し実用化していく必要があるのか疑問に感じました。ワクチンアライアンスもそうですが、こうした新しい動きの裏にはどうしても製薬会社の利害があるような気がしてしかたがありません。(特に米国?)一見、子供の健康のことを重視しているようなのがやっかいなところですが、限られたリソースをどこに使っていくのかということはよくよく注目しなければならないと思う一方、動機が何であれお金が付くと言うことは付かないよりも良いという見方もあり(いまさら従来の取り組みにお金を増やしましょうと行ってもなかなか付かないのは目に見えてます)、大いに悩むところだと思います。一番良いのは、最も効果的な取り組みにお金を集中させることなので、リサーチによるEvidenceを見つけることや、それをうまく世界的な潮流にしていくことなど、一部の利害に振り回されずに進んでほしい物です。そういう意味では、疫学や統計、政策や経済を今学んでいるのは、現実と将来を見るための目を養うという意味では、意味があるだということを改めて実感しています。

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