【今日の授業】プライマリーヘルスケア2b, 3

2b Background & Introduction: How does health improve?

今日の前半は、昨日レクチャーのあった、Determinant of healthについて、課題のReadingを読んで、今後25年に途上国の人々の健康を向上するために何が必要となるのかを議論するというもの。

課題で読んだのは、McKeown T. Ch 30 (The medical contribution) In Davey B et al. Health and Diseas、Evans R, Barer M, Marmor T. Ch1(Introduction) In Whay are some poeple healthy and others not?、Rosenfield PL. The contribution of social & political factors to good health. pp173-180 In Halstead S, Walsh J, Warren K (eds). Good health at low costの3本。前の2つの章は必須で最後のはAddional。本当はもう一つAdditionalとして配られたのですが、こちらは読み切れず。

最初のものは全体の本のイントロ部分で、全体を要約したもの。英国官僚のMortalityの調査(Marmot)で、ランクによって死亡率が違うということを調査から、階級と死亡率の傾向に関係があること、病気はこの原因ではなくPathwayである、つまり、地位や収入の違いの中に死亡率の違いが隠されていることを延べ、疾病と死亡率の歴史の調査(McKeown)からある病気による死亡率が低下しているのは必ずしも医療(原因の特定、治療薬の開発、予防方法の確立)の深化によるものではなく、保健医療分野以外の分野での発展など他の要素が、死亡率の低下により寄与していることを述べている。

二本目のものは一本目のなかで触れられている疾病と死亡率の歴史を述べた部分で、英国での特定疾病による死亡率低下の傾向と、病原の特定された時期、治療薬が開発された時期、予防法が開発された時期を照らし合わせ、こうした保健医療的な進歩がどの程度死亡率低下に貢献したかを調べたもの。抗生物質の開発が低下傾向を促進しているデータはあるものの、医療技術の進歩が始まる以前にすでに低下傾向が始まっていたり、医療技術の開発が必ずしも低下傾向を急激に促進しているわけではないことを指摘し、保健医療分野以外での改善が、こうした死亡率の低下にむしろ寄与していると結論している。

三本目は、さらに進めて、ではどのような要因が死亡率の低下または平均余命の促進に影響を与えたか調べたもの。分析のフレームワークとして5つの要素(歴史的な保健へのコミット、社会福祉、政治への参加、Equity、社会・経済開発と保健とのリンケージ)をとりあげ、4ヶ国・地域に当てはめている。

という読み物を前提に、では今後25年何が保健の促進に大事になるかということで議論を開始しようとしたのですが、なぜか火災報知器が鳴って45分間は避難。戻ってきてから議論を開始ということになりました。

上記の本、論文を読んできたので、全体の議論としては、よりよい教育、経済成長(収入向上)、上下水道など社会インフラの整備、格差の是正が必要という論調に。

かつて健康になるためには病院を建てたり、医療技術を開発したりが主眼になっていて、保健医療分野以外の要素についてはあまり考慮されていなかったという反省があり、そのため上記の論文などで、医療技術よりはむしろそうでない要素の方が健康に寄与するという考え方が提示され、今日では受け入れられつつあるそうです。ただ、疑問に思ったのは、McKeownの調査は英国のもので、医療技術の進歩よりも先に経済発展が始まっている状況での調査なので、途上国のようにまだ経済成長が始まっていないようなところでは、治療薬や予防接種の導入は、英国の歴史上よりはよりインパクトを与えられる可能性もあるのではないかということ。健康を考える際に、医療技術のみを偏重するのではなく、他の分野も総合的に考えることが必要と言う趣旨は理解するものの、保健医療的な介入もあまり過小評価してはいけないように思いました。途上国での予防接種導入後の罹患率や死亡率の変化のデータなどあたってみて、考えを整理する必要がありそうです。これって、途上国での健康改善に関する活動を考えるときに非常に重要なポイントで、例えば医療サービスや薬へのアクセスを高めるよりも、上下水の整備や道路の改善をした方がいいという優先度の付け方に影響してくると思います。この辺のプライオリティ付けというのは昔から関心のある話なので、引き続き考えていきたいポイントだと思いました。

3. Background & Introduction: PHC-principles and history

午前後半はPHCの原則と歴史についてのレクチャー。

PHCの考え方の基礎となるアル・マアタ宣言で述べられている、univarsally accessible, full participation, self-reliance and self-determinatio, overall social and economic development, continuing health careといったキーワードを元に、PHC開発のための要素としてのパラダイムシフト、プロセス、政治、アドボカシーが重要とのこと。アルマアタ宣言の背景としては、医療費の上昇、最も必要な人々がサービスにアクセスできず一方で医療サービスが十分に利用されていない実態などがあった。加えて、Urban base、Hospital baseだったのを、予防優先に、最も必要とする人に焦点を当て、最新の医療と伝統医療を融合させ、コミュニティ参加を促進するというPHCの考え方に変えたのがアルマアタ宣言だったとのこと。

PHCの原則はEquity, Community Participation, Sustainabilityで、実施の際は予防、分野横断的な連携、適正技術の活用が必要。コンポーネントは水・衛生、食料、予防接種、母子保健・家族計画、地域の疾病の予防と対策、common disease/injuryの治療、保健教育、必衰薬品の供給にUNICEFの推進していたGOBI/FFFが加えられた。

アルマアタ後の動きとして、バマコイニシアティブ、保健システムリフォームなどについても触れられました。

PHCのChallengeには、疾病傾向の変化、Equityの確保、Selective PHCとComprehensive PHCのどちらを選ぶか、等がある。また、Macro-Economics and Health、MDGなどの動きとの関係についても解説されました。

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