「行った先の国のことが知りたければ、その国の人たちが普段食べている料理と、その国の人が外国の人に誇れる料理を食べるのが良い。」
ある先輩に言われた言葉です。
中国の宮廷料理に連れて行ってもらったときに聞いた言葉で、実感を持って納得した覚えが有ります。
その後、旅行するとき、海外で暮らすときには、なるべくその言葉に従って、庶民的な所だけではなく、その国・街が誇るレストランや料理というものもトライするように心がけてきました。
スペイン・バルセロナで二つ星レストランへ
バルセロナでは、ボケリア市場で買い食いをしたり、庶民的なセルベセリア・カタルーニャでタパスを食べたりしましたので、やはりここは少し高級なお店にも行ってみなくては、と思い行くことにしたのが「Moments」というレストラン。
実はミシュランの三つ星を持つ「San Pau」というお店に行きたかったのですが、予約を取るのが遅かったためか空きがなくて断念しました。バルセロナから電車で一時間くらい行った駅の裏にあって、海の見えるレストラン、ということらしく、ロケーションや景色も含めすごく行ってみたかったのですが残念。
その「San Pau」のシェフ、カルメンさんの息子さんがシェフをしているのが「Moments」というレストラン。こちらもミシュランの星を持っていて、一つ星から昨年二つ星になったそうです。
ちょうど空きがあるようで、しかもその日はカタルーニャの祝日、聖エステバン(Sant Esteve)の日の特別なコースがあるとのことで楽しみにしていました。
ちなみに聖エステバンはスペイン語で英語だと聖ステファン。Wikiによれば下記のような日だそうです。
聖ステファノの日(St. Stephen’s DayまたはFeast of Saint Stephen)は、キリスト教における聖名祝日の1つ。最初の殉教者(protomartyr)聖ステファノを記念するものであり、西方教会では12月26日に、東方教会では12月27日に祝われる。 もっとも、多くの東方正教会はユリウス暦を採用しており、その場合はユリウス暦の12月27日に聖ステファノの日を置くことから、現在標準的に使用されるグレゴリオ暦では1月9日 になる。西方教会の教派では、聖ステファノの日は降誕節(en:Christmastide)の二日目に置かれる。
場所はカタルーニャ広場から少し北に行ったマンダリン・オリエンタルホテルの中にあります。
マンダリン・オリエンタルといえば有名なホテルなので、すぐに見つけられるかと思いきや、バルセロナではことさらに分かりやすい表示をすることはなく街の中に調和するかのように、ひっそりとしたたたずまいでした。
Momentsの店内は落ち着いていてそれでいてゴージャスな雰囲気も醸し出しています。
聖エステバンの日特別コースがスタート
食前酒でいただいたCavaを楽しんでいると、すぐに前菜3種、The Appetizers of the MICRO-MENUEがはこばれてきました。
上の白いさじにのっているのが、Mini croissant and Joselito ham。右が、Phesant and almonds croquette。そして手前左がSpecial wine, cheese and marzipan。
いずれも前菜だけあって、軽くそれでいて食欲が増す働きをしてくれます。サクッとしたものも食欲が出ますね。
前菜3品に続いて前菜のシメがこちらのScrambled pinion and mixed mushrooms。
前菜は4品とも繊細な味でした。ポーションが小さくてこういう小さなスプーンで出てくるのも最近のはやりですね。
続いてスープが来ました。
これはCatalan “Escudela” Broth” with truffle meatballs。スープは目の前でウェイターさんが大きな器からお皿に注いでくれました。
トリュフの香りが楽しめます。
続いては“Carn D’Olla” Terrine watercress and datesという一品。
お次は、Crayfish and artichokes in three textures
確かにアーティチョークのいろいろな味わい・食感が楽しめる一品でした。
次は”Zarzuela” D. O. Moments。
魚介のトマトソースなんだと思いますが、Zarzuelaというのはスペインのオペラのことらしく、この料理にもオペラのような荘厳さが現されているようです。
そして聖エステバンの日にバルセロナの人たちが伝統的に食べているというカネローニが用意されていました。
Sant Estive Cannelloni, traditional with black truffleというタイトルの料理です。これがこの日のメインの位置づけだったようです。
メインが終わりましたが、コースはデザートに向けてまだまだ続きます。
チーズとデザートまでまだまだ続くコース
チーズとその付け合わせ、5種の組み合わせがやってきます。
それぞれのチーズに合う付け合わせが出てきますので、下のようなガイドに従って組み合わせを楽しんでみました。
つづいてはPredessert。
デザート前の一品と言うことでさつまいもを使った軽い一品。
そして次にChristmas Dessertがやってきます。
これはCold & hot chocolate, and pine nuts。暖かいチョコと冷たいチョコの二つが楽しめます。
しかしデザートはまだこれで完結ではありませんでした。またまた盛り合わせ形式の”Neules & turrons“がやってきます。
内容はというと、yuzu sweet, millefeuille, candied pumpkin and pine nuts, chocolate, crispy rice and almond rock, film pastry with sherbet and liquorice crispy chocolate, chocolate and cointreau truffle, muscatel & strawberry cube, chocolate mousse。かなり盛りだくさんです。
そして最後にカフェをいただいて締めとなりました。
ポーションは小さいながら、品数が多いのでかなり満腹になります。
Tomo’s Comment
コース料理でこうした小さなポーションで構成されているというのは初めての体験です。
イタリアンなどでも、前菜、プリモ、セコンド、デザートくらいの流れなので、ここまで他品種の料理を楽しむというのもあまりないと思います。それに一皿一皿もがっつりとしていますし。
あの有名なエルブリはさらに多くの皿を出していたようですので、そうした成功というのも影響していると思われます。
一皿のポーションはかなり小さいので味わう前に食べ終わってしまう(すぐ無くなってしまって物足りない?)という側面もあったように思います。しかし、逆にこれだけ多くの皿を味わえるというのも楽しいものです。
ワインはどの皿にもあいそうな一本を頼もうかと思ったのですが、ソムリエールの方と相談した結果、今回は皿にあわせてワインを変えてもらうワインペアリングにすることにしました。
ワインと料理の組み合わせは充分に楽しめましたが、その分お会計の方は大変なことに(!!)なりました。
実はこのワインの金額がかなりいい値段で、食事と合わせて今回が生涯で一番高額な食事だったかもしれません。
しかし、雰囲気もそうですが、バルセロナの最高峰の味の一つが楽しめましたので大変満足でした。
次にバルセロナに来る機会があれば、カルメンさんの「San Pau」にも是非行ってみたいと思います。(そのときはワインは控えめにしようかな・・・。)
海外でのレストラン訪問の記事はこちらにも
【旅食】ローマのスペイン階段近く「Settimio all’Arancio」で子羊のローストなど伝統的なローマ料理を
贅沢ですね~。確かにお料理に合わせてワインを変えてしまうと、お会計が大変なことになっちゃいそうな食事ですね。
冒頭に出てくる言葉は名言ですね。全くもってその通りだと思います。マーケットでの食材選びや庶民的なレストランでのお食事に、高級レストランとバルセロナでは充実した滞在になったようで何よりです。素敵な写真がいっぱい登場して眼福です♪
>asさん、こんにちは。
ワインについては、やっちゃいましたー、という感じです。最初はどの料理にもあいそうな一本でお願いしようと思ったのですが、ソムリエールのおすすめでいろいろと変えてみたのが・・・。でも、確かにどのワインも美味しかったのでとても満足ではあります。