ポチテリから北上することしばし、今回のボスニア・ヘルツェゴビナ日帰り旅行の目的地であるモスタルに到着しました。
モスタルはネレトヴァ川にかかった美しい橋、スターリ・モストで有名な町です。
スターリ・モストの前にインフォメーションへ
まずはガイドのラトコさんに昔皮なめし場だったという建物に案内されます。建物の向こう側が川になっていてレストランがありました。
そしてここからスターリ・モストの橋がよく見えました。
確かに美しいアーチをしています。
この皮をなめしていた工場には専用のモスクとトルコ式浴場があって(働く人たちの臭いが強かったので専用につくったのだそう)、そのトルコ式浴場の方の建物がインフォメーション兼町の復興計画の展示場となっていましたので、橋に行く前にまずは見学。
モスタルの町もかなり激しい戦闘が行われたようで、多くの建物も被害に遭ったようです。その建物の復興が計画されていて、復興済みのもの、これから手が入るものなどの情報や写真が展示してありました。
そして驚いたことに、あの美しい橋も戦時中には破壊されていたのだとか。橋が落ちる瞬間のビデオも上映されており必見です。
多くの人命が失われたことももちろん、こうした歴史的な建造物が失われてしまうということは、大きな損失です。
人の命はいつか尽きるけれど、建造物は人命をはるかに越えて長きにわたって存在するもの。人が亡くなることよりも、建造物が破壊されてしまうことの方がショックだったとの言葉がありました。
しかし一方で失われたものを復興できるのも人の力です。同じビデオには、建造当時の技術を使って橋を復元するため、トルコから職人を招いたこと、崩れ落ちた石材をできる限り引き上げたことなども描かれています。
そしてついに2004年に橋の復元がなり、落成式では多くの人が集まってお祝いをしていました。
これを見て、破壊と復元、戦争をするのも人であれば、橋を元に戻したのも人の力だったと感動を覚えます。この復元を祝う気持ちが永遠に失われず、二度と再び戦禍が橋を襲うことがないように祈りました。
スターリ・モストへ
そんな映像を見た後だったので、小さな橋でしたが、近くに行ってみると感慨もひとしお。
橋から町の眺め。
橋を渡ったむこうがわが旧市街になっていて、古い町並みと石畳になっていました。お土産物屋も多くありました。
この旧市街の先にモスクがあります。
この塔に登れると聞いていたのですが、時間も無かったので今回は登りませんでした。
このモスクからの橋の眺めがまた美しいものでした。
橋も堪能したので、また町の中を少し歩き回ってみました。
戦禍の跡
美しい橋と対比をなすように、いまだ復興されていない建物もありました。
こちらは銃弾の跡が見えました。
Tomo’s Comment
クロアチアでは、戦後の復興が進んでいたため、人々の話や博物館や展示物からしか戦争の様子がうかがえませんでしたが、ここボスニア・ヘルツェゴビナでは未だに戦争の跡が生々しく残っていました。
経済状態の違いもあるのかもしれませんが、美しい橋を見た跡だけに余計に心に刺さる風景でした。
クロアチアだけでは理解できなかった戦争の爪痕もボスニア・ヘルツェゴビナで少しだけ感じることができました。
しかし、クロアチアの戦争がセルビア・モンテネグロ軍との戦いという比較的分かりやすい戦争だったのと違って、ボスニアでは隣人同士でも戦いが起こったとのことで、その背景は複雑なものがあって理解が難しいとガイドのラトコさんも言っていました。
それでも力を合わせて橋を復興した人々が、今後さらに仲良く豊かに暮らせるようになることを祈っています。
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