
頂上のケーブルカー駅
さて、ドブロヴニクの旅も後半にさしかかっています。
作戦としては、前半は旧市街の中のキッチン付きのアパートに泊まって、ドブロヴニクの旧市街を堪能して、地元の食材で料理する、そして後半は旧市街の外にあるエクセルシオールに泊まって、日帰りで行ける近郊の街にいってみる、というものでした。
後半は、作戦通り、コナブレ、モンテネグロ、ストン、モスタルなどに遠征して、ちょっとずつ違う旧ユーゴの街を堪能しました。
ただ、前半で行き逃していたところでどうしても行きたいところがあったので、後半に行ったドブロヴニク付近の名所がありました。
それがスルジ山。
スルジ山とは
地球の歩き方によれば、「旧市街を一望することができる標高412mのスルジ山。山頂にはナポレオンが贈ったという白い十字架が立っている。(中略)山頂へ行くにはロープウェイが便利。(中略)戦争の際に破壊された砦は独立戦争展示館として利用されている。」とのこと。
旧市街から見上げるとスルジ山頂がよく見えました。

ロープウェイで山頂へ
山頂へ行くには歩いて山を登るか、ロープウェイを使うかのどちらかとなります。(車でも行けるのかもしれませんが・・・。)
もともとはもっと早い日程で歩こうと思っていたのですが、悪天候で断念していました。この日は午後から予定が入っていて時間も無かったことからロープウェイで行くことにしました。
旧市街の北側にロープウェイの駅があります。

チケットを購入してしばし待っているとすぐにロープウェイは動き出しました。
結構速度もあって、どんどんと登っていきます。
途中で下を見るとドブロヴニクの旧市街ぼ全貌がよく見えました。

山頂の駅からはロクロム島も含めてさらに良く見ることができました。

この先の方に見えているのがコナブレ地方になります。手前がナポレオンの十字架。

十字架は近くまで行けました。

その後、ザグレブのダミールさんから聞いていて行ってみたいと思っていた独立戦争展示館に行ってみました。
独立戦争展示館は是非行くべき、と思った
ロープウェイ駅の裏手にあたるのでしょうか。そこに独立戦争展示館がありました。
建物は戦火を負った建物が使われています。



入場料を払って中に入ります。
展示は、当時の新聞記事、郡や政府の公式文書、武器、戦線に関する図解、などなど。
ニュースを読んでいくと、ドブロヴニクが歴史的な価値を持つ都市だったことから、セルビア・モンテネグロが攻め込んでくるということに関して、当時楽観視していた様子が分かりました。
私も今の平和な状況から考えれば、ドブロヴニクを戦地にすることに大いに疑問がありました。でも、それでも起こってしまうのが戦争だというやりきれなさが残ります。ドブロヴニクの街が復興して美しさを取り戻している今、戦火とのコントラストがより一層心に迫ります。
展示そのものも迫力があります。日本にとって、戦争と言えば第二次世界大戦ですが、残念ながら世代を重ねる毎に戦争体験は遠いものとなっています。しかし、クロアチアにとって戦争はついこの間のできごとだということがよく分かります。特に映像資料が多く残っていることで生々しく追体験ができてしまうのだと思います。
展示の内容により一層のリアリティを加えているのが、この建物そのもの。実際の戦闘が行われ、その爪痕がまだ残っているここで展示されることで、戦争の雰囲気が迫ってきます。


Tomo’s Comment
クロアチアの旅行では、美しい景色、親切な人々のことが鮮烈に印象に残り、そのことだけをもってクロアチアという国を理解してしまいそうになるのですが、つい20年前に、旧ユーゴの同胞と戦争があったこと、多くの人が犠牲になり、美しい都市や建物も惨たらしく破壊されたこと、も合わせて知っておく必要があると思いました。その意味で、この戦争展示館には訪れて良かったと思いました。
私自身は戦争を体験したことはありませんし、この地では所詮外国人ではあるのですが、美しい景色とその背景にある悲しい歴史のコントラストを知ることで、戦争の悲惨さを学ぶことができたような気がしました。そして、「私は彼らを許す。しかし忘れない。」と言っていたダミールさんの言葉が改めてよみがえりました。
そうそう、ここに来るときに使ったロープウェイも戦闘で破壊されて、復活したのはごく最近のことなんだそうです。

戦争を起こすのも人間ですが、復興するのも人間なんだと改めて感じることができました。
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