1987年に出されたホームズ本です。(原著は1986年に出版)ヤフオクで入手しました。
本書の内容
アマゾンでの商品紹介です。
100年前に、世界一有名な探偵であるシャーロック・ホームズがデビューした。この沢山のイラストが入った楽しい本は彼の100周年への捧げ物である。アラン・アイルズはシャーロック・ホームズを研究すると共に、それが原著者であるコナン・ドイルにどのような影響を与えたかを調べた。原作の小説に加えて、長年にわたって俳優たちがこの探偵に生命をふきこんできた演劇や映画にも触れている。付録として、ホームズ物語60編のリスト、ドイルやホームズとワトスンの伝記、文学的研究や研究資料の一部、ホームズ物のパスティシュのリストがついている。演劇、映画、テレビジョンの年代順リストもある。
1887年に「緋色の研究が初めて世に出てから100年ということで、生誕=登場というのがちょっと気になりますね。生誕だったらホームズの誕生日から100年じゃないのという気もしてしまいます。(ちなみにホームズの誕生日は諸説ありますが、1854年1月6日説がポピュラーです。)
そんな些細な気になりどころは別として、ホームズが世に知られるようになってから100年間にどのような歴史があるのかという観点からは、とてもよくまとまった本になっています。
当然、最初の40年ほどはドイル存命時のことですので、発表順に作品が紹介され、ドイルの経歴に重ね合わされます。その後、新作がなくなった時代は、舞台、映画にホームズの活躍の場が写っていきます。有名なホームズ役者について書かれていますし、作品も網羅されています。
最後は私も好きなジェレミー・ブレットのグラナダホームズも紹介されています。
ホームズの楽しみ
ホームズ愛好のしかたというのは人それぞれですが、私自身は正典と呼ばれる60編を唯一のテキストとして、それを検証したり時代背景を調べたりというホームズ研究というのが好きで、いまだに古今の文献を集めて読んでいるところです。
ロンドンにすんでいたときにホームズ研究の中でも地理学の分野にひかれホームズクラブのセミナーでも発表させていただく機会を得たりもしています。さらに他の分野も開拓したいのですが、まだ見つからず、もう少し文献の蒐集と研究を進めていこうと思います。
パスティーシュも嫌いなわけではなく、正典の雰囲気を持った物などはいろいろと読んだりしています。パロディについては、ウィットやユーモアのあるものが多いのですが、あまりにおふざけが過ぎた物はあまり好きではありません。
映画、テレビ作品については、グラナダTVのホームズシリーズの印象が強すぎて、他の作品にはこれまであまり興味をもっていなかったのですが、この本を読んで、代表的な作品がどんなものだったのかが概観できたのは良かったです。
ホームズのDVD BOOKというのを購入したのですが、出演しているベイジル・ラスボーンについても本書でいろいろと知ることができました。
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ところで、この本は小林司さんと東山あかねさんが監修して、日本シャーロック・ホームズ・クラブが訳しているんですね。
この当時はまだ会員でもなく、年齢的にもとても参加できなかったでしょうが、今後もこんな企画があるといいなあと思います。
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