日本での輸入例ではないデング熱が発生し、9月17日までに133人の患者さんが感染していることが確認されました。
70年ぶりに国内発生となったデング熱。
これまでフィリピンなどに住んだことがあったため、私にとっては身近な感染症でしたが、今回は日本で70年ぶりということで大きな話題となっています。(実際は海外で感染して日本で発症または感染が確認されたケースはここのところ毎年200人以上いらっしゃいます。)
公衆衛生を勉強したものとして今回の感染について少しでも情報を発信できればと、ガーナからあれこれとブログの記事を書いてみたところ、いつもよりたくさんの方に見ていただくことができたようです。ありがとうございました。
4件の記事を書きましたので、こちらでまとめておきたいと思います。
これまでのエントリー
まず最初のエントリーがこちら。
こちらでは感染症の基礎的な考え方と、デング熱についてまとめています。
ウイルスの伝播するルートを見極め、どこかで断ち切ることが感染対策の基本となります。デングの場合は人ー蚊ー人と感染していきますので、蚊にさされない、蚊を減らして刺されるリスクを減らすといったことが重要です。
次に書いたのがこちらとなります。
こちらでは上記の記事に補足として、蚊の飛翔距離などの生態、免疫のこと、薬の選択などについて書きました。
私自身、少し疑問を持ったのが蚊の卵を通じた次の世代へのウイルスの感染と症状が出ない患者さんは蚊に刺されると蚊にウイルスを感染するのかということ。そこで、次の二つのエントリーを書いてみました。
結論から言えば、経卵感染も不顕性感染者からの感染もあり得るようです。ただし、その度合いが感染の広まりにどの程度のリスクなのかは分かっていないようです。
今年の流行については、おそらく蚊が活動をやめる10月半ば以降は新たな感染者はいなくなると予測されますが、来春、蚊が孵化し始めたときにウイルスを持った蚊がいる可能性は否定できませんし、海外で感染した人あるいは外国人で不顕性の人が元気に歩いているときに蚊に刺されて広まる可能性もゼロとは言い切れないと思います。
ただし、デング熱は適切に治療すれば重症化する可能性は低いので、(症状はかなり苦しいものがありますが)過剰に心配する必要は無いと思います。また蚊に刺されなければかかることもありませんので、蚊の対策をしっかりする、蚊が発生しないように水たまりをなくす等の対策である程度蚊に刺される頻度も低くすることができます。(完全に刺されないというのも難しい話ですが・・・)
Tomo’s Comment
何度も書いていますが、感染症について過剰に恐れるのではなく、その感染経路やさまざまなリスクを知ることで、感染を防ぐための手立てを把握することがまずは最も重要だと言えます。
デング熱であれば、蚊に刺されないということが最大の予防となります。またデングの症状に似たものを発症したらきちんと検査を受け、蚊に刺されないようにしてさらなる感染を防ぐということも重要でしょう。
また、報道などで過剰に危険性をあおり立てるような表現も見受けられますが、それらがどのような根拠に基づいているのかを冷静に見極める目を持つ必要もあります。専門家の発言なども引用されていますが、上記のように事実としては起こりえるけれど、どれほどのインパクトか分かっていないこともありますので内容には注意が必要です。マスコミが一部を取り立てて誇張しているケースもあるように思いますので。
デング熱に限らず、今後熱帯の途上国の病気と思われていた病気が日本で広まる可能性があることは今回のことで証明されました。ウェストナイル熱、マラリア、新型インフルエンザなど、あまり馴染みのない病気で恐ろしいと思ってしまいますが、正確な知識で身を守ることが何より重要だと思います。
次回は、日本に上陸して蔓延する可能性は低いと思いますが、こちら西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱についても少し書いてみる予定です。
RT @tommasteroflife: 【公衆衛生】デング熱関連エントリーのまとめ。 http://t.co/TfQAZzH8Ti
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