「ホームズゆかりの地」案内

ロンドン古地図

本ブログのカテゴリーの一つに「ホームズゆかりの地」案内があります。

これは主に2006年9月から2007年9月までロンドン大学に留学していたときに、「Finding Sherlock’s London」という本を足がかりにホームズゆかりの地を訪ね歩いた記録で、主にロンドン市内でホームズ作品に登場した場所に実際に行ってみた体験が基になっています。

ロンドン以外にも、「バスカヴィル家の犬」の舞台となったダートムアや「最後の事件」のカンタベリー、そしてイギリスの外ですが同じく「最後の事件」のクライマックス、スイスのライヘンバッハの滝なども紹介しています。

 

Finding Sherlock’s London

「Finding Sherlock’s London」という本は、地下鉄駅ごとにホームズ作品に登場する場所をリストアップしたもので、原作のどの作品のどこに登場したのか簡単な記載とともに紹介されています。

2006年当時は最初の版のこちらが入手できました。

従って、こちらのブログで引用している箇所のページなどはこの版のページに準じています。

こちらの本を購入したのはちょうど留学生活を始めた頃でした。

 

その後大幅に改訂されたバージョンも出版されています。

 

留学中は大学院の授業が毎日入っていたため、「ゆかりの地」探索ができたのは休日が中心でした。翌日の午前に授業が入っていない時の夕方なども活用したのですがロンドンの冬は日の入りが早くあまり時間がとれず苦労しながら回ったのも良い思い出です。

 

探訪方法の変遷

ホームズに登場する場所と言っても、関係者が泊まったホテルや訪れたレストランなどはそれなりに見るものもありますし、時には中に入ったりもできて楽しめます。

例えば、メアリー・モースタン嬢が待ち合わせに指定されたライシアム劇場の柱は実物を見ることができます。

ライシアム劇場柱

こちらの写真の方はロンドンのホームズツアーのガイドのTimさん。(詳しくはこちらを)

 

しかし、多くの場合は通りの名前だけ出てくるとか、どこかわかりにくい(ワトソンが明確に書いていない)家とか、地名だけしか書かれてなかったり、ですので、行ってはみるもののただの町とか通りということがほとんどです。

例えばこちらはホームズを襲撃した暴漢が逃げ道に通ったCafe Royalの裏口。

Cafe Royal裏口

ホーメジアン以外の人にとっては、何の変哲もないドアにすぎません。とはいえ、まだドアという名残があるのでましな方で、広範な地名だけでてくるところもあり、訪問しにくケースも多々ありました。

 

最初は、とりあえず行く駅を決める、「Finding Sherlock’s London」で登場する場所をロンドン地図(London A to Z)にマークしておく、行って駅の写真を撮って、通りや番地の表示を撮影し、通り周辺の様子を撮影し、特定の場所があればそこに行って写真を撮って、できるだけ早くブログにあげるという感じでした。

200カ所以上が紹介されていたので、ともかく訪問すべき場所が多く、とりあえず書かれているところに行ってみるというだけでした。留学期間が1年だったというのもあり急いでまわりたかったというのもあります。

 

もともとはせっかく住んでいたロンドンのことを詳しく知りたいという目的で決めたテーマだったので、最初はただ単にどこかにでかける口実ができて楽しかったのですが、徐々にホームズ作品での記載についてもう少し深掘りしてから行きたいと思うようになりました。

 

探訪を経るごとに、事前準備が入念になっていきました。行く場所を決めた後に、徐々に増えつつあった文献を駆使して先行研究を確認してから行くようにしました。

 

初期はベアリング・グールドの註釈で何か書いてないか確認する程度だったのが、さらにレスリー・クリンガー版の註釈も確認し、ビジュアル的にも当時の様子を知っておきたくてチャールズ・ヴァイニーによるホームズゆかりの地のヴィクトリア時代の写真を集めた本を参照するようになりました。

 

バーナード・デイヴィス氏との出会い

そして、ロンドン在住中のエポックメイキングだった出来事がこちら。

ロンドンに留学してすぐに、イギリスの伝統あるホームズ愛好会であるロンドン・シャーロック・ホームズ協会に入会したのですが、そのイベントの一つとして開催されたのが有名なホーメジアンであるバーナード・デイヴィス氏による南ロンドンツアー。

バーナード・デイヴィース氏

 

デイヴィス氏は、特にホームズゆかりの地に関する研究で有名な方で、私がホームズの本格的な研究に目覚めるきっかけとなった論文を書いた方でもありました。

その論文というのはホームズとワトソン博士が住んでいた下宿の本当の場所を探るというもので、「シャーロック・ホームズ 17の愉しみ」という本の中で翻訳されていたのです。

 

彼は、ホームズ作品に登場する場所の特定に力を入れている研究者で、作品中の記載やヴィクトリア時代のデータを組み合わせて、登場するそれぞれの場所を検証しています。

こうした場所を探る分野はホームズ研究の中でも「地理学」といわれてり、これをきっかけに自分もホームズの地理学について特に関心を持って取り組むようになりました。

 

 

探訪記録について

ホームズゆかりの地を訪問した記録については、当時使っていたSo-netブログの方に記録として残しています。

その後、独自ドメインを取り当ブログに引っ越したのですが、ゆかりの地案内については、自動的に移行はしていません。

というのも、So-netブログ内の写真のサイズが(2006年当時のご時世もあり)小さくしないとアップできなかったこと、特に初期はただ単に行って写真を撮ったというだけででいまいち内容が薄いことなどがあります。

そんなこともあり、こちらのブログへの移行にあたっては、その後入手した様々な文献やネット上の情報も踏まえて、もう少し深掘りした調査結果を書き足しながら移行するようにしています。

すでに一部の記事については移行してはいるものの、まだ大多数はSo-netブログにのこしたままとなっています。

(いずれはこちらのブログに完全統一したいと思っていますので、どこかでえいやでまずは加筆をあまりしない形でこちらに移行し、徐々に内容を充実するというのがよいかとも考えています。

移行した上で、参照しやすいようにまとめページなども作ろうかと思いますが、実はすでに旧ブログの記事については、日本シャーロック・ホームズ・クラブの先輩会員であるみっちょんさんがサイトにまとめていただいています。

ご関心ある方は、当面はこちらのサイトから関係記事に飛んでいただければと思っています。

 

なお、ライヘンバッハの滝など、Finding Sherlock’s Londonにのっていない場所も訪問した際には紹介するようにしています。また、BBCシャーロックに登場する場所や参加したツアーのことなどもこのカテゴリーで紹介していますので、ご覧になっていただけるとうれしく思います。

 

こちらのブログに移行した記事の場所については、Google Mapに落としてみています。地図からブログ記事を読みたい場合などにお使いください。

旧ブログから移動した時にこの地図も更新していこうと思います。

 

最後に

本ブログ(および旧ブログに残った記事)で紹介しているホームズゆかりの地に関する情報や写真は主に訪問した時期に基づいた記載となっており、その多くは2006〜2007年の留学時のものです。

できる範囲で適宜追記はしていくつもりですが、情報の多くは当時のものであることにご留意ください。紹介しているものの、すでに閉店してしまっている店などもあります。

そうはいってもロンドンは変化も激しい町ですが古き良きものも残っています。

シャーロック・ホームズとワトソン博士を愛する皆さんがロンドンに行く際に、少しでも役に立つコンテンツとなるよう、引き続き内容を充実させていけたらと思っています。