Session 4. Concepts:Equity
今日はEquityについて。EqualityとEquityの違いということと、EffectivenessとEquityの対立というのがポイントだったと思います。
まずは講義から始まりました。
Health inequalityの事例として、乳児死亡率の地域間格差、地域内格差、そして国内でも収入によって格差があることが示されました。(95-99年平均で、世界平均が60なところ、アフリカが91と高い。さらにアフリカ内でも19の国があれば、165の国もある。)またワクチン接種率、栄養状態も収入によるグループ(Quintileが使われることが多いようです)で見ても、貧困グループになるほど数値が悪化。
Inequalityはグループごと(貧富、男女、都市・地方、人種・部族、宗教)の違いで、InequityはInequalityの中でもunfairでunjustなもの。Equityは、political conceptで社会正義へのmoral commitmentであり、何がフェアで公正なのか主観的な判断を含む。
保健サービスのEquityの原則は、ニーズに基づいたリソースの配分、ニーズに基づいたサービスの受益、支払い能力に応じた支払いであり、Access、Quality、AcceptabilityがKey Issueである。PHCではEquityは重要な原則の一つ。
しかし、歴史的には93年World Development Reportで、保健予算の効率化、多様化と競争原理の導入などが提言されたが、User feeの導入は、サービスの質を上げることもあるが、むしろEquityは低下させることが多いなど弊害が。(貧困層へのExemptionは制度はあっても実際には適用されていないケースが多い。)
予防接種などで、80%の目標達成を掲げても、最貧困層は残りの20%に含まれることが多い。(僻地に住んでいるため)また残りの20%をカバーするのは、よりコストがかかる。こうした意味では、MDGの掲げる数値目標も同じ危険をはらんでいる。
Equityは、どのような理由(貧困、人種、ジェンダー、地域)を問わず生じている社会的不利益で、Pro-poorは富・貧困のみを対象。前者と違い、後者は絶対的な値で測定できる。多くの国際機関、ドナーはPro-poorに焦点。(PAHOをのぞく)
保健のInequityは明確にならないため、計画段階できちんと取り込む必要がある。そのためにはInequityのデータが必要だが、通常こうしたデータは取られていないケースがほとんど。DHSなどを活用したデータはあるが限定的。例えば、Government Subsidiesが最貧困層ではなく最富裕層に行っているデータなどがある。
貧困層へ効果的にサービスを広げるためには、国家政策でUniversal Accessを強調する、ユーザーフィーを導入しない、税金を原資とした予算で公的サービスとして行う、Free to userな病院とIn-patientサービスに多くの予算を回すことが重要。(アジア・パシフィックの事例からEquitapが提言。)
講義の後は、グループワークです。
グループワークでは、ある国の予防接種のデータを元に、全体の予防接種率を高めるために効果的な方法とEquityを高めるための方法を議論するというものでした。
首都(85%)、首都に近く道路も整備された地方都市(50%)、アクセスのあまりよくない地方(50%)、島嶼部(40%)、の4地域。さらに各地域での富裕層と最貧困層の接種率も示されています。
議論としては、効率的に全体平均をあげるには、道路の整備された地方をまずターゲットにする、そのためにはルーチン接種のサービス向上、キャンペーンの実施、啓発活動などを実施するというもの。一方で、Equityの観点からは、島嶼部におけるアウトリーチ活動を強化するということになりました。
疑問に思ったのは、予防接種は貧富に関係なく必要であるので、収入のすくない層が最も必要としていると言えるのかということ。僻地に住んでいる人の多くが貧困であるという仮定であれば、確かに病気にかかったときのアクセスが悪く、死亡や重症化しやすいと言える。一方で、都市部の方が人口が密集していて、例えば学校の生徒数も多く、感染が広がりやすいとも言える。Equityを重視した場合、端的に島嶼部を優先するということでよいのかは疑問に感じたものの、多分実際は島嶼部のみに予算を配分することはないので、バランスの中で効率だけを考えて予算を配分するのではなく、Equityの観点から島嶼部への予算配分を配慮して増やすということになるのだと思います。
講義とディスカッションがうまく連動して、なかなか面白いテーマだったと思います。Readingも参考になるものでした。
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