ちょっと前ですが中国を旅行した後、中国料理に俄然興味がわいてきました。そうなるとあれこれ知りたくなるもの。
そんな気分で帰国後、本屋でタイトル買いしてしまいましたが、満足な内容でした。
著者からのコメント
この度、長年の念願が叶って日本の“中華”料理に物申す単行本を発刊する運びとなりました。これまでフリージャーナリストとして培ってきた食材の知識や取材経験を思う存分発揮、中国料理の本場香港・北京をはじめ、東京でも本場通りの正統派中国料理にこだわる店を取材しました。得意の中国語を生かし、言葉の壁があって日本では本音の部分を紹介されてこなかった正統派中国料理店のオーナーや中国人トップシェフ(特級調理師)へのインタビューを行いました。 北京や香港では中国社会や世界的な経済の流れまでも複雑に絡んだ中国料理界の動きを捉えました。数年前まで中国料理界の食トレンドは世界の料理・食材との融合に動いていました。しかし、それはもう行き着くところまで来てしまったため、近年原点回帰しようという動きがアジア全体で強まりつつあります。そういう社会的な状況の中で見直されてきたのが「正統派中国料理(正宗中国菜)」の動きです。本書はその現象をいち早く紹介した最初の本です。 この正統派中国料理は中国語で「正宗中国菜」と書きますが、外国語では適当な言葉はありませんでした。そこで私はこの中国語に料理業界の共通言語であるフランス語をあてはめ、「中国」=「シノワ(Chinois)」、「正統派」=「ヴェリタブル(Veritable)」と翻訳して正式名称《シノワ・ヴェリタブル》、略称《シノヴェリ》と呼ぶようにしました。 日本で《シノヴェリ》が食べられる代表的なレストランを紹介すると共に、《シノヴェリ・レストラン》を見分ける方法を詳しく示しました。東京に限らず世界のどこでも通じる見分け方ですので、この本を最後まで読み、実践してもらえれば、貴方は必ず世界中どこへ出かけても「本当に美味しい中国料理」を食べられるでしょう。
「本当に美味しい中国料理が食べたい」で書かれていること
本書では、まず日本で食べられる中国料理の種類を、中国食堂(ラーメン、餃子など出すところ)、特定の中国料理の専門店(担々麺や刀削麺だけをだすところ)、普通の中国料理、本格的中国料理、流行の味、創作料理のみを提供する店、正宗中国菜店に分類して、特に正統中国料理を出す正宗中国菜レストランをシノワ・ヴェリタブ(略してシノヴェリ)と称して、どうしたらシノヴェリを味わうことができるかを指南してくれます。
シノヴェリの店を見分けるポイントが紹介されています。例えば、
「シノヴェリを提供する店なら、たくさんの料理が書かれたメニューリストなど客にみせたりしない。」(P22)
とか、
「中華街のレストランで出される特徴的な料理とは、日本人がこれぞ中華料理と考えている、典型的な料理を並べているだけなのだ。正直、中華街に行って、中華世界の雰囲気をのぞき見ることはできても、正真正銘の本場の中国料理とは出会えないのである。」(P36)
など。
中華料理はぱっと入ってぱっと食べられるという認識も改めるべきだそうです。
「本当のシノヴェリであれば、「野菜炒め」であっても、炒めるまでに行う作業、つまり材料の切り方一つに始まり、下ゆでや下味付けなどの仕込みに、九割方の時間と手間をかける」(P48)
だそうです。従って、予約は必須とのこと。干しエビや干し貝柱など乾物を戻すのにもそれなりの時間が必要と言われればそのとおりかなと思います。
その他にも中国の特級厨師などの料理人の資格の話、給仕の仕事ぶり(シノヴェリでは大皿で出しても必ず取り分ける等々)、経営者のあり方など店の裏側についても語られて興味深いところ。
客の心構え
一方の客の心構えとしても、まず中国の地域性と系譜を知ることが進められています。一般的には、北京、四川、広東、上海の4大料理など言われますが、そう簡単ではないようです。
いろいろな分け方はあるようですが、本書では黄河流域の系統(山西、北京、山東)、長江上・中流域の系統(四川、雲南、湖南)、長江下流の系統(蘇州、揚州、杭州、上海)、珠江下流域の系統(広東、潮州、客家)として紹介しています。これに加えて精進料理、宮廷料理、薬膳料理などの地域とは別の系統もあるそうです。それでいて、
「中国料理は地域や歴史によって変貌していく料理、うごめく料理」(P128)
でもあるとのこと。
予約の方法ですが、
「おおよその人数と予算を伝え、それから食べたい料理をオーダーする、これが美味しい中国料理を食べる最初のステップ。」(P132 )
だそうです。また、お任せコースを予約するのも美味しいシノヴェリを食べるコツだとか。そのときの予算は、最低限のコース料理の値段より1.2〜1.4倍くらいがよいとか。 非常に具体的なアドバイスが続きます。そして、デザートは杏仁豆腐ではなく暖かいデザートがおすすめだそうです。
最後には丁寧に東京で食べられるシノヴェリのお店も紹介されています。まさに至れり尽くせり。
Tomo’s Comment Follow @tommasteroflife
本書は日本で美味しい中国料理を食べることに関しては、十分な情報を提供してくれていると思います。本書を参考に、美味しい中華料理を食べにいきたくなりました。
中国本土へは出張で2回、観光で1回、中華圏と言うことでは香港に3回、台湾に1回行ったことがあります。しかし、本書でも書かれているとおり、中国の各地には違った中華料理の文化がありますので、それらを味わいに各地を巡ってみたら楽しいことになりそうです。
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