食べることが好き、料理することも好き、ということで、子供の時に、将来の夢でコックさんになりたいと書いたTomo(@tommasteroflife)です。
その後、大学生の時4年間レストランでバイトしていたのですが、職業としての料理人にはなりませんでした。
最近テレビなど見ていて、グルメレポーターとならんでなってみたかったと思う職業が料理研究家です。
どうしたら料理研究家になれるのか、そんな疑問に答えてくれそうな本があったので読んでみることにしました。
「料理研究家のつくりかた」の内容
Amazonでは次のように紹介されていました。
『料理研究家のつくりかた』は、「ル・クルーゼ」の鍋を使った料理レシピで多くのベストセラーを持つ人気料理研究家・平野由希子さんが、自らの「料理研究家」という仕事について、仕事に就くきっかけや仕事の全容、さらに日常の食生活、恋愛などのプライベートに至るまでを克明に綴ったエッセイ集です。
平野由希子さんという料理研究家の方の本です。
内容は、平野さんの日常の料理との関わりや年に数回行ってるというパリでの生活などが中心。平野さんは以前パリに滞在して料理の勉強をされていたそうです。
もちろん知りたかった料理研究家としてのお仕事のことなどもあって興味深いです。キッチンスタジオでの撮影の様子だとか、レシピをどう作るかとか。
料理研究家の定義って?
料理研究家って、不思議な職業ですよね。
研究者なら大学の先生だったり研究所に勤めていたりしますが、研究家だといまいちイメージがつかめません。
どういう定義なんだろうと思っていたら、本書の中でも触れられていました。
でも、私がしている仕事、雑誌、書籍、テレビなどで料理の仕事をする者にとっての、一般的な通称というのは「料理研究家」ということらしい。(中略)そんなある日、辻静雄先生のエッセイを読み返していたら、「料理研究家」という肩書きについての記述があり、ドリキとした。そこには、「研究家」には、もっか研究を続けている立場の者をさす場合(つまり、現在のままの状態ではあまりたいしたことは知らないということ)と、これまでに続けてきた研究の成果を背負う立場の者をさす場合とがある、という内容。(P66〜68)
研究家という仕事、とても興味深い仕事のようです。本書では「料理研究家」がどんなことを考えて、どんな暮らしをしていて、とか、料理や素材に対する考え方とかが分かります。
これからなるのは難しいかもしれませんが、仕事を選ぶときに知っていたら結構迷ったかも・・・、なんて思ってしまいました。
で、どうやって料理研究家になれるのか
どうやったら料理研究家になれるのか、興味を持って読み進めました。
ちなみにこのような目次となっています。
日々の仕事。
たとえば、撮影のとある一日
レシピはこうやってつくります
レシピに書けないレシピ
料理研究家って何を食べているの?
残り物
仕事でつくる料理、趣味でつくる料理
「おいしい、おいしい」
フレンチをつくるようになった理由
料理研究家という肩書き
いつもの料理と食事。
フレンチは簡単
つくってもらうごはん
キッチンの匂い
おおうちのごはんがおいしい理由
レストランでの葛藤
ひとりごはんのひそやかな楽しみ
恋する料理
めんどうくさい
枝豆
私のおもてなし
「ケ」のおもてなしのすすめ
つくりながら、食べるごはん
パリで。
パリでのいつものごはん(パリの1日目)
たとえば私のフランス滞在1週間―2005年・春
バターを巡る旅
はちみつ
「どこで料理を学ばれたのですが?」
料理がもっとうまくなるために。
レンジとフライパン
道具は使い倒してこそ
味見
アスパラガスのゆで方
焼きアスパラガス
塩味
名残り
料理は日々うまくなる
料理研究家としてのレシピ作りについて書かれています。撮影の様子も書かれています。パリで料理を市食べる日々を過ごしたことは書かれています。
しかし、どうやって料理研究家になったのかについては、目次を見ても分かるとおり、本文では書かれていませんでした。
実はその一端は、最後の「プロフィールに代えて」というあとがきで述べられていました。
ー料理研究家になったのは?
高校生くらいの頃から(中略)自分なりのレシピをつくるようになっていました。雑誌の料理コンテストなどに応募しては、入賞したりなんかもしていました。
ー料理研究家として、最初の仕事は?
仕事に結びついたのは、文化出版局に企画を持ち込んだのがきっかけです。(中略)子ども向けのおやつの本の企画を持ち込みました。それを著書として、出版することになったんです。
出版して一年くらいでたって、少しずつ料理の仕事もはじまっていったのだそうです。
このあたりの経緯はもう少し掘り下げて書いてもらいたかったところです。
印象に残ったところなど
料理研究家のなりかたは分かりませんでしたが、興味深いことは多々書かれています。
料理の学び方については、こんなことが書かれています。
どこに暮らしていたって、その過ごし方次第で料理は学べる。旅に行けば、そこは違う文化の中。アンテナは敏感になり、ちょっとしたあさごはん、カフェでの食事でさえ新鮮で「ふーん、そうなんだ、こんな風に盛りつけするんだ」とか、「やっぱりパンがおいしい」とか、サラダの中のひとつひとつの野菜を眺めたり、噛みしめたりもする。
だから、発見がある。そう、何か新しいことを見つけようとする目と心になっているから。
どこにいても、旅をしているように目も心も開いていたい。
いつも食べている食事だって、じっくり見つめると、新しい発見はいくらでもある。(P160)
私はプロの料理研究家ではありませんが、途上国を中心に人々の暮らし(主に健康)を良くする仕事をしています。
その国の人の暮らしもよく知らなければならないと思っていて、その手段の一つが現地の料理を食べることだと思っています。
従って、仕事(に限らず、ですが)で行く国では、必ずローカルの食事を食べてみることにしています。
その成果はこちらで発表しています。
世界でごはん | Master of Life Blog Remasterとある先輩から言われた言葉、「その国を知るには、その国の人が普段食べているものと、その国の人が誇りに思っている料理を食べるべし」というのを実践するようにしています。
そんな意味からは、旅に出たときは平野さんと同じようにアンテナを敏感にして美味しい店を探し、新しい発見を楽しんでいます。
美味しさの重要な要素である塩について書かれた次の部分も印象に残りました。
塩味。料理で一番難しいのはこれ。料理がおいしいか、おいしくないかを左右するもの。仕上げの塩のひとふりで、料理は極上のものにも、最低のものにも変貌してしまうから怖い。(中略)フレンチをつくっている時には、少し迷うぐらいなら、仕上げに少しの塩を加えた方が味が決まる、ということはその中の小さなコツの一つ。そして、とっておきのコツは「塩の三回使い」。(P182)
プロの料理人は、お湯と塩だけで美味しい汁をつくれるなんて話もあるくらい塩使いは難しく奥が深いですよね。私も日々失敗を繰り返しています。
料理道具についての考え方で印象的だったのがこちら。
道具を使い続けることで、料理の腕はあがる。使い込んだ道具で料理を作ると、なぜだかおいしくできるのだけど、道具が料理に力を貸してくれるような気がしている。(P170)
これまでは結構雑に料理していたような気がするので、せっかくだから料理するときはもう少し意識して手抜きしないでやってこうと思いました。
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とうことで、「料理研究家のつくりかた」をレビューしてみました。
私自身は、現時点では今の仕事を辞める予定はないのですが、いずれ別の仕事をしたいと思うこともあるかもしれません。
その時、まっさきに選択肢にしたいと思うのが食にまつわる仕事です。
料理は好きでそれなりに作りますが、いまから板前やシェフになるのはかなり難しそう。ラーメンなどの一品もの、喫茶店の軽食などは可能性あるのかもしれませんが。
テレビ番組の食レポというのも、まずは芸能界である程度有名になる必要があるし難しそう。
料理研究家やフードライターというのは、これまでのあちこちでの経験も多少活かせそうなどと思いますが、競争はかなり激しい世界のようですね。
そうした意味では料理研究家というものを知ることができた本書を読んで良かったと思います。
その他の料理関連の本はこちらでも
【読食】一流の料理人の心構えを「調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 」で学ぶ
お料理じゃなく、料理研究家の作り方っていうのが
珍しくて気になりますね。^^
この本、本当におもしろそう・・・ですね☆
>Yukiさん、こんばんは。
料理研究家になれたらおもしろそうだなと思ってしまいますよね。料理はだれでも作れますが、それを職業にできるというのがうらやましいです。
>お茶屋さん、こんばんは。
面白いと思いますが、買うほどではないと思う気持ちもちょっとあるかも。料理好きであれば、買いだと思います。
いつの間にか広がった「料理研究家」という肩書き。
私とは違うジャンルの方の心を、
じっくり読んでみたいと思いました。(^^)
>ちかさん、こんばんは。
違うジャンルの方の考えることって新鮮で刺激になりますよね。お花のことなど新鮮に読ませていただいてます。
こんばんは。
平野さんの料理の本は好きで何冊か持っているのですが、この本は知りませんでした。Tomoさんのblogを読んでいたら面白そうなので、早速探して読みたいと思います。
> Madeleineさん、おはようございます。
パリでの生活なども書かれているので、きっと面白いと思いますよ。平野さんの本、他にも読んでみようと思いました。
料理研究家とは、大変あいまいな表現です~^^
経済評論家・・みたいに
ようわからん仕事?・・みたいですね^^
料理家のほうが、わかりやすいんです^^
私もそうの一人ではありますが、
特に料理の書物で研究しているわけでもなく・・・です☆
>piattopiattoさま、こんばんは。
料理家だと分かりやすいですね。
著者の方も研究というところに多少の引っかかりがあるようではありますし。でも、美味しいレシピが書けるのはやはり素人とは一線を画しているところですね。