今日は午前は二つレクチャー、午後は見学。
一つめはマラリアに関する政策形成について。グローバルレベルとナショナルレベルが特に重要。グローバルレベルではGFATMやPMI(アメリカ)の影響が大きくなっている。WHOももちろんテクニカルな面では影響している。RBMは実施に重点を置いているものの、やはり影響はあるようです。
保健政策、保健戦略、マラリア政策(薬や予防などのサブコンポーネントの政策)、マラリア戦略などがナショナルレベルで定められていることが多い。政策は何がなされるべきか、戦略はどうやってするか、というのが最も簡単な違いということで、なるほどと感じました。
政策形成過程は、問題発生、Evidenceの収集・レビュー、政策決定者へのオプションの提示、コンセンサスの形成、政策の採用、実施というのがオーソドックスな流れだけど、実際はこんなにきれいには行かないというのは、Term1の保健政策の授業でも習ったとおり。政策形成の過程でのアドボカシーの重要性についても言及がありました。
質問も多く、ちょっと1時間では収まらない内容だったように思います。講師の方は、何度かお会いしている方なのですが、レクチャーを受けたのは初めて。分かりやすく、また質問にも適切に答えてくれてとてもよい授業でした。授業の後に、課題について相談したら、いろいろと情報ももらえたし。
二コマ目は予防のアプローチについて。
Lavalコントロールは、95%カバーしないと難しい。Few, Easy to identifyな場合(鉱山の水たまりなど)以外は、コミュニティ活動でやってもあまり意味がなく、草刈りがマラリア対策として行われたことも多いけど、ほとんどの場合マラリアには関係ないそうです。媒介蚊の生態にも関係があるので、よく考えて行う必要があるようです。
IRSは、決まったThresholdはないものの、80%の家をカバーする必要があるそうです。(それ以下だと効果が低くなる。)スプレーの仕方もきちんとする必要があるし、80%カバーするのも難しいので、正しく実施する必要があります。トレーニングの時間なども含めると、雨期などを見越して早めに準備をする必要があるとのこと。また、IRSは自分を守るというよりはコミュニティを守るという意味があるので、個人へのインセンティブが働きにくく(Public Goodsの性質)、ここも工夫が必要だそうです。一方で、ITNは個人を守る働きがあります。ITNによって、Prevarenceは変わらなくてもMortalityは落とすことができた事例があり、これはすでに感染していても発症していない子供に新たに感染することを防ぐことで重症化を防げるということが原因とのこと。
Insecticide Air Sprayは都市部のスラムなどでのアウトブレークなど限られた場面でしか有効性はないということでした。
HIVもそうですが、ある程度効果のあるInterventionは分かっているものの、実施のキャパシティによってうまくいかないというのは、結局は保健システムの弱さに行き着いているという意味では共通していると感じました。
午後は蚊の培養場(っていうのでしょうか?)の見学でした。学校のメインビルの地下に、蚊を飼育しているところがあって、そこを見せてもらいました。温度はちょっと高め(蚊の生息地にあわせているんだと思います。)で、たくさんのケージに入った蚊の成虫と洗面器のような容器に入った幼虫、そして蚊の幼虫を食べることで蚊を少なくする効果が期待されている魚(グッピーのようなものでした)と他の大型の蚊の幼虫、などが飼育されていました。マラリアは持っていない蚊なので、持っている蚊との比較で使われたりするそうです。(ちなみに持っている蚊は実験室で厳重に管理されているとのこと。)ハマダラカを見ることも少ないので参考になりましたが、なんだか見てるだけでちょっとかゆい感じが。
イギリスって蚊いないから、変な幻想持ってる人もいますよね。
と、変なコメントを残してみる。(笑)
イギリスって蚊いないんですか。これから夏になったら出てくるんじゃないかとおびえてました。