【今日の授業】AIDS

今日も朝からレクチャーが3本。

最初はエイズと結核の重複感染について。アジアでの重複感染のプログラムは多少関わったことがあるものの、アフリカでの状況などはかなり違うようです。講師はザンビアで活動をしていたそうです。

いろいろと知らないことがありました。HIV感染者が結核にかかると肺外結核になることが多く、検査が難しいということです。DOTSでは喀痰検査が基本ですが、これがうまく働かないということは大きな問題のようです。こうした結核をNew TBと呼ぶとか。

また、結核は薬だけではなく免疫システムと一緒に働いて直すことができるけれど、HIV観戦で免疫が落ちていると治りにくくなることがあるそうです。MRD TBという言葉は聞いたことがありますが、最近はすべての薬に耐性を持つEDR(Extreme Drug Resistance)TBというのが出てきているというのも大きな問題です。

結核対策について担当したことがあり、そのときにWHOのDOTS戦略について学びました。それがもう数年前で、今ではHIVの出現で、結核対策自体も大きく変わってきています。昨年、STOP TBの方から新しい結核対策戦略を聞く機会があったのですが当時理解していなくて今日の講義で改めて聞いてちょっと驚いたのが以前のWHOの戦略ではDOTS(5つの要素)だけだったのが、昨年からの新戦略ではDOTSが柱の一つになっているということだそうです。またDOTSの5要素の一つでもある直接監視については、医療従事者による直接監視下による投薬はすでにマストではなく、継続性を重視するということでやり方自体はずいぶんフレキシブルになってきているとのこと。実はこの変の変化はよく知りませんでした。(例によって、ハンドアウトがなかったので、あとで入手して細かいところは再確認が必要。)

二コマ目は、Living with HIVということで、実際に感染している方に来てもらい、体験などを聞くセッションでした。来てくださったのは、ザンビア人の女性でJeannie Mulengaさんという方。HIVで夫を亡くし、子供と一緒に実家に戻ったけれど両親は一緒に住むことを喜ばず、また首都に戻っても差別を受けてつらかったこと。ある親切な医師がサポートしてくれて商売を始めたが病気の彼女から買う人が少なくてうまくいかなかったこと。同じく親切な医師のサポートでARTを開始したところ健康が劇的に回復したこと。同じ境遇の女性と出会い、話を聞いて励ましているうちに、HIV感染女性・子供を助ける活動を始めたこと。今ではHeal Projectという名前で、女性やエイズ孤児の子供達をサポートしているということでした。

この授業というか講演は正直なところ大変に良かったと思います。教室にいて本を読んでいるだけだと、HIVや他の病気の問題などを数字でとらえるだけになってしまうところがどうしてもあると思います。病気で苦しむ人たち一人一人に様々なストーリーがあって、つらい経験をしているということを忘れがちになってしまう危険もあると思います。自分たちがどのような人の役に立つために勉強し働くのかということを思い出す意味でも、今日のお話は本当に良いものでした。Jeannieさんはザンビアでの活動の傍ら国際エイズ会議を始めいろいろなところで体験を話しているということですが、つらいことも含めて我々に経験をシェアしてくれたことに感謝したいと思います。ARVを初めて、健康を回復したと言うことで、子供達とも暮らせるようになり、商売もできるようになって、同じ境遇の人を助けられて、希望を持って生きていると明るく語ってくださったのが印象的でした。

お昼を挟んで、3コマ目はHIVのClinicalな基礎知識ということで、本当は他の授業が始まる前の先週にある予定だったのが、講師の都合で今日になってしまいました。内容はすでに個別の授業でカバーされていることなので、特に新しいことはなかったのですが、浅く広くカバーしてくれたので、全体像がある程度整理できたように思います。ARTがこれだけ主流になる前にしかHIV対策には関わったことがないので、その後かなり劇的に変化しているということがよく分かりました。ただやはり生物学や物理学の基礎知識がないと、習ったことしか分からないという意味で、ちょっと消化不良な感じは否めないような気もします。これから行政、社会的な側面が増えてくるので分かりやすくなってくるとは思いますので、どこかで時間を見てClinicalなところもできるだけ復習しておきたいところです。幸い、周りには医師も多いので、先生には事欠かなそうです。

お昼休みにちょっと集まりましたが、グループワークも進んでいます。5人のグループで割り当てられたケニアのHIVの状況をみんなでまとめてカントリープロファイルを作成し、それを元に各自が新しい活動のプロポーザルを作成するというのがこのモジュールの課題になります。ケニアのことは(というかアフリカについても)あまり詳しくないのですが、ケニアはサブサハラアフリカで唯一行ったことがある国でもあり、その点では親しみが持ててよいと思います。

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