ハードボイルド小説の中でもミステリー分野で有名というか元祖的な作家にハメットやチャンドラーがいます。彼らの作品も骨太で好きなのですが、もう少し新しい世代の作家、ロバート・B・パーカーが描くスペンサーシリーズというのが私のお気に入り。
そんなスペンサーシリーズについて、料理に焦点を当てた本がこちら。
スペンサーシリーズの魅力
ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズ。主人公の私立探偵スペンサーが持ち込まれた事件を追って、時にはボロボロになりながらもタフに事件を追っていく様子が、スペンサーの口調で語られていきます。ハードボイルドと言っても渋いキャラと言うよりはどこか陽気で冗談をさかんに飛ばすところがスペンサーの魅力です。
スペンサーの男らしさ、爽やかさなどに加えて、相棒のホークのスタイリッシュなところ、圧倒的な強さ、恋人スーザンとの関係などキャラクターの魅力がこのシリーズが気に入っている理由の一つです。
料理の描写が多いのも好きな理由
スペンサーが料理をよくするところも他のハードボイルドにあまりないところで好きな点です。
この本は、そんなスペンサーが作ったり食べたりした料理について、それぞれの料理のバックボーンやアメリカにおける位置づけを解説をしたり、スペンサーシリーズでいかに取り上げられたか、といったことが書かれています。
アメリカ料理というと豪快さやシンプルさといったイメージですが、アメリカ人にとってはどんなオケージョンで食されるのか、どんな思い出がつまっているのか、そんなことが紹介されるため、アメリカ料理に親しみを感じられる描き方になっています。
アメリカはその歴史からもヨーロッパの影響を受けていて、パスタとかサラダとかヨーロッパ各国に起源を持つ料理が多いです。ただ、西部開拓の歴史からか、それらの中でもシンプルな料理が好まれ、残っているようにも思います。
私も2002年から2年ほどワシントンDCで暮らしたことがありますが、ダイナーで食べるハンバーガーや、友人の家で開催されるBBQで食べた肉や野菜など、アメリカらしい食も愉しみましたし、イタリアンやフレンチ、ベトナム料理などの各国料理も美味しいところが多くあったのを思い出します。
スペンサーシリーズでは料理だけではなくて、お酒の話も豊富です。
「マーロウといえばギムレット」のような図式はスペンサーには当てはまらなくて、彼はかなりいろいろなお酒を飲んでいます。ビールも初期はアムステル、その後はクアーズ、ベックスなどを飲んでいますし、ウイスキーも飲んでいます。ワインにも詳しいようです。一方で、ホークはシャンパンが好みだし、スーザンは白ワインをちょびちょび飲むというのが印象的です。
本書の最後に、スペンサーが活躍していたボストンで、彼がいったと思われるレストランを紹介しています。
ホームズのゆかりの地をめぐるのが楽しいように、スペンサーの行ったレストランを巡ってみるのもきっと楽しいと思います。
ホームズは100年以上前ですが、ロンドンにはまだまだ当時のレストランやホテルが残っています。最近まで活躍していたスペンサーでももうなくなってしまっているレストランも多いようです。イギリスとアメリカの違いなのでしょうか。
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この本はスペンサーシリーズがまだ続いている途中で書かれた本ですが、その後のシリーズも踏まえて是非加筆してほしいと思える本です。
ハードボイルドでこのように料理を主題にまとめられるようなシリーズもあまりないと思うのですが、今後テーマとして探してみたいと思います。
ちなみにホームズシリーズでも料理に焦点を絞った本があります。
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中高校の頃よく読んだなあ.「初秋」とか.
ワシがフルーツ系ソースを知ったのはこのスペンサーシリーズだった.
…腹減った.笑.