シャーロック・ホームズはイギリスのヴィクトリア時代に活躍しました。
ドラマ化、映画化もされているので、ヴィクトリア時代のロンドンの雰囲気を感じられる映像も多くあります。(グラナダTV作成のジェレミー・ブレットによるドラマはまさにその最高峰とも言えます。)
しかし映像化された作品のほとんどはビクトリア時代を再現したどこかのセットの中で再現されたものです。
もしヴィクトリア時代のロンドンの風景が見てみたい、それもホームズが実際に事件でまわった場所の様子が知りたい、そう思ったときにぴったりなのが今回紹介する本書となります。
ヴィクトリア時代のロンドン写真集
著者のチャールズ・ヴァイニーさんは熱烈なシャーロッキアン。彼は「ホームズ物語はロンドンの物語である」と語ります。
かの偉大な探偵がベイカー街二二一bを拠点に捜査を展開するという設定で、長・短編すべての作品が、全編を通じ、あるいは部分的にもロンドンを舞台にしていることは、「ホームズ物語」はとりもなおさずロンドンの物語であるという結論に達する。(はじめに、より)
ホームズが活躍したヴィクトリア時代のロンドンを当時の写真で再構築しようというのがこの写真集となります。
ヴァイニーさんはホームズが活躍したヴィクトリア朝後期に撮影された写真を何千枚も調査し、ホームズの作品中で言及されている場所の、できるだけ登場した時期に近い写真を選びました。
その写真を原典での登場シーンとともに事件毎に配置しています。
見所は当時の人々の様子
こちらの写真集では、登場した地名にある建物を撮影した写真が多く掲載されていますが、それに加えて建物の内部の写真などもあります。また通りの写真を見ても当時の人々が多数写っています。
現在のロンドンにも、ビクトリア時代にあった建物がそのまま残っていることも多いので、建物そのものの写真だけであれば、今とそれほど変わらないものもあります。
この写真集の見所と言えるのは、建物だけではなく当時の人たちの様子も写っていること。100年以上前のヴィクトリア朝時代の人々の装い、仕事ぶり、熱気などが伝わってくるのです。
Tomo’s Comment
この本はこちらのエントリーで紹介している本の日本語訳です。
基本的には同じ写真が使われていますが、訳者でもあり著名なシャーロッキアンでもある田中喜芳さんの訳者あとがきも読めますし、すでに絶版になっていることもあり古本で購入することにしました。
ロンドン在住時にはこの写真集も「ゆかりの地」巡りに大いに役立ってくれました。1年の滞在で200カ所を訪ねた「ゆかりの地」巡りは今でも良い思い出となっています。
RT @tommasteroflife: 【ホームズ】「シャーロック・ホームズの見たロンドン」事件に登場する場所のヴィクトリア時代当時の写真が満載。 http://t.co/bnBXPOLo4W