シャーロック・ホームズと最初に出会ったのは小学校2年生くらいの時でしょうか。市内にあった図書館で、子供向けに翻訳されたホームズシリーズを借りて読みました。ただその当時は同じく子供向けに出ていたルパンシリーズの方が面白かった記憶があります。ルパンものの方が、物語に動きがあったのが子供むけで面白かったのかもしれません。
その後高校、大学と進むにつれ徐々にホームズとその取り巻く世界に魅力を感じ、関連本を買い集めるようになりました。
ホームズ作品の多くを網羅
その中でも基本となったのがこちらの本でした。
電話帳ほどの厚さがありますが、この本にはホームズの短編56編のうち44編が、長編4編のうち3編が納められています。残念だったのは、当時他の翻訳シリーズでもあまり入っていなかった長編「恐怖の谷」と短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」がこちらにも納められていないため、その後探すのに苦労したことでしょうか。
一冊で正典(ファンはドイルの書いた60編をこのように読んでいます)のほとんどがカバーされていますので、その後いろいろな関連本を読んだときに、オリジナルにあたるのに非常に便利でした。
さらにうれしいことは、初版本の挿絵も納められていることです。現在に至るまでさまざまなイメージで描かれるホームズは、シドニー・パジェット氏が書いたこのイラストによるところが大だと思います。おなじみの帽子(鹿狩帽とか鹿撃帽とか言われているあれです)も「ボスコム谷の謎」で描かれたホームズの姿から来ているようです。ただし、あの曲がりくねったパイプについては、挿絵には描かれていませんので後に作られたイメージです。(パイプは描かれていますが、柄の部分がまっすぐなタイプです。)
挿絵があることでイメージが限定されてしまうという面はあるとは思いますが、一方で100年前のロンドンの様子とくに人々の出で立ちが分かるというのは貴重だと思います。
Tomo’s Comment
ともかくも、当時としては一冊にまとまった全集はなかったので、私にとってのホームズを語る上での第一の基礎資料がこちらでした。その後、単行本で「恐怖の谷」と「事件簿」を入手し、全ての作品を手元に置くことができました。
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