著者の高岡治彦さんは眼科医で、専門を選ぶときにコナン・ドイルが眼科医であったことも影響したとおっしゃるほどのシャーロッキアンです。そんな高岡さんによるシャーロックホームズ学入門がこちらの本となります。
本の内容は
まず、目次はこちら。
プロローグ
シャーロック・ホームズパブにて
コナン・ドイルは眼科医
ホームズのキャラクター分析
医学博士ジョン・H・ワトスン
ホームズと眼科医用語
「ホームズ物語」の読み方
作品紹介
エピローグ 「プロローグ」では、眼科医である著者がドイルが眼科医であったことに影響を受けて眼科医になったというご自身の独白からはじまり、「シャーロッ ク・ホームズパブにて」でホームズ作品と自身の関わり、そしてついにロンドンにまで来てしまった様子が書かれています。
ノーサンバーランド・ストリートのシャーロック・ホームズパブへ行く。永年写真で見続けて、頭の中に焼き付いたパブの表に立った。とうとうやってきた。窓ガラスには、コナン・ドイルの肖像画、ホームズの絵が描いてあった。(P18-19)
続いて、シャーロッキアンとして自身の眼科という専門を活かし、眼科の切り口でホームズの研究に取り組んだ足跡とその成果としての眼科医としてのドイルの来歴、ホームズ作品の中での眼科用語の解説がなされます。
そしてホームズとワトソンのキャラクター分析。
最後のパートは「ホームズ物語の読み方」と「作品 紹介」となっており、読み方では、各日本語訳(出版当時)の長所・短所、「ボール箱」における冒頭読心術が別の話に移されてしまった経緯、事件発生年など について解説し、作品紹介ではドイル自身のホームズ作品ベスト15とともに、著者自身のベスト10+1とその理由を紹介しています。
古典シャーロッキアーナ
1983 年に出版されたということで、かなり古いホームズ研究本と言えると思います。(日本のシャーロッキアンの先駆け的な存在の長沼弘毅さんの最後の本が出され るよりも前ですね。)
内容としては、愛媛新聞への連載だったことを考えると、ホームズ作品そのものへの入門という色彩も強く、ホームズのことを知らない人 でも楽しめる内容を目指していたと思えます。
ただ、ホームズ作品の紹介だけではなく、ホームズを研究するということがどういうことなのか、シャーロッキ アンとはなんなのか、といったこともきちんと言及されていますので、ホームズ学入門としての役割はきちんと果たしています。
入門書というこ とで、情報については既知のことが多かったのですが、ご自身の眼科という専門性から眼科医としてのドイルについて掘り下げている点は他にない点で参考になりました。
また著者が眼科の観点から研 究をするに至った経緯として、
「シャーロッキアンになる為には、何かテーマを持たねばならない訳である。それも出来るだけ人のやっていないテーマが良いの である。世界には数多くのシャーロッキアンがいる。あらゆる角度から研究されていて、中々新しい事を発見するのは困難である。」
ことを挙げています。
1983年当時でさえ、あらゆる事が研究されている状況であったことがホームズ研究の歴史の深さや世界的な広がりを感じさせます。ましてや、現在においてはさらに研究分野は広がり深まっていて研究するにはますます新たな視点が不可欠となっています。
Tomo’s Comment Follow @tommasteroflife
「テーマ設定ができれば論文はできたも同然」という事を聞いたことがありますが、このテーマ設定が最も難しいところです。
ホームズ学入門はこちらでも
【ホームズ】ホームズ研究に目覚めた一冊。「名探偵読本 シャーロック・ホームズ」
モーティマ医師の真似をすると「『シャーロック・ホームズ』と
言う果てしない未知の大海の岸辺で、どの貝殻を拾おうか迷って
いる」って感じで四半世紀が過ぎました。
迷いはありますが面白さは増しています。
それにしても綺麗な貝殻がたくさんありますし、貝殻拾いの
同士に巡り会えたのが宝物です。
>みっちょんさま
私も今年は貝殻拾いの同士とたくさんお会いできたらと思っています。3月にお会いできることを楽しみにしております。
にたような言葉で、
研究の方向が決まれば、8割は成し遂げたと同じ・・・という言葉を知りました。
歴史学にしろ、競馬にしろ、研究・分析の方向性を正しく設定することが重要ですね。そうしないと、肉屋で野菜を求めることになってしまいますね。
ドイルは眼科医だったのですか!
ドラマ・コナンドイルの事件簿でもそんなことは全く描かれていませんでしたね。
>降龍さん、
コナンドイルの事件簿は見てないのですが、眼科医であることは出てこないのですね。でも、眼科医としてはあまり成功しなかったみたいなので(だから文筆業に集中してくれて良かったのですが・・・)仕方ないかもしれないです。
方向性を定めるというのは重要ですね。でもここが一番難しいし準備もいるところですね。
今日もまた、アドマイヤオーラの同枠がきましたね。
方向性はビッタシでした。(笑)
これが正しい、馬券の考え方だと自負しています。
私は有馬くらいしか実際に買わないのですが、今年は考え方を改めます。
Tomoさんも、競馬クラブに仲間入りですね。(笑)
競馬というものは、一着からビリまで、完全にシナリオどおり演じられているものです。こちらは、基本的には類推しるしかないのですが、その演出の一部くらいは何とか読み解けるはずです。ホームズのような知的観察力が要求されますね。
シナリオを読むことが大事なんですねー。有馬に向けたドラマがどのように盛り上がっていくのかウォッチしていきます。