【シャーロック】ジョンとスタンフォードの出会いのシーンはコーヒーのカップに注目

DSCF1949

BBCドラマ「シャーロック」を見てシャーロック・ホームズに興味を持った人のためのシャーロッキアン講座。まだまだ序盤です。

前回は、不自然な連続自殺事件について被害者の名前やシチュエーションが、ある「語られざる事件」に由来していることを説明しました。「語られざる事件」はこの後もシャーロックでたくさん登場しますので、また書く機会もあると思います。

さて、場面は進んで、ジョンが公園でスタンフォードに出会うシーンとなります。ここにもシャーロッキアンをニヤッとさせる演出が施されていました。

ジョンとスタンフォードの出会い

ジョンがとある公園を歩いているとベンチに座っていた男性に呼び止められます。

「ジョン・ワトソン。元同僚のマイク・スタンフォードだ」

「そうだったね」

「太ったから」お互いに握手をして近況を語り合うシーンです。

この公園ですが、大英博物館に近いラッセル・スクエアというところ。私もかつて留学していたときに近所に住んでいました。

ジョンが最初に歩いている場面の背景でこの建物が映っています。

DSCF1948

ジョンとスタンフォードは同じ病院で働いていたことが語られます。(この病院については以前に写真を紹介しましたが、またいずれ書きたいと思います。)

ワトソン博士とスタンフォード青年の出会い

実はこの出会い、原作の「緋色の研究」にも同様のシーンが登場しています。

さしあたりホテルをひき払うのを手はじめに、もっと質素でよいから費用のかからぬところへ居を移そうと決心を定めたのである。 この決意ができたばかりの日だった。クライテリオン酒場のまえにつっ立っていると、肩をたたくものがある。ふりかえってみると、聖バーソロミュー病院時代私の下で助手をつとめていたスタンフォード青年である。  だだっ広い大ロンドンのまっただ中で、親しみのある顔にひょっくり出会うなんて、孤独なものにとってはじつに愉快なことである。スタンフォードとはそのころ、なにも特別に親しくしていたというわけでもないのだが、私は狂喜した。

原作ではスタンフォードは青年と形容されていますが、「シャーロック」でのスタンフォードは太った中年男性となっています。

しかし、この違いよりも大きいのは出会いの場所です。原作でワトソン博士とスタンフォード青年が出会ったのはクライテリオン酒場の前。このクライテリオン酒場というのは、ロンドンの中心ともいえるピカデリーサーカスにあったもので、現在もクライテリオンレストランとして営業を続けています。

P1060015

ジョンとスタンフォードの出会いでの注目ポイント

ということで、出会いの場所が原作と「シャーロック」とでは違うのですが、実は細かい演出がなされているのです。

ジョンとスタンフォードがベンチに座って話しているシーンでのコーヒーのカップに注目していただきたいと思います。

Tumblr inline n3gs2vhkJM1sanwlv

「ピンク色の研究」より

(C)Colin Hutton(C)Hartswood Films 2010 John Rogers(C)Hartswood Films 2010

 

よーく見ると、持ち手のところにCriterionと書いてあります。出会いの場所は違うものの、細かいところで原作をリスペクトしているのが分かるシーンとなっています。

 

Tomo’s Comment 

ジョンとスタンフォードの出会いを、原作そのままにピカデリーサーカスのクライテリオンの前にしても良かったと思いますが(クライテリオンは今も営業していることですし)、あえて違う場所にしつつ、細かいところで原作のクライテリオンを登場させているというところがなかなかシャーロッキアン心をくすぐってくれます。

 

話は変わりますが、このシーンに関連して不思議な体験をしたことがあります。

当時ロンドンに住んでいた時、会社の後輩がたまたまロンドンをトランジットしてアフリカに行く用事があるということで、短いトランジットの時間を利用して会おうということになっていました。

しかし事前に落ち合う場所などを打ち合わせしておらず、とりあえず電話番号は伝えていたので電話がかかったら場所を指定しようと思っていました。

そうはいっても、家にいたのでは時間がもったいないと思い、ロンドンの中心でもあり空港から地下鉄で一本で来られるピカデリーサーカスに行って電話を待っていようと思いました。

到着して電話がかかってくるのを待っていたところ、ちょうどクライテリオンレストランのあたりでその後輩に声をかけられたのです。

なんの打合せもしていないのにクライテリオンの前で後輩に会ってしまうとは。「だだっ広い大ロンドンのまっただ中で、親しみのある顔にひょっくり出会うなんて」とワトソン博士とスタンフォードの出会いを思いだしたのは言うまでもありません。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください