有名な諮問探偵であるシャーロック・ホームズはベーカー街の住人として有名ですが、実はゴルファーとしての別の顔もあった!
それを発掘したのが本書(という位置づけ)です。
ホームズとゴルフ
ゴルフはスコットランドで生まれたスポーツと言われています。初めて歴史に登場したのが15世紀とされているほど歴史のあるスポーツ。
ホームズが活躍した19世紀末にはすでにイングランドでも一般的にプレーされていたようです。
ホームズ作品(正典と呼ばれる作品群)で、ゴルフが登場するのは3カ所あります。そのうち、ホームズとワトソン博士がゴルフについて話しているのは一カ所のみです。(他は黒ピーターで容疑者がゴルフクラブを持っていたという箇所。)
それはギリシャ語通訳において。
ある夏のこと、午後のお茶のあとで、話はゴルフ・クラブのことから、黄道の傾斜度変化の原因におよび、ついには隔世遺伝と遺伝的特性の問題にとぶといった具合で、いたってとりとめないものだった。ある人物に与えられた特別の才能というものが、どの程度その祖先によるものであるか、またその人の少年時代のしつけによるものであるかというのが、論点となった。
この「ゴルフ・クラブ」というのがボールを打つクラブのことなのか、ゴルフをする場所(いわゆる倶楽部)なのかがいまいちよくわかりません。英語も確認しましたが二つとも綴りは一緒なんです。複数形になっていたから振る方のクラブかなとも思いましたが、そのクラブについて話をするのであればかなりのゴルファーであると言えますね。
なぜゴルフをするシーンが登場しないか
著者はとあるロンドン郊外のゴルフ場で、ホームズのゴルフ日誌と賭け金帳を手に取る機会に恵まれ、その日誌を元にホームズのゴルファーとしての生活を描いたのが本書という設定です。
ゴルファーとしてのホームズは、ワトソン博士と暮らしたベーカー街での探偵としての生活と別に若いときに借りていたモンタギュー街の部屋でゴルファーとしての生活をしていたから正典には出てこないのだそうです。
本書が面白い点は、ホームズの表の(探偵としての)生活がきちんと踏まえられた上でゴルファーとしての生活が描かれていることです。また、当時のゴルフ事情(クラブやボールの革新)などが極めて精緻に描かれていることはゴルフ史もきちんと踏まえられている現れだと思います。トム・モリスなどゴルフ史上の人物も登場します。
ホームズの行動や台詞もまさにホームズそのもの。
Tomo’s Comment
最後にはモリアーティの野望を(ゴルフを使って)砕くエピソードもあって楽しめました。
ホームズ好きにもゴルフ好きにも楽しめる作品でした。
ホームズのゴルフとは面白いですね。
イギリス人にとっては常識なので、原作に記述は少なくてもしていた可能性はありますね。
もっとも、競馬の方はワトソンともども絶対にしていたでしょうから、ホームズの馬券師ぶりを描いてほしいものですね。(もっとも、そんな本を書けるのは私しかいないでしょうけど・・・笑)
> 降龍さん、おはようございます。
ホームズもきっと競馬もしてたでしょうね。ワトソン博士は賭け事が大好きだったようなので、間違いなくはまっていたのではないかと思います。当時の競馬の様子など「銀星号事件」などで見ると興味深いです。