【ホームズ地理学】名探偵の足跡をたどってロンドンを巡る。「Sherlock Holmes’s London」は写真と解説が満載

Sherlock Holmes's London

2006年にロンドンに留学していたときに、休日にシャーロック・ホームズに登場する場所を巡るということをしていたのですが、それ以降、より正確な場所を探ることが趣味となり、今日でも地図や文献を読んではブログに書くということを続けています。

ホームズとその登場する場所について書かれた本を知れば、すぐに購入してしまうのですが、この本もそんな一冊。表紙や全体の装丁もよく、気に入っているほんの一つです。

「Sherlock Holmes’s London」の特徴

タイトルにホームズとロンドンが入っているというのは、この類いの本ではかなり定番。

私がよく使っている本である「Finding Sherlock’s London」もそうですし、「Sherlock’s London Today」という案内本、「Sherlock Holmes in London」という写真集(日本語版は「シャーロック・ホームズの見たロンドン」)なども持っています。

それぞれ特徴のある本なのですが(詳しくはリンク先をご参照ください)、本書は写真も多く含んでいますが、その解説も充実していてかなり読み応えのある一冊となっていました。

全体的には実際にある場所や店に関する歴史が多く書かれている印象で、あまりシャーロキアーナ的な解説は多くありません。例えば、Langham Hotelについては、ホームジアン的にはボヘミアの醜聞や四つの署名ということになり、もちろんその記載は欠いていないのですが、より多くの説明がその成り立ちやドイルとオスカー・ワイルドの会合、アフターヌーンティーの誕生にまつわる話に費やされています。

またベーカー街221Bに関しても、Abbey National Building Societyが215から229を占めていて、昔は秘書を雇ってホームズ宛の手紙への返信を書いていたこと、ホームズ博物館は221Bのマークはあるものの実際は239であること、などを簡単に説明しているのみで、ホームズの当時はここがベーカー街ではなくてアッパーベーカー街だったことや、「空き家の冒険」で示されたホームズの部屋の通りを隔てた反対側のカムデンハウスの位置から、本当はもっと南の方にホームズ達が住んでいたことなどはあまり詳しく触れられていません。

つまり、ホームズについて深掘りしていくシャーロッキアーナ的なアプローチと言うより、登場する場所そのものの解説により多くが割かれている印象です。

だからといって物足りないと言うことはありませんでした。シャーロッキアーナ的な考察はよりマニアックな本を読めばいいわけですし、その場合あまり多くの場所を紹介できなくなります。この本はむしろより一般的かつ具体的な場所についての歴史・背景が描かれていること、それが広範にわたっていると言うことに価値があります。

もう一つの特徴としては、ガイ・リッチーの映画「シャーロック・ホームズ」やBBCドラマ「シャーロック」などもフォローしていること。こうした映像をきっかけにホームズ好きになった人も意識した内容というのは、原作のホームズへの関心を高めてさらにたくさんのホームズファンを作っていくという観点からはとても良いアプローチだと思いました。

ホームズのロンドンと言ったら、シャーロックとジョンの下宿の下にあるSpeedy’sにも行ってみたいと思うでしょうし、ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウが訪れたブラックウッド卿の墓地にも興味があるかと思います。

Sherlock Holmes's London

新しい映像ファンだけではなく、ジェレミー・ブレットのホームズ写真も随所に見られます。

Sherlock Holmes's London

エリアを分けて紹介

本書の構成ですが、メインとなるパートは地域毎に分けられています。

ベーカー街を含む「ウェストエンドからウェストミンスター」から始まり、聖バーソロミュー病院が紹介される「ブルームスベリーからバーツ」、レストランのシンプソンズなどがある「チャリングクロスからセントポール」、ホームズも地図を取り寄せていたスタンフォードという店のある「ソーホーとコヴェントガーデン」、そして「ロンドン西部」と「ロンドン東部」、「ロンドン郊外」に分けられています。

目次はこのようになっています。

Contents

Introduction

Chapter 1 The tale of the mysterious cloak

Chapter 2 From the West end to Westminster

Chapter 3 From Bloomsbury to Barts

Chapter 4 From Charig Cross to St Paul’s

Chapter 5 Soho and Covent Garden

Chapter 6 Westward Ho

Chapter 7 The mysterious East

Chapte 8 Beyond the Smoke

Afterword

各章にはちょっとラフですが地図のイラストもありますので、大まかな場所を押さえながら読み進むことができます。

Sherlock Holmes's London

エリア別のチャプターの間にはスコットランドヤードのことやニューゲート監獄、劇場などについても写真付きで説明があって、こちらも読みどころになっています。

Tomo’s Comment 

ロンドンに旅行に行く前に読んでおくと効率的にホームズゆかりの地を巡るガイドブックとしてもつかえると思いますし、様々なトピックが触れられていますので最初から読んでいくのも良いでしょう。

この本自体は結構大きいのですが、他にポケット版も出ているようですので、こちらであればロンドンを実際に歩く際のガイドブックとしてもつかえそうです。

ポケット版はこちら

ホームズとロンドンについてはこちらでも

【ホームズ地理学】ビクトリア時代のロンドンを散歩感覚で。当時の写真が満載の「Walks in Old London」を購入

【ホームズ地理学】ホームズの事件に登場する場所の当時の写真が満載。「Sherlock Holmes in London」でホームズ時代のロンドンを感じる

【ホームズ】ホームズゆかりの地ガイドの決定版のさらに改訂版が出ました。「The New Finding Sherlock’s London」では前書に100カ所追加。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.