【今日の授業】経済分析 Monetary Valuation

Lecture 8 Monetary valuaion of health outcome

これまでQALYやDALYといったNon-monetaryな尺度で測っていた健康のアウトカムについて、今日はお金に換算するというアプローチです。



Cost Effectiveness AnalysisやCost utility analysisの弱点は、コストに対して成果がお金ではないので判断しづらい、健康以外の便益が分からない、他の経済の分野と比べて何が達成されたのか比較できないといったことがあります。その点、Monetary valuationはコストと成果をお金という同じ単位で比べることができます。

アプローチとしては、Human capital approach、Revealed preferences、Stated preferenceといったものがあります。
Human capital approachは人間を生産する機械のように考え(某大臣が批判されてましたね)るというアプローチで、健康が生産性にどう影響するかを測るのですが、生産性がどう変化したか見るのは非常に難しく、健康の向上は生産性の向上だけに結びつくわけではないなどの難しさがあります。
Revealed preferencesは、人々が何を選択したのかを観察してPreferenceを探るというアプローチです。健康になるためにどのような行動を選択したのかを見れば、健康に対する価値が分かるという考えですが、実際にはどのようなTrade-offによって行動を選択したのか観察する機会は少なく、例えば危険を伴う仕事をいくらの賃金で行うかというような観察はできるものの、健康以外の多くの要素が決定に関連しているため賃金と仕事の関連づけは困難です。従って、実際にはある状況にあると仮定して、何を選択するか聞くことが実際には行われているとのこと。
Stated preferenceは、これまでも出てきたStandard GambleやTime Trade-offなどのことを指します。今回でてきたのは、contingent valuation methodで、人々の最大のWillingness-to-payを探る際に広く使われているものでした。方法はいくつかあり、いくら払うのかOpen-ended(自由回答)の質問をする方法、いくつかの選択肢を示すPayment cards、価格を示してYse/Noを問うDichotomous choice(Take it or Leave it:TIOLI)、Yes/Noの後で次々に質問を続けて最終的なYse/Noまで聞いていくDichotomous choice with follow-up、Noというまで値を上げていくBidding gamesなどがあります。
これらのどの手法も、仮定の話として聞いているため、どうしてもBiasがかかってしまいます。たとえば、提示されたいくつかのうち、真ん中を選びがちというMid-point&range bias、何回もNoと言い続けることに疲れて実際より早くYesと行ってしまうStarting point bias、Yesと言いたがってしまうYes−saying bias、将来の価格設定に反映されると考えて実際より低めに言ってしまうStrategic biasなどがあります。実際に仮定の質問の後に、グッズやサービスを購入する機会がないとValidationができません。(ある調査では、仮定の質問ではYesと答えても、実際の購入をしなかった人が20%いたという結果も出ています。)

またWillingness-to-payはAbility-to-payにも影響されます。これは社会が公正に富の再配分をしていれば影響は少なくなりますが、そうでない場合は平均収入との率をWeightする方法や、収入レベルで分けて分析するなどの方法で解決できるとのこと。

結論としては、Monetary valuationはPreferenceの強さを測ることができ、健康のアウトカム以外の価値を含めることができ、コストと同じ単位(お金)で測ることができる一方、Stated preferenceはRevealed preferenceと必ずしも一致しないとか違った状況ではそれぞれ違った最善の方法を選ばなければならないといった制約もあります。

Net Monetary Benefit(NMB)について。
ThresholdはCost per QALYではなく、Net Benefitでも算出が可能。
λΔE-ΔCによってNMBが算出され、これを比べることでどちらが好まれるか判断できます。
NMBはCost per QALYよりも解釈しやすい、健康以外の結果も含められる、ある分野への投入に対するMarginal benefitを比べることが容易になるといった利点がありますが、健康の便益をお金に換算しなければ行けないといった制約もあります。

UKでは、£20,000/QALY以下であることが新しいTechnologyがCost-effectiveか判断する基準となっているとのこと。それ以上の場合は、ICERを算出するときにUncertaintyや、どのくらいInnovativeであるか、受益人口や条件などを考慮して決まります。£30,000/QALYは、これらの条件がかなり強くないといけないそうです。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください