シャーロック・ホームズが好きになり、シャーロッキアンという世界がある事を知ったとき、まずどんな本を読むことをおすすめするか?
日本には日本語で書かれたシャーロック・ホームズ関連の本が豊富にあるため、一冊選ぶのが非常に難しい、という贅沢な悩みがあります。
数多くある最初の一冊候補の一つ、小林司・東山あかねさんによる「シャーロック・ホームズを100倍楽しむ本」をご紹介します。
「100倍楽しむ本」はどんな本か
まず最初にお断りしなければなりませんが、本書はすでに古い本で絶版となっています。古本屋またはAmazon Market Placeなどでの入手をおすすめします。
絶版になってはいるものの、内容については一部を除き現在読んでも十分参考になるものばかり。(もともとホームズの活躍した時代が100年以上前のことなので、1992年に出版された本書は相対的に充分に新しいと言えるのです。)
作品中での描写を基に、シャーロック・ホームズの人間像を考察したり、ホームズゆかりの地区を巡るための散歩コースを作ったり、シャーロック・ホームズの愛好団体の紹介をしたりと幅広い話題を扱っています。そして最後には第一級のシャーロッキアンになるための研究書リスト、パロディ小説リストなどが掲載されています。
掲載されていた散歩コースについて
特に面白かったのはホームズ文学散歩でした。
半日コース、一日コース、二日コース、三日コースという4コースが紹介されています。
半日コースでは、ベーカー街からピカデリーサーカス、チャリングクロス、そしてパブシャーロック・ホームズに至る行程となっています。見所としてはベーカー街、ホームズホテル、パブシャーロックホームズなど、ホームズを直接感じられる場所に加えて、ディオゲネスクラブのあったペルメルやかつてドイツ大使館のあったカールトンハウスなどがあるでしょうか。
半日コースに加える形で、一日コースではチャリングクロス駅に向かい、コベントガーデン、大英博物館、そして聖バーソロミュー病院を回ります。ホームズも食事を愉しんだシンプソンズやバーツ病院にあるホームズとワトソンの記念プレートが見所でしょうか。
二日コースと三日コースではロンドンを飛び出す行程が紹介されています。二日目はロンドン郊外のハムステッド、フィンチレイ、ノーウッドなど、三日目はロンドンから離れたオックスフォード、ケンブリッジ、マンチェスター、ポーツマス、ダートムアなど。
ロンドン以外のサイトでは、ホームズの名前を見られるようなものはあまり多くありません。ここでマンチェスターが紹介されているのは、かつてグラナダTVで放映されていたホームズシリーズのセットが見られるから、なのですが、実はすでにホームズの部屋のセットはここにはなくなってしまっています。
グラナダTVのホームズの部屋のセットは、その後、ベーカー街の土産物屋(閉店したMemorabilia)の二階やロンドンフィルム博物館などに移っていきましたが、現時点でどこにあるのか不明です。
ロンドン市内の場所はだいたい行ったことがあるのですが、郊外などにはまだ行ったことがない場所が多いですね。オックスフォード、ケンブリッジには行きましたが、ケンブリッジのSherlock Rdなど見ていませんでした。ダートムアはホームズ絡みのものはないのですが、「バスカヴィル家の犬」の雰囲気は色濃く感じることができました。
Tomo’s Comment
小林・東山両氏によるホームズ解説の本はたくさんあり、一部内容が重複することもあるのですが、この本はホームズ作品そのものというよりは、ホームズを取り巻く世界に焦点を当てていますので、シャーロッキアンの世界を知るために良い資料となると思います。
本文で紹介した場所にちなんだ記事
【ホームズゆかりの地】ダートムア バスカヴィル家の犬の舞台になった荒涼とした土地に行ってきました。
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