【ホームズ】レスリー・クリンガーさんによる注釈付シャーロック・ホームズ全集 「The New Annotated Sherlock Holmes」はホームジアンの基礎文献です。

クリンガー註ホームズ 全集

2006年から一年間、ロンドンに留学していたのですが、一年の滞在ということもありあまり多くの荷物を持っていきませんでした。持っていかなかったもので最も後悔したのはホームズ関連の本。

本場ロンドンでホームズを研究するにあたって、現地で少しずつ文献を購入していったのですが、そんな中で最も基本的な文献として活用したのが今回紹介する「新註釈付きシャーロック・ホームズ全集」でした。

ホームズゆかりの地めぐり

ロンドンでは留学生活の合間をみて、一年かけて「ホームズゆかりの地」を訪ねて回ったのですが、その参考として「Finding Sherlock’s London」(Thomas Bruce Wheeler著)を購入し、この記述に沿って地下鉄駅ごとにまとめられたホームズゆかりの地を訪問していました。

しかし、同書は200以上の場所を網羅しているだけあって、正典でどのように登城しているのかということ以外の参考情報はほとんどのっていませんでした。

そこで情報を補うべくまず購入したのが写真集「Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle’s Stories」(Charles Viney著)です。

これはホームズゆかりの地のビクトリア時代の写真を集めたもので、当時の建物が多く残るロンドンでは場所を特定する助けになっています。ただし、この本にもすべてのゆかりの地が網羅されているわけではなく、もう少し詳しい本がないかと探していました。

註釈付きのホームズ全集

詳しいという点では、註釈付きの全集というものがあるのを思い出しました。

注釈付というのは、ホームズ作品本文に加えて、そこに書かれている各語句に関する注釈が付してあるものです。註がついている語句は非常に多く、その意味というよりは解説やシャーロッキアンの説なども含めて書かれていて、註のボリュームが本文と同じくらいかと思えるほど詳しく書かれています。

こうした註釈付きというのは、ベアリング・グールド版とオックスフォード版などがあってどちらも日本語訳がされています。

ベアリング・グールド版というのは、ウィリアム・ベアリングーグールドさんという方が註をつけたもので、1967年に刊行された古典とも言える作品。徹底的に調べ上げていて、ホームズ研究の古典であり入門書と言えます。私も英語版の他に、筑摩文庫版を入手しています。

特徴としては、60あるホームズ作品を事件発生順に並べているということでしょうか。

オックスフォード版というのは、シャーロッキアン的な註ではなく、ビクトリア時代の研究の成果など、どちらかというと文学的な註が多く、複数の人が註をつけているもの。1993年に刊行されました。こちらは英語版は未入手で、日本語版はまだ全巻持っていないのですが、こちらのシリーズで集めています。

どちらもロンドンにいたときには持っていっていなかったのが悔やまれます。

クリンガーさんの註釈付き全集

こうした註釈付きの全集の購入を検討したときに知ったのが、さらに新しい註釈付きの全集があるということ。それが今回紹介するレスリー・クリンガーさんによるものです。

クリンガーさんはアメリカの有名なシャーロッキアン団体である「Baker Street Irregulars」のメンバー。

ベアリング・グールドの注釈がグールド氏自身の説をかなり含んでいてさらに彼の死後に発行されたこともあり誤記が多いこと、オックスフォード版は一般的な注釈でホームズ研究が活かされていないことから、クリンガーさんは自説を入れず、これまでのホームズ研究の成果が反映されるような注釈を目指したそうです。

せっかくだから一番新しいものがいいかと思い、また日本語訳の出ているグールド版、オックスフォード版をわざわざロンドンで購入するのもためらわれたので、ロンドンではクリンガー註の全集を購入することにしました。

このとき購入したのは、上下に分かれていて、上は短編集で2巻本、下は長編を集めたもので一冊になっています。上は2004年、下は2005年に刊行されました。

3冊の背表紙を並べるとホームズの顔の形になります。

届いてから分かったのですが、大きさが電話帳ほどもあります。(ロンドンから日本に持って帰る荷物が増えてしまいました。)大きさからいっって、気軽にベッドで読むというものでないので、机の上での辞書的な使い方になってしまうのが少し残念なところです。

ページを開くと、ホームズ作品の本文が紙面の6割ぐらいで、残りの4割の部分に注釈がついているページが基本で、本文から注釈を参照するのに非常に便利な作りとなっています。また挿絵や当時の写真なども入っていますので、探している箇所もすぐ見つかります。

ロンドンでゆかりの地巡りをしていたときの手順としては、本書購入前は「Finding Sherlock’s London」が地下鉄駅毎にゆかりの地がまとめられているので訪問する駅を決定、紹介されている各地名・通り名をロンドン地図で探して回るルートを決めて、ヴァイニーの写真集に当該の場所がのっていれば当時の様子を参考にしつつ現地訪問、写真撮影、帰宅後、ロンドンに持っていっていた講談社CD-ROM「シャーロック・ホームズ全集」で登場シーンを探してブログを書いていました。

本書購入後は、ゆかりの地に行く前に当該箇所に註がないか確認してから行くようになりました。また帰宅後にも疑問があれば本書で確認するようになりました。

Tomo’s Comment 

じつはロンドンから帰国後に、3巻本である本書の元となったさらに詳しい全集がある事を知りました。(別途紹介したいと思います。)

こちらも入手していますので、現在はそちらをまず参照するようになってしまい、今回紹介した三巻本の出番は少なくなっています。

とはいえ、ロンドンでかなり愛用していた思い出深い本なので大切にとってあります。

ホームズ研究書は他にもこんなものを

【ホームズゆかりの地】ロンドンやスイスにホームズを訪ねるなら読んでおくべき「シャーロック・ホームズへの旅」とその続編

【ホームズ】シャーロック・ホームズではなくその研究者=シャーロッキアンが主人公という珍しい設定の漫画。「シャーロッキアン!」

【ホームズ】「シャーロック・ホームズの見たロンドン」事件に登場する場所のヴィクトリア時代当時の写真が満載。

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  • For those who want to find Sherlock’s London, a new Google program allowed me to make a map of selected sites from the Canon. I have also included two “In Sherlock and Watson’s footsteps” walks; the Creosote Trail from The Sign of the Four, and the Goose Club Walk from The Adventure of the Blue Carbuncle. The map has only about 25% of the sites in my book, The London of Sherlock Holmes, and unfortunately, does not allow hyperlinks to show street view photographs, as does the e-book version (Kindle, Nook, etc.). Please feel free to bookmark the map’s web address (below), and pass it on to other fans of the Great Detective.
    Thomas Bruce Wheeler
    Selected Sherlock Holmes Sites in London
    https://mapsengine.google.com/map/edit?mid=zz7OCIy2oDA4.k6pgNWXmShgE

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