【今日の授業】経済分析 Measuring Outcome

Lecture 5 Mesuring Health Outcome

先日のコスト分析に対して、費用対効果分析を行う上で必要なOutcomeをどう測定するのかということがテーマでした。

よいMeasurementの特徴は、個人の好みにある程度基づき、Intervalを持ったScaleで、違ったHealth Care同士で比較可能なもの。様々なhealth outcomeが報告されているが経済分析ではQALYあたりのコストを使うことが好まれている。

QALYは、Qality adjusted life year(日本語では質調整余命年数と訳されていることもあります)といって、完全に健康な状態の一年を1QALY、死亡した状態(変な表現ですが)での1年を0QALYとして、病気などによる生活の質の低下を0〜1QALYで表現します。健康に関連した生活の質によって、ある健康状態にいる期間の数値が設定されます。この数値を求めるために使われるのが各種のQuestionair(generic measurement)や症状に特化した患者による評価(Condition specific health states)法です。

前者の例としては、先進国で広く使われているのが、EQ5D(www.euroqol.org)やHUI2(www.healthutilities.com)といった一方法で、いくつかの項目(痛みや感情や活動レベルなど)ごとにどのレベルにあるか答えてもらい、その結果の総合点を1〜0で表すというものです。

後者の例としては、Standard gambleやTime trade-offなどがありますが、これは来週のテーマになります。

QALYに並んで使われているのがDALY(Disability Adjusted Life Year)です。QALYが治療などによってどれだけの健康な年数が得られるかを求めるものなのに対して、DALYは病気によって、どれだけの健康な年数が失われるかを求めるもので、数値の表し方は、完全に健康な一年が0DALYで、死亡した状態の一年が1DALYとなります。

病気により失わわれた年数は、病気がなかった場合に生きられたであろう寿命(日本女性の平均余命が使われることが多いそうです)から死亡した年齢を引いてもとめられますが、さらにDALYでは障害をもった年数も病気毎のDisability指数によって求められます。さらに、病気を持った年齢の違いも考慮されます。

DALYはもともとは世銀とWHOが保健医療に対する投入について費用対効果を測るために導入された仕組みで、基本的には途上国で使うことを念頭に、それぞれの病気を対象にしています。全世界で同じ数値を使うことで、比較を可能にしているのが特徴です。

QALYとDALYは求め方の基盤が違うため、同じ病気への治療について、「どれだけQALYが得られたか」と「どれだけDALYの損失が防げたか」は必ずしも同じ数値とはなりません。

QALYを使うことにも批判はあり、QALYでは年齢、生産性、貢献度、家族の状況、治療に対する予後の違いなどを考慮せずに一律の数字になるので、誰にとってのQALYかに差が出てしまうということ、QALYの分配をどうするのか評価できない(10万人に対して0.1QALYずつ裨益する対策と1000人に10QALY裨益する対策とでQALY上は同じ数字になるがどちらを行うべきか判断できない)、治療後の健康の変化について正確に測定できない、違った方法で測られたQALYを比較できるのか、といったものです。

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