【ホームズ】またまた切り裂きジャックものを読んでみました。賛否両論?「シャーロック・ホームズ対切り裂きジャック」

シャーロック ホームズ対切り裂きジャックシャーロック・ホームズが活躍していた19世紀末に起こった猟奇的連続殺人事件がありました。

5人(それ以上との説もあり)の売春婦を惨殺したのが切り裂きジャック。犯行予告の手紙から名付けられました。

しかし、犯罪のエキスパートであるシャーロック・ホームズの作品にはジャックの名は一切登場しません。それはなぜだったのでしょうか。

 

切り裂きジャック事件とホームズ

すでに先日レビューしたこちらでジャック事件についても少し触れています。

ホームズが切り裂きジャックと対決するパスティーシュ(贋作)はいくつかありますが、上記もそんな一つ。

ジャックとの対決を描くときに気をつけなければならないのは、誰が犯人なのかということとなぜホームズの作品で触れられていないかについて納得のいく説明をすることだと思います。

犯人の正体をホームズは探り当てたけど、世間に公表できなかったというのが一つの定説のようです。

 

賛否両論を巻き起こした内容

せっかくなのでジャック物をもう少し読んでみようと思い購入したのがこちらの本です。

 

「ホワイトチャペルの恐怖」は3人称で書かれているため、ストーリーとして楽しむには良かったのですが、パスティーシュとしては典型的なワトソン博士目線の一人称ではないという点で若干の違和感がありました。

 

一方で本書はワトソン博士の自著であるという体裁、しかも出版代理人であるコナン・ドイルによるリライトもされていないという設定となっています。(他の全ての作品はワトソン博士がドイルに元原稿をあげて書いてもらっていたという設定です。)

なぜそのような形になっているのかは本書を読んでもらわないといけないのですが、一つの効果としては、訳者の日暮さんもあとがきで書いているように、パスティーシュの多くが正典と文体との違いが気になるという問題を解決する答えとなっているとことにあります。

なぜドイルにも原稿を渡せなかったのかについては、やはりジャックの正体に関係があります。

本書では、ジャックの正体についてモリアーティ教授も交えて徐々に明らかになっていくのですが、終盤でその衝撃的な正体が明らかとなり、そのことで出版当時はかなりの物議を醸したのだとか。

そのことについては実際に本書を読んでいただくのが一番かと思います。私個人としては、発送としては面白いけど、自分の中での贋作傑作リストには加えられないと思いました。

パスティーシュの傑作リストについてはまた別途書いてみたいと思います。

 

Tomo’s Comment 

ホームズのパスティーシュについては様々な形態がありますが、私の基準としては正典をリスペクトしてその世界観をうまく表現し整合性も損なわないものがパスティーシュで、それ以外はパロディーだと思っています。

そういう意味では本作は私基準ではパロディーに分類されます。

とはいえ、物語としては盛りあがりもありますし、なによりその発想と意外性については十分楽しめるものとなっていますので、一読の価値はあると思います。

 

 

 

 

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