【#月9でシャーロック】カナリア調教師ウイルソンが登場。月9「シャーロック」第六話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第六話

ディーン・フジオカ、吉川愛、岩田剛典、(C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

 

いよいよ後半にさしかかってきた月9ドラマ「シャーロック」。

しばらく出てこなかったモリアーティ(守谷)の影もちらつき初めて、終盤に向けて盛り上がってきました。

ドラマのあらすじや感想は他のサイトにお任せして、こちらでは、いつもどおり原作であるシャーロック・ホームズの元ネタについて考察していこうと思います。

 

モチーフとなった語られざる事件

前回の記事でも予測したように、カナリアが登場した時点でほぼこれしかないという感じでした。

 

「黒ピーター」事件で言及されている「名うてのカナリヤ教練師ウィルソン」の事件が今回のモチーフとなっていました。

登場場面を再度おさらいしますと、下記のように言及されていました。

この忘れがたい一八九五年には、枢機卿トスカの急死に関する彼の有名な研究——これはローマ法王聖下の特別要求によって手をくだしたものであった——につづいて、名うてのカナリヤ教練師ウィルソンの逮捕——これはロンドンの貧困街の癌を除去するものだった——と、実に奇妙な事件が連続的にホームズを忙殺したものだったが、この二つの有名な事件に引きつづきやってきたのがウッドマン・リーの惨劇である。(「黒ピーター」(新潮文庫)より)

 

モチーフからある程度予測していました。

 

結末まで描かれませんでしたが、おそらく宇井が逮捕されたであろうこと、宇井の出身大学(勤務先もでしたっけ)が東端大学、東の端=イーストのエンド、留学先がイーストロンドン大学だったのも関係しているかと思います。

調教=刷り込みで、宇井が彩香にニセの記憶を刷り込んでいたのかと思ってましたが、結末でどんでん返しがあって、いい意味で裏をかかれました。

ただ、元々のウィルソンの事件で、「ウィルソンの逮捕——これはロンドンの貧困街の癌を除去するものだった」とあったので、宇井がやろうとしていた忘れたい記憶を取り除く、というのと関連しているように思いました。

 

黒ピーターの要素

回にもよるのですが、語られざる事件が触れられている事件から、いろいろなネタがとられているケースがあります。(特に第二話とか四話とか)

今回も黒ピーターの事件からいろいろな元ネタを探すことができました。

まずは、黒ピーター事件の別名、ウッドマン・リーの惨劇。

彩香の父親が務めている製薬会社の名前がウッドマンズ製薬。

ということで、黒ピーターネタが登場。

 

黒ピーターの冒頭で、ホームズが槍を持って帰宅して、ワトソンに驚かれている場面があります。ホームズが何をしていたかというと、人間が銛で串刺しにされて死んでいた事件で、銛で人を貫くのがどれぐらい大変か、豚に実際に銛を刺して検証していたのです。

私がひとりで食事をしているところへ、のっそりと帰ってきた。見れば帽子も被ったままで、縹のある大きなやりをコウモリがさのように小脇にかいこんでいるのである。
「どうしたんだ、ホームズ君! まさか君はそんなものを持って、ロンドン市中を歩きまわったんじゃあるまいね?」
「肉屋まで馬車で行ってきたのさ」
「肉屋へ?」
「おかげですっかり腹がへったよ。やっぱり朝飯まえの運動はすばらしく効果的だね、ワトスン君。僕は賭けてもいいが、どんな形式の運動だったか、君にはわかるまいよ」
「賭けようたって、かいもくわからないよ」
 ホームズはくすくす笑いながらコーヒーをついで、
「いまかりに、君がアラーダイスの店の奥をのぞけたら、上衣をぬいだ紳士がこのやりをとって、天井のかぎにつるした死んだ豚を、夢中になって突き刺しているのが見られたんだがね。その元気旺盛な紳士がすなわちかくいう僕さ。おかげでどんなに気ばってみても、ひと突きでは豚を刺し通せないのがわかって、僕は満足した。(「黒ピーター」(新潮文庫)より)

このシーン、ちょっとデフォルメされて今回の「シャーロック」にも登場していました。

 

獅子雄が突然中国語で叫ぶシーンなのですが、豚の記憶を持つ中国の少年の台詞だったのでした。

この槍をもって帰ってくるシーンというのは、とても印象的なので、こうした形で使われているというのは、なかなかシャーロッキアン心を分かってるなという印象です。

 

あとちょっと細かいのですが、彩香の母親の出身が黒松女子学院。黒=ブラックというところは気がついたのですが、さらに進めるとこんな推理も。

 

毎回のテーマカラーで獅子雄が冒頭にタイトルをペンで書くのですが、今回は紫でした。そこからこんなアイデアも。

 

その他の原作要素

ということで、今回の語られざる事件の登場していた黒ピーターからのオマージュが多かったのですが、その他の原作ネタと言うことで、次のようなことも。

 

「高名な依頼人」事件というのは、ヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢が悪名高いグルーナー男爵と婚約したのに反対しているさる高名な依頼人から、ホームズに調査の依頼のあった事件。

その調査の一環で、陶磁器好きのグルーナー男爵に近づくために、ワトソンが陶器の勉強を必死にして、バートン博士として乗り込む場面がありました。

「大丈夫、会うよ。彼のコレクションマニアは病膏肓にはいっているほうだからね。それも陶磁器ときたら人からも権威を認められているくらいなんだ。(「高名な依頼人」(新潮文庫)より)

 

専門家として売り込むというのは、陶磁器の専門ということで次のようなホームズの提案でした。

君がコレクターであること、偶然この逸品を手に入れたこと、男爵も同好の人と聞いて来たが、値段によっては譲ってもよいと申しいれるのだ。(「高名な依頼人」(新潮文庫)より)

 

さらにいうと、ヴァイオレットが今回のテーマカラーの紫とつながるとの指摘も。

 

獅子雄が若宮君をエキスパートとして売り込む場面で、「若宮は精神科医の資格を持っています」といい、若宮君が医師資格証を見せる場面がありました。(予告でもでてきたので気になっていたて、みなさんにいろいろと教えてもらっていました。実際は医師会の発光するもののようですが、こちらでは日本第一医師会が発行したもののようで、デザインがちょっと違っていました。)

そこに書かれている若宮君の誕生日、1988年8月7日。これについてこんな指摘が。

ワトソンの誕生日については、正典には一切記されていませんが、著名なシャーロッキアンであるベアリング・グールドによれば、1852年8月7日とされています。

生まれた年については、ワトソンが1878年に医学博士号を取得したことからある程度逆算できます。

一八七八年にロンドン大学で医学博士の学位をとった私は、軍医としての必須科目をおさめるため、ひきつづきネットリの陸軍病院へと進んだ。そしてそこで修業を終了してから、順調に第五ノーサンバランド・フュージリア連隊付の軍医補に任命されたのである。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

ちなみに、これはワトソンが学業優秀で落第などしなかった場合と言うことで、もう少し前に生まれたという反論もあるのですが。

 

一方、誕生日については特に根拠となる記載はありません。「四つの署名」で、ワトソンが昼からワインを飲んでいるシーンがあり、この日に誕生日を祝っていたとする説がありますが、この日自体が明確でなく、7月7日説と9月18日説があるため、はっきりとはしていません。

彼の偉大なる力、悠々たる態度、それに、しばしば見せつけられたすばらしい手なみは、彼にさからうのをつい遠慮がちに、控え目にさせる。
 ところがその午後はどういうものか、昼食のときに飲んだボーヌ・ワインのせいか、それとも彼のあまりに悠長な態度についむかむかしたためか、私は我慢がしきれなくなった。(「四つの署名」(新潮文庫)より)

私なども仕事じゃない日は昼からワインを飲むことはあるのですが、この頃は珍しいことだったのでしょうか。

 

6月7日説についてはホームズ・クラブのEさんの研究によれば、グールド自身の誕生日だったからとのこと。

 

次週への期待

今回から、開始前に予告された5つ以外の「語られざる事件」が登場してきており、予測が難しくなってきました。

今回はカナリアという分かりやすいキーワードがありましたが、次回については明らかなものはありません。

次回の話、フジテレビの情報サイトの次回ゲストのインタビューの下に次のような内容が書かれていました。(公式の方にちゃんとここまで細かく書いてほしいものです。)

仕方なく若宮が、獅子雄として虎夫の依頼を聞く。虎夫の依頼は行方不明になった祖父、寅二郎(伊武雅刀)探し。虎夫も探すと河川敷に寅二郎が持ち歩く小袋を発見していた。本気で取り合おうとしない若宮に、虎夫は本物の獅子雄を出せと迫る。すると、うそを見抜いた虎夫に、若宮より賢そうだと獅子雄。そして、小袋の中を確認した獅子雄は、寅二郎は危険人物かもしれないと、虎夫に発見場所に案内するよう促す。小袋の発見場所には、三人分の足跡が残されていた。しかし、途中で二人に。タイヤ痕もあることから、寅二郎は二人組みに襲われ車で連れ去られたと推測される。だが、付近のホームレスたちは不審な車は見なかったと証言。(「とれたてフジテレビ(https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/20195694.html)より)

 

誘拐とタイヤ跡というキーワードから思いつくのが、「プライオリ学校」の事件。

 

プライオリ学校の事件は誘拐されたのは息子で、第7話は祖父という違いがありますが、誘拐事件という共通点。

「あなたはあのホールダーネス公爵のたった一人の令息の誘拐事件をまだお聞きじゃありませんか?」
「えッ、あの前内閣閣僚の?」(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

さらにタイヤ跡と足跡いうキーワードも登場しています。

沼地の低い部分に、泥ふかいこみちがあって、それに近づいたホームズが歓声をあげたので、見るとこみちの中央に電話線を束ねたような跡が残っている。パーマー製のタイヤの跡である。
「ハイデッガー君だよ。僕の推理は相当なものじゃないか、ワトスン君」ホームズは満悦である。
「お手柄だよ」 「いや、まだまだ。途は遠きにありだ。こみちをよけて歩いてくれたまえよ。この跡をたどってみよう。この跡はそう遠くまで続いてはいまいと思うけれどね」
 だが、この付近は水気の多いところがちょいちょいあって、時に轍のあとを見失いはしたけれど、すぐその先につづきを発見するのだった。 「ワトスン君、このへんはスピードを出して走っているが、わかるかい? まちがいない事実だよ。その跡を見たまえ、両車輪ともはっきり出ているだろう? ほとんど同じ深さの溝になっている。これはね、スピードを出すために上半身を伏せて、ハンドルに重みをかけた場合のみに起こる現象なんだ。おや、転んだな!」
 そのあたり何ヤードかは、幅ひろく不規則に泥が乱れていて、つづいて足跡が二つ三つあり、その先が再びタイヤの跡になっていた。
「横すべりしたんだね」と私。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

周囲の人が見てなかったというのは、プライオリ学校でも近くに待機していた巡査が何も見ていなかったと証言していました。

 

プライオリ学校に登場している「語られざる事件」は、二つ。未解決のファラースの証書事件と公判も近く始まるアバゲヴニの殺人事件となります。

開かずの金庫が登場するので、もしかしたら証書が入ってるという可能性はあるかもしれません。

上記の伊武雅人さんのインタビューでは、今回は殺人事件は起こらないとのこと。ただし、殺人予告はあると次回予告でトランプのシーンで江藤警部が言ってましたので、アバゲヴ二の殺人事件の可能性もわずかながらあるかもしれません。

 

 

金庫破りというキーワードからは、次のような説も。

ヴァンダビルドの金庫破りというのはホームズの自作ファイルのVの項目にある事件という意外にはどのような事件だったのか分かっていません。

 

金庫破りで、しかもバディだったということも言っていました。しかも、昔失敗をやらかしたとのことも。このキーワードからは、二人組の金庫破りと言うことで、「株式仲買人」に登場する「ベディントンといって兄とともに有名な偽造および金庫破り常習者」が思い浮かびました。

残念ながら、株式仲買人に登場する語られざる事件はなさそうです。

 

あと、次回登場人物名からこんな推理も。

 

たしかに、凄腕の金庫破りに開かずの金庫を開けさせようという構図は「義姉の親指」と似ているかもしれません。もしくは、「ギリシア語通訳」も、人から話を聞き出すという点と、誘拐に近い形で連れて行かれてしまったところも似ているかも。

 

さらに登場人物名からはこんなことも。

 

Tomo’s Comment 

今回は、フィジーに出張中の放送だったこともあり、週末の記事執筆となってしまいました。

フィジーでも家にある録画機のDIGAで録画しながら遠隔でリアタイ視聴できるはずだったのですが、二つある内蔵チューナーの一つが「シャーロック」、もう一つ裏で「吉田類の酒場放浪記」を録画していたこともあり(というかすっかり忘れていたのですが)、チューナーが二つ埋まってしまっていたため、リアルタイムで視聴できませんでした。

録画終了後、つまり一時間後から見始めたのですが、フィジー時間は日本プラス4時間なので、本放送が午前1時からということは見始めたのは午後2時から。時差ぼけしていたので眠くはなかったのですが、翌日朝から仕事で少しつらかったです。

フィジーから戻ってきたのですが、まだすぐに出張のため、次回第7話も海外で視聴予定。今度はマイナス4時間。本放送が現地の午後5時というとおそらくまだ仕事していると思われ、次回もリアタイは難しいかもしれません。

極力Twitterの#月9でシャーロックは見ないで、録画を見ながらつぶやいていきたいと思います。皆さんより周回遅れでつぶやいていますので、的外れなつぶやきもあるかと思いますが、まだ見終わってないと言うことで温かく見守っていただけたら幸いです。

 

今回もTwitter引用させていただいた皆様、ありがとうございます。

元ネタで書き漏れがありそうでしたら、#月9でシャーロック でつぶやいていただければと思います。(特に今回急ぎで書いたこともあり、書き漏れがありそうですので。)

 

今回は守谷も再登場してきて、後半にかけて盛り上がってきました。そして、SAというイニシャルの人物がなかなか特定できずもやもやしています。

私としては、最終回まで守谷の登場の仕方はあまり大きくせずに、徐々に露出させていってもらい最終回とその前あたりで一気に盛り上げてもらいたいと思っています。(そして、「シャーロックの帰還」という次回シリーズにつなげてもらいたい。)

 

前回までのまとめはこちら

新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる

アイリーン登場?新月9ドラマ「シャーロック」第二話もシャーロッキアン的に見てみる

早くも黒幕の影が!新月9ドラマ「シャーロック」第三話もシャーロッキアン的に見てみる

キーワードは失踪でなく橋?月9「シャーロック」第四話をシャーロッキアン的に見てみる

「マーゲートの婦人事件」がモチーフ。月9「シャーロック」第五話をシャーロッキアン的に見てみる 

 

当ブログではホームズについては次のようなカテゴリーであれこれ書いています

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BBC “Sherlock”

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