【#月9でシャーロック】スマトラの大ねずみ登場。月9「シャーロック」第七話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第七話

岩田剛典、 山城琉飛、ディーン・フジオカ、(C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

 

今週のストーリーは殺人事件もなく、ちょっとほっこりした展開でしたね。

獅子雄の人間性も、複雑ながら優しい側面なども垣間見えてきて、キャラとしてもかなり深まってきた印象です。

そして、なによりも原作要素がかなり出てきたのもうれしいところ。

ストーリーや感想は他のサイトにお任せし、今回も原作要素を紹介していきたいと思います。

 

モチーフは「スマトラの大ねずみ」

第四話の「マーゲートの婦人事件」に次いでモチーフとなる「語られざる事件」が予見できない回となりましたが、正解は「スマトラの大ねずみ」。

今回のゲスト、伊武雅刀さん演じる狭間寅次郎が、かつてコンビの金庫破りとして、悪人からお金をぶんどっていた時の通り名が「すまとらの大鼠」。相棒の名前が須磨で寅次郎のトラで「すまとら」、もしくは金庫を破った後、犯行現場に須磨家の家紋を寅の刻の方角に貼って残していったことからマスコミでは「須磨寅の大鼠」と呼ばれていたのだとか。

「トラ」のつく登場人物が寅次郎と虎夫と二人も出てきて、トラがキーワードだとは思ったのですが、スマトラのトラにかけてくるとは意表を突かれました。制作陣のセンスが素晴らしい。

スマトラの大ネズミは語られざる事件である「マティルダ・ブリッグス事件」に関連しているとされています。この事件が言及されているのが「サセックスの吸血鬼」事件。ちょっと長いですが、登場箇所を引用します。

十一月十九日 オールド・ジュリイにて
吸血鬼に関する件
拝啓 我が社の顧客であるミンシン小路の茶仲買商ファーガスン・アンド・ミュアヘッド商会のロバート・ファーガスン氏より、本日付の当社宛手紙にて、吸血鬼に関して照会がありました。我が社は機械類の査定を専門としておりますので、右の件は営業科目の範囲外でありますから、貴殿を訪問のうえ、ご相談なさるようファーガスン氏にご勧告申しあげました。当社は貴殿がマティルダ・ブリッグス事件を成功裡に解決なされた御手腕を、今なお失念してはおりません。
敬具
モリスン・モリスン・アンド・ドッド商会
代表 E・J・C

 

「マティルダ・ブリッグスといったって若い女の名じゃないぜ、ワトスン君」ホームズは古いことを追想しながらいった。「スマトラの大ねずみに関係のある船の名なんだ。この話はまだ世間に知れ渡っていないがね。(「サセックスの吸血鬼」(新潮文庫)より)

 

ということで、船に関する未公開の事件であることしか分かっていません。

(脇道にそれますが、ホームズも、ワトソンがマティルダと聞いて若い女を連想するという決めつけはいかがなものかと。いくら女性はワトソンの専門と言っていたとしても、あんまりな気がします。)

 

「シャーロック」公式ではこのように紹介されています。

『サセックスの吸血鬼』の中で言及されていたもの。本編で、顧客から吸血鬼についての調査を依頼されたが専門外のためシャーロックに相談をしてきたモリソン・モリソン&ドット社が、過去にシャーロックに依頼して世話になったという事件で、未発表のもの。シャーロック曰く、その「『マチルダ・ブリッグス号』という船は、スマトラの大鼠と関係している」とのこと。スマトラの大鼠が何を指しているのかは不明。(シャーロック公式サイトより)

 

この事件も、パセリとバターやこうもり傘と並んで「語られざる事件」の中では印象に残るもので、パスティーシュでも取り上げられています。

以前にも紹介していますが、ホームズパスティーシュの中ではピカイチなシリーズを書いているジューン・トムソンさんもスマトラの大ねずみを題材に書いています。

 

BBC「Sherlock」のS3E1でも使われていましたね。

 

スマトラ島は現在のインドネシアの一部で、かつてはオランダ領でした。

私も一度だけ行ったことがありますが、残念ながら大ねずみを見かけることはありませんでした。

ドリアンが美味しかったのは覚えています。

スマトラ島のフルーツ

 

獅子雄のスクラップブック

これまでのパターンから、語られざる事件が出てくる事件からいろいろと元ネタがあることがありましたので、「サセックスの吸血鬼」事件を再読してみました。

ちょっと関係しているかと思ったのは、「須磨寅の大鼠」について、獅子雄がスクラップブックを調べているシーン。

さすがに犯罪コンサルタントだけあって、昭和の事件の新聞記事まで切り取って保存しているのは立派ですね。(どうやって当時の新聞を手に入れたのかは謎ですが。)

ホームズ同様、部屋に書類が多いなとは思っていましたが、こういうところで役に立ってきました。(第一話で若宮君に窓から捨てられた書類も無事改修できたのでしょうか。)

スクラップブックとは別の資料ファイルもあって、本家「鼠小僧」についての資料も参照していました。(そのページには最後に登場する鼠小僧の墓のことも書かれています。)このファイルは本からコピーしたものをまとめているのでしょうか。自分で作成していたとすると立派ですが、構成的には図鑑類のコピーのような。

ところで、「サセックスの吸血鬼」でも、ホームズがスクラップではないですが、アルファベットごとにまとめられた索引簿を参照しているシーンがありました。

ちょっと手をのばしてくれないか。Vの部に何があるか調べてみよう」

 私はうしろへ体を伸ばして、ホームズの求める厚い索引簿を棚から取りおろした。彼はそれをひざの上で平衡を保ちながらひろげて、ゆっくりと、なつかしそうな眼つきで、終生かかって蓄積した見聞や知識の中に混っている古い事件の記録をたどっていった。

「グロリア・スコット号」の航海か。いやな事件だったな。こいつはたしか君が書いたと思うが、でき栄えはあんまり香しくなかったようだぜ。ヴィクター・リンチ、偽造者。有毒のトカゲ。手ごわい事件だったな、こいつは。それからサーカス美人のヴィットリアに、金庫破りヴァンダヴィルトか。まむしにハマースミスの怪物ヴィゴアか。おや! おやおや! やっぱりこの索引はいいね。おろそかにできないよ。いいかい? ハンガリーにおける吸血鬼伝説とある。それからこっちにはトランシルヴァニアの吸血鬼とある」

 

そしてこの索引のVのところには、今回の事件でもキーワードになっている「金庫破り」のヴァンダビルドも登場しているのは偶然ではないように思います。

 

ホームズは「サセックスの吸血鬼」事件以外でも、索引帳や人名簿、備忘録を参照していますが、かなり熱心にこうした資料を作成・整理したことが別の事件でもうかがえます。

例えば「赤い輪」事件の冒頭でもこのように描写されています。

「さあねえ、あなたがそう心配なさる理由はないと思いますがねえ、ワレン夫人。わけもわかりませんし、これで私もいくらか忙しい身ですから、出る幕じゃないと思いますよ。ほかにしなければならない用事があるのです」

 こういってシャーロック・ホームズは、最近の資料を整理して索引をつくっていた大型のスクラップ・ブックのほうへ向きなおった。(「赤い輪」(新潮文庫)より)

 

また「ブルース・パティントン設計書」の事件の冒頭でも一日かけて資料を整理していることが記されています。

一八九五年十一月の第三週、ロンドンは濃い霧がふかくたれこめていた。月曜日から木曜日にかけて、ベーカー街の私たちの部屋の窓から、街路をへだてた向こうがわの家が、ぼんやりとでも見えたことは一度だってないように思う。

 最初の日はホームズも、大きな資料簿に縦横に索引をつけてすごした。二日目と三日目は、ちかごろ道楽にしている中世の音楽の問題でおとなしく送った。だが四日目の木曜日ともなると、朝食のあと椅子をうしろへずらして、どんよりと重くるしいもやがまだ去らず、窓ガラスに油っぽく水滴の凝集しているのを見ては、気みじかで活動的なホームズとして、生活の単調さにうんざりしてしまったらしい。(「ブルース・パティントン設計書」(新潮文庫)より)

 

他の事件でも、この記録を参照していることが多くありますので、やはり諮問探偵としては、こうした記録が必須だったのでしょう。

ホームズの最初の作品である「緋色の研究」このように言っていますので。

だいたい犯罪にはきわめて強い類似性があるから、千の犯罪を詳しく知っていれば、千一番目のものが解決できなかったら不思議なくらいなものだ。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

 

技師の親指からの要素

「語られざる事件」の登場する「サセックスの吸血鬼」からの要素は少なかったのですが、その代わりにネタが多く出てきたのが「技師の親指」。

一番直接的なのは、須磨寅の大鼠の最後の金庫破りの際に、金庫の持ち主である山森組の組員に見つかって刀で切りつけられたのですが、そのとき、片割れだった銀次が寅次郎をかばって親指を失ってしまったというエピソード。

「技師の親指」事件でも、事件の依頼人であるビクター・ハザリーという技師が、事件に巻き込まれて親指を失ってしまいました。

この事件、ワトソンが相談を受けてホームズに紹介した数少ない事件の一つとされています。

シャーロック・ホームズとの短かからぬ親交のあいだに、彼が解決を託された事件のうちで、この私からの紹介によるものが二つだけある。ハザリー氏の親指事件とウォーバートン大佐の発狂事件である。(「技師の親指」(心療文庫)より)

冒頭、虎夫少年がまず獅子雄のふりをした(させられた)若宮君に事件の相談をしたのと通じるように思います。

 

そして寅次郎の名字が狭間。親指を失った技師の名前がハザリーというのがにていますね。そして技術者(ハザリーは水力技師)が連れ去れられて仕事をさせられていたというところも共通する要素。

 

 

 

 

さらに、寅次郎が連れ去られた場所を若宮君が推理する場面。寅次郎が連れ去られた車内でかかっていたラジオから、自分が2時間ほど車に乗せられていたことが判明します。この2時間とFM放送の基地局の位置から、若宮君はその範囲を考え、東京から北東に向かったと推理しました。

この場面、「技師の親指」でも登場します。ちょっと長いですが引用してみます。

警部は座席のうえに目的地附近の陸地測量部地図をひろげて、アイフォードを中心にコンパスをぐるぐる廻すのに忙しい。
「できましたよ。これがアイフォードを中心に十マイル半径で描いた円です。目ざす場所はこの円周の附近になければならない。あなた、たしか十マイルといいましたね?」
「たっぷり一時間はかかりました」
「気がついてみたら、わざわざ駅の附近まで運ばれてきていたというのですね?」
「それに違いありませんよ。そういえば夢のなかでどこかへ担いでゆかれるような、ぼんやりした記憶があります」
「私はどうもわからないのですが」とこれは私だ。「庭で気を失って倒れているものを、何だって彼らは助けたのでしょう? その女の嘆願で、気が折れたとでもいうのでしょうか?」
「そんなことはあり得ないと思います。あんな残忍冷酷な顔はみたことがありませんよ」
「そんなことはいずれわかりますよ。とにかく円を描きましたが、目ざす奴らがこの円のどのへんにいるか、私はそれが早く知りたいだけです」とブラッドストリートがまた話を戻した。
「僕にはその位置なら指差せると思う」ホームズが静かにいった。
「えッ、もうですか?」警部はたちまち眼を丸くして、「もう推定ができたんですね? じゃ誰が当てるかやってみましょう。私は南だと思う。こっちのほうが寂しい地方です」
「私は東だと思います」水力技師がいった。
「私は西です。西には静かで小さな村がいくつもあります」これは刑事だ。
「私は北説です」最後にこれは私。「というのは、こっちには山がないからですが、ハザリーさんは馬車が一度も登り坂へかからなかったとおっしゃるんですからね」
「ハハハハ」警部は愉快そうに笑って、「これはひどく意見が分れましたね。四人で東西南北をみんないっちまった。ホームズさんは決定 投票をどこへ入れますね?」
「みんな違っていますよ」
「みんなという事はないでしょう」
「いいえ、みんなです。私はここを指摘する。ここが彼らのいるところです」ホームズは円の中心を指で押えた。
「だって十二マイルも走ったのに?」ハザリーは荒い息をした。
「六マイルいって、六マイル帰る。これほど簡単なことはありません。乗るとき馬が元気でつやつやしていたといいましたね? 悪い路を十二マイルも走ってきたものなら、そんなはずはありません」(「技師の親指」(心療文庫)より)

今回の事件でも寅次郎は2時間乗せられていたものの、監禁されていた場所は拉致された場所からすぐ近いデイサービスの車庫の中でした。

1時間行って1時間戻ったのか、2時間近所をぐるぐる回っていたのか分かりませんが、場所を悟らせないためのトリックだったということでした。

放送を(事情があって1時間遅れ)で見ていたとき、馬車で連れ去れた場所を推理する場面としてすぐに「技師の親指」と特定できず「ギリシア語通訳」とどちらか迷いました。周りの見えない馬車で連れ去られたのは共通していますが、円を描いて推理してたのは「技師の親指」でした。他に「四つの署名」でも、馬車で連れて行かれた場所をホームズが推理している場面がありました。

 

もう一つ、共通する要素として気がついたのが、ハザリーの解放の場面と、寅次郎拉致の場面。

寅次郎は介護士の長峰と施設長の寺島という男女二人に拉致されました。一方のハザリーは解放されたとき二人の男女によって運ばれていました。

ハザリーは庭から意識を回復した場所までどうして運ばれたか。これも永久の謎として残されるところであったが、幸いにして庭の軟かい土がいとも明瞭に説明してくれた。彼は二人の人物——著しく小さい足の持主と、なみはずれて大きい足の持主によって運ばれていた。思うにあの痩せた男よりも図太さと凶悪さにおいていくぶん劣るむっつり屋の肥った男が、女を手つだって、危くない場所まで運んで棄てたものだろう。(「技師の親指」(心療文庫)より)

 

そして、極めつけなのがこちら。

 

銀次の親指!

 

 

プライオリ学校からも

先週の予告から、ネタが登場しそうな匂いがプンプンしていたのが、「プライオリ学校」。

いくつかはプライオリ学校の要素はあったと思われます。

先週も書きましたが、寅次郎拉致現場のタイヤ跡と足跡は、同じ誘拐事件のプライオリ学校でも見られます。

 

沼地の低い部分に、泥ふかいこみちがあって、それに近づいたホームズが歓声をあげたので、見るとこみちの中央に電話線を束ねたような跡が残っている。パーマー製のタイヤの跡である。
「ハイデッガー君だよ。僕の推理は相当なものじゃないか、ワトスン君」ホームズは満悦である。
「お手柄だよ」 「いや、まだまだ。途は遠きにありだ。こみちをよけて歩いてくれたまえよ。この跡をたどってみよう。この跡はそう遠くまで続いてはいまいと思うけれどね」
 だが、この付近は水気の多いところがちょいちょいあって、時に轍のあとを見失いはしたけれど、すぐその先につづきを発見するのだった。 「ワトスン君、このへんはスピードを出して走っているが、わかるかい? まちがいない事実だよ。その跡を見たまえ、両車輪ともはっきり出ているだろう? ほとんど同じ深さの溝になっている。これはね、スピードを出すために上半身を伏せて、ハンドルに重みをかけた場合のみに起こる現象なんだ。おや、転んだな!」
 そのあたり何ヤードかは、幅ひろく不規則に泥が乱れていて、つづいて足跡が二つ三つあり、その先が再びタイヤの跡になっていた。
「横すべりしたんだね」と私。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

獅子雄は草の倒れ具合から車の向かった方向を推理しましたが、ホームズもタイヤの跡から方向を推理する場面もありました。

この車輪の跡は、学校の方から来ているね」
「学校の方へかもしれないよ」
「それは違うよ。この深いほうの跡が、体重のかかる後車輪だが、この通り前車輪の浅い跡に重なって、それを消している場所がいくつもあるだろう。だからこれは学校のほうから来ていることは間違いないのだ。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

また、今回は獅子雄は付近のホームレスの皆さんに聞き込みをして不審な車は見なかったということを聞き出しています。

プライオリ学校では、立ち番の巡査から証言を得ていました。

ところが不思議な幸運で、その晩この道を通った者が、ある程度調べあげられるのだ。というのは、いま僕のパイプのさわっているこの点に、その晩十二時から六時まで、巡査が一名立番していたのだ。このとおり学校から東へいって、第一の横町のある場所だが、この巡査が、勤務中一刻といえどもこの地点を離れなかったけれど、子供も大人も、一人も人は通らなかったというのだ。現にその巡査に会ってきたが、十分信頼のできる人物だった。だからこっちはこれで問題はない。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

また、プライオリ学校では、行方不明現場にはジプシーもいたのですが、ジプシーと今回河原にビニールシートの家を作っていたホームレスのおじさん達も似た要素と言えるでしょうか。

「ついに手掛りがありました。とうとう手蔓になるものが見つかりましたよ。これがあの少年の帽子です」
「どこにあったのですか?」
「ジプシーの荷車のなかです。荒れ地にはジプシーがキャンプしていましたが、火曜日にどこかへ行ってしまいました。警察がきょうその行くえを突きとめて、家財運搬用の荷車を調べたら、これが出てきたのです」(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

最後に獅子雄が見つけたお金から200万円という大金をせしめましたが、これもプライオリ学校の最後に大金を得たホームズに少し似ているかもしれません。

 

その他に気がついたところ

今回はいろいろと要素が多くて楽しめた回でしたが、他にもはっきりとではありませんが、連想できそうな要素もいくつかありました。

 

寅次郎は右手の親指の×印の入れ墨をしていましたが、老人が入れ墨をしているというのでは、グロリア・スコット号事件のトレバー老人が思い浮かびます。ホームズに入れ墨からの推理を聞かされ失神してしまいます。

『わけもないことですよ。ボートへ魚をあげるため、あなたは片袖をまくりあげたことがありますね。あのときひじの曲りめに、J・Aという字が刺青してあるのが見えました。それが、読めることは判然と読めたのですが、文字のぼやけていることといい、そのへんいったいの皮膚が引きつれになっていることといい、その刺青を消そうとなすったことがわかりました。それで、この頭文字の人と一時は親しくしていらしたが、あとではその人の名さえ忘れてしまいたくおなりになったことがわかります』(「グロリア・スコット号」(新潮文庫)より)

 

寅次郎がとらわれていた場所で、猿の鳴き声を聞いたと言っていますが、これは「這う男」を連想させるとの声も。

 

類人猿の血清のほうが好結果を来すものと考えられますが、過日も申しあげたように、材料入手の便宜上黒面の尾長猿を使用することにしました。もとより尾長猿が木登りをし、地上では匍伏前進するのに反し、類人猿は直立歩行するくらいで、より人類に近いものです。(「這う男」(新潮文庫)より)

猿つながりでは、「まだらの紐」のロイロット氏も庭にヒヒを飼っていたことが思い出されます。

 

冒頭、若宮君のプリンを獅子雄が食べたのではと疑うと、獅子雄は習慣と思い込みについて若宮を諭しています。習慣化して気がつかないという点で言うと、ホームズの観察の話にも少しつながるかと思い起こしました。

「君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ。たとえば君は、玄関からこの部屋まであがってくる途中の階段は、ずいぶん見ているだろう?」

「ずいぶん見ている」

「どのくらい?」

「何百回となくさ」

「じゃきくが、段は何段あるね?」

「何段? 知らないねえ」

「そうだろうさ。心で見ないからだ。眼で見るだけなら、ずいぶん見ているんだがねえ。僕は十七段あると、ちゃんと知っている。それは僕がこの眼で見て、そして心で見ているからだ。(「ボヘミアの醜聞」(新潮文庫)より)

若宮君も、プリンが何個あったのか見ているだけで観察していなかった、ということで丸め込まれてしまいました。

 

あとこんな連想も。

 

次週への期待

さて、いよいよ「シャーロック」も終盤になってきました。

来週のモチーフとなる「語られざる事件」は、予告からかなり明らかになっています。

死んだ二人の男のそばにあったというライオンの写真、その裏のメッセージに、「赤い蛭」という文字が見えました。

 

「金縁の鼻眼鏡」では次のように登場しています。

一八九四年の一年間に私たちのなしたる仕事を記録した、かさばった三冊の手記を手にとってみて、かくも豊富な材料のなかから、どの事件をえらびだせば、はたして読者諸君にもっとも興味があるだろうか、そしてまた、私の友のあの異常な才能をいちばんよく示しうるだろうかと、じつは私も少なからず困難を感じるのである。ページをくるに従って、私はまずあの忌わしい赤蛭の事件だの、銀行家クロスビーの惨死事件だのの記録を発見する。それからまたアドルトンの悲劇や、イギリス古代塚の奇怪な物語などもこのなかに記載されているのである。あの有名なスミス・モーティマーの相続事件もこの年のことである。ブールヴァールの刺客ユーレ追跡ならびに逮捕の顛末もまたしかりである。

赤蛭の事件は忌まわしいものだったようですが、細部については明らかにされていません。

語られざる事件が列挙されていますが、ちょっと気になるのがスミス・モーティマーの相続事件。次回の被害者(?)の一人が柴田雅樹ということで、頭文字が一致しています。何か相続関連の背景があるのかもしれません。

 

また、その他のキーワードとしてはライオンがあります。獅子雄の名前にも関連していますので気になります。

 

そして、予告で書かれているヴィジュネル暗号。

 

暗号が出てくる話もたくさんありますので、獅子雄がどんな解読をするのか楽しみ。

 

最後に、次の登場人物、亜蘭世津子=SA。

 

アランとモランの語感から、モリアーティの腹心であるセバスチャン・モラン大佐にあたるのが亜蘭世津子なのかもしれません。

こちらも楽しみです。

 

Tomo’s Comment 

今回も海外に出張中、かつ、うちの録画機が録画中は放送中の番組を遠隔で見られないということで、録画が終了した直後に市長と言うことになりました。

ネットが遅く、画質・音声も荒かったので、なかなか細部まで気がつきませんでしたが、今回は原作要素がかなり登場してきて、見ていて楽しかったのですが、それ以上にストーリーとしても、引き込まれる要素がありました。

次回以降守谷グループとの本格的な絡みが始まりそうですので、シリアスな展開に入る前のほっこりしたエピソードと言うことで、緩急がついてよかったと思います。

残りはおそらくあと4回。引き続き楽しみにしていきたいと思います。

 

今回もTweetを引用させていただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

前回までのまとめはこちら

新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる

アイリーン登場?新月9ドラマ「シャーロック」第二話もシャーロッキアン的に見てみる

早くも黒幕の影が!新月9ドラマ「シャーロック」第三話もシャーロッキアン的に見てみる

キーワードは失踪でなく橋?月9「シャーロック」第四話をシャーロッキアン的に見てみる

「マーゲートの婦人事件」がモチーフ。月9「シャーロック」第五話をシャーロッキアン的に見てみる

カナリア調教師ウイルソンが登場。月9「シャーロック」第六話をシャーロッキアン的に見てみる

 

当ブログではホームズについては次のようなカテゴリーであれこれ書いています

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