Lecture 3 Modeling Decision Problem
今日はモデルの中でも、Decision TreeとMarcov Modelの二つについての講義。
まず先週の復習としてなぜモデルを用いるのかということで、コスト効果分析に基づいた意志決定をするためにモデルは不可欠であるということと、実世界の複雑さを数学的に表すことができるためという二点について、最初に確認しました。
まず最初はよりシンプルなDecision Treeについて。これは、ある問題(例えば膝の負傷)に対して、取り得る選択肢(外科的検査とMRI検査)をすべて書き出し、さらにそれぞれの結果を書き出していきます。この枝分かれ図(右から左に展開)が木のようなので、Decision Treeと言います。
このそれぞれの枝分かれに際して、それぞれに進む可能性をデータから当てはめ、それぞれの結果の確率を求めます。それぞれの枝分かれの際の確率の合計は1または100%になるように置いていくので、結果の確率はそれぞれの枝分かれしてきた際の確率をかけていけばよい。この結果の確率をすべて足すと1または100%になります。
次に、それぞれの結果にいたるまでのコストを求め、そのコストに確率をかけて(Weighted Costにする)その和を求めると、一つの選択肢のコスト予測が得られます。また同じくそれぞれの結果をQALYで表して、コスト同様、確率をかけて総和を求めると、期待されるQALYが得られます。
このコストとQALYを、違った選択肢同士で比較することで、Cost Utilityの違いを知ることができます。(ICERを使用)
このDecision Treeの問題点は、何度も発生する事象に対しては効率的にモデル化することが難しいこと、ある事象は同時に起こることを想定しているため時間の概念を含められないということがあります。
これらの弱点を克服しているのがMarkov Modelとなります。
Markov Modelも、ある選択肢について、起こりうるOutcomeについてのコストと効果を確率に基づいて計算して、他の選択肢と比較するというものですが、Decision Treeとの違いは、時間の概念(Markov Cycle)を導入していること、ある問題について違った状況(Markov Stage)を設定して、ある状況から別の状況に移る確率を基本としていることです。
例えば、HIV感染者に対して、MonotherapyとCombination Therapyどちらを採用するか検討するときには、CD4カウントが200以上、200以下、AIDS、死亡の4つのステージと、サイクル(例えば一年間)を設定し、そのサイクル内でステージ間を移動する確率をそれぞれデータから求めます。HIVの事例だと、一年のうちにCD4カウントが200以上の状態から200以下に移る確率、AIDSを発症する確率、死亡する確率を設定し、1年後、例えば1000人のCD4カウント200以上だった感染者が、どのステージに移っているかを、一定の期間(20年など)で推測し、これを素にコストとOutcomeの総和を求めます。介入の違い(MonotherapyかCombination Therapyか)は、ステージ間の移動の確率の高低で表されます。
このモデルも限界はあって、個人の病歴によってステージ間移動の確率が異なることを無視していたり、20年という長期にわたってステージ間の移動の確率を同じにおいたりということがあげられます。ただし、これらもデータさえあれば、さらに精緻なモデルにすることは可能とのことでした。
明日は、実際にデータを用いて、モデルを作ってみるそうです。
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