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【#月9でシャーロック】最終回は乗員が行方不明のあの事件。月9「シャーロック」第十一話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第十一話

ディーン・フジオカ (C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

さあ、いよいよ最終回の「シャーロック」。

1時間半の拡張版と言うことで、めまぐるしい展開が続き、最後には守谷も登場。とはいえ、それですべて解決したかという塗装でもなく、いろいろと謎が残ったままのラストとなりました。

Twitterでは、不満の声も多かったようですが、私はだいぶ前にこのようにつぶやいていたので、それほど不満のある最終回ではありませんでした。

 

最後に、特別編としてもう一回続くことも予告されましたが、総集編的な位置づけのようなので、今回の謎が回収されることはないように思います。

そうなると、シーズン2もしくは映画について告知があれば・・・、ぐらいで期待するのがよさそうですね。

と、ストーリーについて語るときりがないので、そちらは他の皆様におまかせし、こちらではホームズ原作との関係について検証していきたいと思います。

 

今回のモチーフとなった「語られざる事件」

今回はまったく予測がつかず、ストーリーの終盤まで分かりませんでした。

やや唐突に、サットンビジネススクール所有の船舶、「アリシア号」が出てきてやっと判明しました。

アリシア号というのは、コックス銀行に保管されているというワトソン博士のブリキの書類箱に入っている事件簿に収められた事件だそうです。ジェームズ・フィリモアの事件と同じ「ソア橋」において言及されています。

チャリング・クロスのコックス銀行の地下金庫のどこかに、元インド軍付、医学博士ジョン・H・ワトスンとふたにペンキで書きこんだ、旅行いたみのしたガタガタのブリキの文箱が保管されているはずである。この中には書類がぎっしり詰まっているが、その大半はシャーロック・ホームズ氏がいろんなことから捜査にあたった奇怪な事件を記録したものである。そのあるものは、面白いことに、まったく失敗だった。そういうものは、最後の解決がないのだから、まずお話にならない。解決のない問題というものは、研究者にとっては面白いかもしれないが、気楽に読もうという読者には退屈でしかなかろう。

 これら未完成の事件の中には、自宅へ雨傘を取りにはいったきり、この世から姿を消してしまったジェームズ・フィリモア氏の話もある。また春のある朝、大したこともない霧の中へ帆走していったまま出てこなくなり、乗組員もろとも永久に消息をたってしまったアリシア号という小艇の不思議な事件もある。(「ソア橋」(新潮文庫)より)

 

霧の中に出ていったまま消息を絶ったというところは、今回の獅子雄のラストシーンにもつながる気がしていますが、それ以上にはストーリー中で使われてはいなかったように思います。

 

最後の事件

今回の事件が、最後の事件、かつ守谷=モリアーティとの対決になると言うことで、原作でのモリアーティが登場した「最後の事件」との関連について少し考えたいと思います。

 

ホームズがモリアーティと対決して行方不明になったのは、スイスのライヘンバッハの滝でした。今回、獅子雄と守谷の最後の対決がどこで行われるのか、注目していたのですが、名前としてのライヘンバッハは、先週のエピソードで「ライヘンバッハ学生寮」としてすげに登場してしまっていました。

この学生寮の屋上から落下するというのはあり得たかもしれませんが、そうなると行方不明という結末にもっていくには遺体の処理という難しい問題が発生します。

BBC制作の「Sherlock」では、セント・バーソロミュー病院の上から、シャーロックが落下しましたが、その遺体の扱いについてはさまざまな工夫がなされていました。

今回そのようにしてしまうと「Sherlock」以上の工作が必要となり、かつ兄の万亀雄がとらわれていたことを考えると難しかったと思います。

その意味では、滝ではないけれど海を使ったというのは妥当に感じました。せめて、場所的にもうすこしライヘンバッハ的な要素が付け加わってくれているとよかったのですが。

 

「最後の事件」との共通性を考えると、直前までワトソン博士とともにいたのを、あえて別れてモリアーティとの対決に向かったホームズと、今回の獅子雄の行動は合致していたと思います。最後の落下シーンに若宮君が間に合って目撃していたというところが原作とは違うところです。

 

ホームズの原作では、この「最後の事件」までモリアーティについてはまったく触れられておらず、突然読者に前に姿を現した形となります。一方、「シャーロック」では、守谷という名前だけは第三話から登場しており、その後も何度か関与が臭わされてきました。しかしながら、守谷という人間自体は最終回まで登場せず、その意味では原作と共通するところがあるかもしれません。

守谷の正体を巡っては、すでに登場していた誰かを推測する声も多くありましたが、原作に忠実という意味では、今回の結末はアリだと思います。(ただ、守谷が本当に守谷だったのかについては謎のまま残っていますので、さらなるどんでん返しがあるのかもしれません。)

 

原作だと、「最後の事件」が公開された1893年から、ホームズが帰還した「空き家の冒険」まで10年の間、ホームズが行方不明だったことになります。ちなみに、この間に、ホームズが失踪する前の事件という位置づけで「バスかヴィルケの犬」が公開されています。

次回の特別編でどのようになるのか予測がつかないところですが、個人的な希望としては、このまま失踪状態のままで終わり、来年のどこかでシーズン2開始が突然発表される、というのがいいなあと思っています。東京オリンピックも終わってますので、気分を変えて、万博が開かれる大阪を舞台に、などもいいかもしれません。

その前、「バスかヴィル家の犬」的な位置づけで、映画というのもあってもいいかも。でも、獅子雄と若宮君が出会ってからのエピソードは今回リアルタイムで語られていたので、その間にあった事件というのは無理があるので、若宮君との出会い前の事件と以下達になってしまいますね。

 

その他原作からのエピソード

若宮君との出会い前の事件と言うことで、今回市川が獅子雄の過去を語ったときに、犯罪コンサルタントになったきっかけとして、香港で起きた「グロリア・スコット号」事件を挙げていました。

この「グロリア・スコット号」というのは、原作でもホームズがワトソン博士に会う前の事件として語られており、かつ、ホームズが探偵を一生の仕事にするきっかけとなったものでした。

ホームズがある日、グロリアスコット号事件で老人を死に導いた手紙についてワトソンに語ったところから、エピソードが開始されます。ワトソンは興味津々でこのように考えました。

「なんだか面白そうだね。君はいま、とくにこの事件は僕が研究してみる価値があるといったが、それはどうしてなのだい?」
「僕が初めて手がけた事件だからさ」
 ホームズはいったいどういう動機から、犯罪捜査の方面に心をむけるようになったのか、それを聞きだしてやろうと、私はこれまで何度ということなく努めてみたのだが、いつでも憎めない冗談にまぎらされて、ついに成功したことがない。それがいま、ちゃんと自分のひじ掛けいすに坐って、ひざのうえに記録をひろげているのである。(「グロリア・スコット号」(新潮文庫)より)

 

この後、ホームズがワトソンに「グロリア・スコット号」について語って聞かせてくれました。ホームズがまだ学生時代の事件でしたが、ここでホームズに探偵業に導いたのがトリヴァ老人。ホームズの推理力を褒めて、このように言ったのでした。

ホームズ君はいったいどうしてこれまでになったのか知らないが、実在の人物でも架空の人物でも、今までの探偵なんかあんたの前へ出たら、子供のようなもんじゃ。あんたはこれからこれで身をたてなさるんじゃな。これは世のなかというものをいくらか知っとる者のいうことじゃから、信用しなさっても間違いはない』
 僕の才能を誇張してほめちぎったうえ、こういってすすめてくれたトリヴァ老人の言葉が、じつは、それまで単なる道楽くらいにしか考えていなかった探偵の仕事の、職業として十分成立し得ることを覚ったそもそもの動機だったんだよ、ワトスン君。(「グロリア・スコット号」(新潮文庫)より)

 

獅子雄の香港での事件も若宮君に会う前ですし、香港での獅子雄の活躍を映画にしてもらうというのも楽しそうです。ディーン・フジオカさんも中国語に堪能なようですし(広東語はどうなんでしょう)、国際的な事件として日中合作とかでスケール感のある映画なんて楽しそう。

 

今回の事件で、市川が万亀雄と獅子雄の関係について語っていました。原作のホームズとマイクロフトは、異母兄弟だったということは語られていませんし、万亀雄のように弟に嫉妬するということはなく、むしろシャーロックの方がマイクロフトにはかなわないと言っていますので兄弟関係については原作とはやや違う設定となっているように感じます。

一方、万亀雄と獅子雄の年齢差について、7歳だったことが明らかになっています。これについては、マイクロフトとホームズ兄弟と同様でした。

この国にホームズ以外にこのような特異な技能をもった男がいるというのに、どうして今まで警察や世間に知れずにいたのだろう? これはホームズが謙遜して、兄弟のほうが自分より優れているといっているのだろうと思ったから、そう突っこんでみたが、ホームズは私の言葉を一笑に付して、
「ワトスン君、僕は謙遜を美徳の一つに数える人には同意できないね。論理家は、すべての物事をあるがままに見なければならない。自分の価値を法外にひくく見積るのは、自分の力を誇張するのとおなじに、はなはだ事実に即さない。だから僕がマイクロフトは僕よりも優れた観察力をもっているといったら、まったくのところそれが正真正銘の事実だと思ってくれていい」
「君の弟なのかい?」
「七つうえの兄だよ」
「名が知られていないのはどうしてなんだ?」
「兄の仲間うちではよく知られている」
「仲間とは?」
「たとえばディオゲネス・クラブなんかそうだね」(「ギリシャ語通訳」(新潮文庫)より)

今回もディオゲネスクラブが登場していました。談話室以外でおしゃべりしてはいけないというクラブですが、今回はその辺は省かれていましたが、若宮君も一緒だったというのは原作と同じでした。

 

その万亀雄ですが、今回守谷グループによりとらわれの身になってしまいましたが、ギリシャ語通訳でもギリシャ語を話す男がとらわれの身になっており、また一度通訳をしたメラス氏も、再度連れて行かれて瀕死の目に遭ってしまいました。

 

今回になってやっと家主のハドソン夫人にあたる人物が登場してきました。それが、波藤園美。

原作のハドソン夫人は、ベーカー街221Bのホームズとワトソンの部屋の家主で、ホームズのことを敬愛し、あるときは事件解決のために手助けもしていたほど。

「シャーロック」での波藤夫人は、家賃の取り立てに来るぐらいで、まだ獅子雄と親しくなっていませんでした。原作通りであるとすれば、今後、獅子雄のことを認めて捜査にも協力してくれることになるのかもしれません。(続編があればですが・・・)

その波藤夫人との会話の中で、獅子雄が家賃の代わりにバイオリンを処分すれば数千万になると言っていました。獅子雄いわく、ストラディヴァリウスのバイオリンなのだとか。

ストラディヴァリウスというのは、正解位置有名と言っても過言ではないバイオリン制作者。かれの作ったバイオリンはそれこそ数億の値がつくものもあります。

実は、原作のホームズもストラディヴァリウスのバイオリンを所有していました。父からもらったという獅子雄と同様、ホームズも大金をはたいて入手したというのではなく、安価に手に入れていました。

簡単な食事を愉快にすませたが、そのあいだホームズはヴァイオリンのことしか話さず、いまもっているストラディヴァリウスは少なくとも五百ギニーの値うちのものだが、それをトテナム・コート通りのユダヤ人の質屋でわずか五十五シリングで買ったいきさつを、大得意で語った。それから話がパガニーニのことになって、一本のクラレットを楽しみながら一時間も対座するうちに、彼はこの名ヴァイオリニストの逸話をつぎからつぎと聞かせてくれた。(「ボール箱」(新潮文庫)より)

 

次週への期待

今回が一応最終話ということで、次回は特別編。

獅子雄のことを知るために、これまでに関わりのあった人物達に再度会っていくという趣向のようです。

確かに、その後について気になる登場人物もいましたので、それはそれで楽しみ。

今回の謎をどうにかしてほしいという人も多いようですが、私は淡々と獅子雄に関わった人たちのその後を若宮君が知ることで、より二人の絆が深まってもらえばそれでいいという感じです。

最終回を終えた後に、安易に謎解きや伏線の回収をしてもらうよりは、謎は謎のまま残してもらうか、続編を臭わせてもらうだけで十分です。

 

Tomo’s Comment 

ということで、ネット上では否定的意見もあるようですが、私は今回の結末についてはシャーロッキアン的には大満足。

 

もしこのまま終了だったとしても、この十一回すべてを思い返してみたら本当によいドラマを見させていただいたという感謝しかありません。もしもう1シーズンでも映画でも続いてくれたら言うことはありません。スタッフの皆様、ありがとうございました。

そして、主演のディーン・フジオカさんですが、「シャーロック」のサウンドトラックに入っていない主題歌を聴きたくてこちらも購入したんです。

当初は主題歌のShellyとSearching for a Gholsだけが聞きたくたかったのですが、それ以外の曲もかなり良くて、通して聞いているうちにもっとディーンさんの曲を聴きたくなってきました。

Twitterでつぶやいたところ、セカンドアルバムの評判が良かったので、こちらも購入。

 

そもそもこの月9でシャーロックの元ネタ解説記事も、「シャーロック」を見て、オリジナルのシャーロック・ホームズに関心を持ってもらいたいと思って始めたのですが、自分が「シャーロック」を通してディーン・フジオカさんにはまっていくとは思ってもみませんでした。

いろいろと関心を持っていくと、新たな世界が開けるものなんですね。

ディーンさんのファンの方も、『シャーロック」からシャーロッキアンになっていただけたら本望です。

 

前回までのまとめはこちら

新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる

アイリーン登場?新月9ドラマ「シャーロック」第二話もシャーロッキアン的に見てみる

早くも黒幕の影が!新月9ドラマ「シャーロック」第三話もシャーロッキアン的に見てみる

キーワードは失踪でなく橋?月9「シャーロック」第四話をシャーロッキアン的に見てみる

「マーゲートの婦人事件」がモチーフ。月9「シャーロック」第五話をシャーロッキアン的に見てみる 

カナリア調教師ウイルソンが登場。月9「シャーロック」第六話をシャーロッキアン的に見てみる

スマトラの大ねずみ登場。月9「シャーロック」第七話をシャーロッキアン的に見てみる

SAはモラン大佐?月9「シャーロック」第八話をシャーロッキアン的に見てみる 

【#月9でシャーロック】最後の晩餐で・・・?月9「シャーロック」第九話をシャーロッキアン的に見てみる

 

当ブログではホームズについては次のようなカテゴリーであれこれ書いています

「ホームズゆかりの地」案内

ホームズ研究書

ホームズパスティーシュ

BBC “Sherlock”

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【#月9でシャーロック】スマトラの大ねずみ登場。月9「シャーロック」第七話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第七話

岩田剛典、 山城琉飛、ディーン・フジオカ、(C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

 

今週のストーリーは殺人事件もなく、ちょっとほっこりした展開でしたね。

獅子雄の人間性も、複雑ながら優しい側面なども垣間見えてきて、キャラとしてもかなり深まってきた印象です。

そして、なによりも原作要素がかなり出てきたのもうれしいところ。

ストーリーや感想は他のサイトにお任せし、今回も原作要素を紹介していきたいと思います。

 

モチーフは「スマトラの大ねずみ」

第四話の「マーゲートの婦人事件」に次いでモチーフとなる「語られざる事件」が予見できない回となりましたが、正解は「スマトラの大ねずみ」。

今回のゲスト、伊武雅刀さん演じる狭間寅次郎が、かつてコンビの金庫破りとして、悪人からお金をぶんどっていた時の通り名が「すまとらの大鼠」。相棒の名前が須磨で寅次郎のトラで「すまとら」、もしくは金庫を破った後、犯行現場に須磨家の家紋を寅の刻の方角に貼って残していったことからマスコミでは「須磨寅の大鼠」と呼ばれていたのだとか。

「トラ」のつく登場人物が寅次郎と虎夫と二人も出てきて、トラがキーワードだとは思ったのですが、スマトラのトラにかけてくるとは意表を突かれました。制作陣のセンスが素晴らしい。

スマトラの大ネズミは語られざる事件である「マティルダ・ブリッグス事件」に関連しているとされています。この事件が言及されているのが「サセックスの吸血鬼」事件。ちょっと長いですが、登場箇所を引用します。

十一月十九日 オールド・ジュリイにて
吸血鬼に関する件
拝啓 我が社の顧客であるミンシン小路の茶仲買商ファーガスン・アンド・ミュアヘッド商会のロバート・ファーガスン氏より、本日付の当社宛手紙にて、吸血鬼に関して照会がありました。我が社は機械類の査定を専門としておりますので、右の件は営業科目の範囲外でありますから、貴殿を訪問のうえ、ご相談なさるようファーガスン氏にご勧告申しあげました。当社は貴殿がマティルダ・ブリッグス事件を成功裡に解決なされた御手腕を、今なお失念してはおりません。
敬具
モリスン・モリスン・アンド・ドッド商会
代表 E・J・C

 

「マティルダ・ブリッグスといったって若い女の名じゃないぜ、ワトスン君」ホームズは古いことを追想しながらいった。「スマトラの大ねずみに関係のある船の名なんだ。この話はまだ世間に知れ渡っていないがね。(「サセックスの吸血鬼」(新潮文庫)より)

 

ということで、船に関する未公開の事件であることしか分かっていません。

(脇道にそれますが、ホームズも、ワトソンがマティルダと聞いて若い女を連想するという決めつけはいかがなものかと。いくら女性はワトソンの専門と言っていたとしても、あんまりな気がします。)

 

「シャーロック」公式ではこのように紹介されています。

『サセックスの吸血鬼』の中で言及されていたもの。本編で、顧客から吸血鬼についての調査を依頼されたが専門外のためシャーロックに相談をしてきたモリソン・モリソン&ドット社が、過去にシャーロックに依頼して世話になったという事件で、未発表のもの。シャーロック曰く、その「『マチルダ・ブリッグス号』という船は、スマトラの大鼠と関係している」とのこと。スマトラの大鼠が何を指しているのかは不明。(シャーロック公式サイトより)

 

この事件も、パセリとバターやこうもり傘と並んで「語られざる事件」の中では印象に残るもので、パスティーシュでも取り上げられています。

以前にも紹介していますが、ホームズパスティーシュの中ではピカイチなシリーズを書いているジューン・トムソンさんもスマトラの大ねずみを題材に書いています。

 

BBC「Sherlock」のS3E1でも使われていましたね。

 

スマトラ島は現在のインドネシアの一部で、かつてはオランダ領でした。

私も一度だけ行ったことがありますが、残念ながら大ねずみを見かけることはありませんでした。

ドリアンが美味しかったのは覚えています。

スマトラ島のフルーツ

 

獅子雄のスクラップブック

これまでのパターンから、語られざる事件が出てくる事件からいろいろと元ネタがあることがありましたので、「サセックスの吸血鬼」事件を再読してみました。

ちょっと関係しているかと思ったのは、「須磨寅の大鼠」について、獅子雄がスクラップブックを調べているシーン。

さすがに犯罪コンサルタントだけあって、昭和の事件の新聞記事まで切り取って保存しているのは立派ですね。(どうやって当時の新聞を手に入れたのかは謎ですが。)

ホームズ同様、部屋に書類が多いなとは思っていましたが、こういうところで役に立ってきました。(第一話で若宮君に窓から捨てられた書類も無事改修できたのでしょうか。)

スクラップブックとは別の資料ファイルもあって、本家「鼠小僧」についての資料も参照していました。(そのページには最後に登場する鼠小僧の墓のことも書かれています。)このファイルは本からコピーしたものをまとめているのでしょうか。自分で作成していたとすると立派ですが、構成的には図鑑類のコピーのような。

ところで、「サセックスの吸血鬼」でも、ホームズがスクラップではないですが、アルファベットごとにまとめられた索引簿を参照しているシーンがありました。

ちょっと手をのばしてくれないか。Vの部に何があるか調べてみよう」

 私はうしろへ体を伸ばして、ホームズの求める厚い索引簿を棚から取りおろした。彼はそれをひざの上で平衡を保ちながらひろげて、ゆっくりと、なつかしそうな眼つきで、終生かかって蓄積した見聞や知識の中に混っている古い事件の記録をたどっていった。

「グロリア・スコット号」の航海か。いやな事件だったな。こいつはたしか君が書いたと思うが、でき栄えはあんまり香しくなかったようだぜ。ヴィクター・リンチ、偽造者。有毒のトカゲ。手ごわい事件だったな、こいつは。それからサーカス美人のヴィットリアに、金庫破りヴァンダヴィルトか。まむしにハマースミスの怪物ヴィゴアか。おや! おやおや! やっぱりこの索引はいいね。おろそかにできないよ。いいかい? ハンガリーにおける吸血鬼伝説とある。それからこっちにはトランシルヴァニアの吸血鬼とある」

 

そしてこの索引のVのところには、今回の事件でもキーワードになっている「金庫破り」のヴァンダビルドも登場しているのは偶然ではないように思います。

 

ホームズは「サセックスの吸血鬼」事件以外でも、索引帳や人名簿、備忘録を参照していますが、かなり熱心にこうした資料を作成・整理したことが別の事件でもうかがえます。

例えば「赤い輪」事件の冒頭でもこのように描写されています。

「さあねえ、あなたがそう心配なさる理由はないと思いますがねえ、ワレン夫人。わけもわかりませんし、これで私もいくらか忙しい身ですから、出る幕じゃないと思いますよ。ほかにしなければならない用事があるのです」

 こういってシャーロック・ホームズは、最近の資料を整理して索引をつくっていた大型のスクラップ・ブックのほうへ向きなおった。(「赤い輪」(新潮文庫)より)

 

また「ブルース・パティントン設計書」の事件の冒頭でも一日かけて資料を整理していることが記されています。

一八九五年十一月の第三週、ロンドンは濃い霧がふかくたれこめていた。月曜日から木曜日にかけて、ベーカー街の私たちの部屋の窓から、街路をへだてた向こうがわの家が、ぼんやりとでも見えたことは一度だってないように思う。

 最初の日はホームズも、大きな資料簿に縦横に索引をつけてすごした。二日目と三日目は、ちかごろ道楽にしている中世の音楽の問題でおとなしく送った。だが四日目の木曜日ともなると、朝食のあと椅子をうしろへずらして、どんよりと重くるしいもやがまだ去らず、窓ガラスに油っぽく水滴の凝集しているのを見ては、気みじかで活動的なホームズとして、生活の単調さにうんざりしてしまったらしい。(「ブルース・パティントン設計書」(新潮文庫)より)

 

他の事件でも、この記録を参照していることが多くありますので、やはり諮問探偵としては、こうした記録が必須だったのでしょう。

ホームズの最初の作品である「緋色の研究」このように言っていますので。

だいたい犯罪にはきわめて強い類似性があるから、千の犯罪を詳しく知っていれば、千一番目のものが解決できなかったら不思議なくらいなものだ。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

 

技師の親指からの要素

「語られざる事件」の登場する「サセックスの吸血鬼」からの要素は少なかったのですが、その代わりにネタが多く出てきたのが「技師の親指」。

一番直接的なのは、須磨寅の大鼠の最後の金庫破りの際に、金庫の持ち主である山森組の組員に見つかって刀で切りつけられたのですが、そのとき、片割れだった銀次が寅次郎をかばって親指を失ってしまったというエピソード。

「技師の親指」事件でも、事件の依頼人であるビクター・ハザリーという技師が、事件に巻き込まれて親指を失ってしまいました。

この事件、ワトソンが相談を受けてホームズに紹介した数少ない事件の一つとされています。

シャーロック・ホームズとの短かからぬ親交のあいだに、彼が解決を託された事件のうちで、この私からの紹介によるものが二つだけある。ハザリー氏の親指事件とウォーバートン大佐の発狂事件である。(「技師の親指」(心療文庫)より)

冒頭、虎夫少年がまず獅子雄のふりをした(させられた)若宮君に事件の相談をしたのと通じるように思います。

 

そして寅次郎の名字が狭間。親指を失った技師の名前がハザリーというのがにていますね。そして技術者(ハザリーは水力技師)が連れ去れられて仕事をさせられていたというところも共通する要素。

 

 

 

 

さらに、寅次郎が連れ去られた場所を若宮君が推理する場面。寅次郎が連れ去られた車内でかかっていたラジオから、自分が2時間ほど車に乗せられていたことが判明します。この2時間とFM放送の基地局の位置から、若宮君はその範囲を考え、東京から北東に向かったと推理しました。

この場面、「技師の親指」でも登場します。ちょっと長いですが引用してみます。

警部は座席のうえに目的地附近の陸地測量部地図をひろげて、アイフォードを中心にコンパスをぐるぐる廻すのに忙しい。
「できましたよ。これがアイフォードを中心に十マイル半径で描いた円です。目ざす場所はこの円周の附近になければならない。あなた、たしか十マイルといいましたね?」
「たっぷり一時間はかかりました」
「気がついてみたら、わざわざ駅の附近まで運ばれてきていたというのですね?」
「それに違いありませんよ。そういえば夢のなかでどこかへ担いでゆかれるような、ぼんやりした記憶があります」
「私はどうもわからないのですが」とこれは私だ。「庭で気を失って倒れているものを、何だって彼らは助けたのでしょう? その女の嘆願で、気が折れたとでもいうのでしょうか?」
「そんなことはあり得ないと思います。あんな残忍冷酷な顔はみたことがありませんよ」
「そんなことはいずれわかりますよ。とにかく円を描きましたが、目ざす奴らがこの円のどのへんにいるか、私はそれが早く知りたいだけです」とブラッドストリートがまた話を戻した。
「僕にはその位置なら指差せると思う」ホームズが静かにいった。
「えッ、もうですか?」警部はたちまち眼を丸くして、「もう推定ができたんですね? じゃ誰が当てるかやってみましょう。私は南だと思う。こっちのほうが寂しい地方です」
「私は東だと思います」水力技師がいった。
「私は西です。西には静かで小さな村がいくつもあります」これは刑事だ。
「私は北説です」最後にこれは私。「というのは、こっちには山がないからですが、ハザリーさんは馬車が一度も登り坂へかからなかったとおっしゃるんですからね」
「ハハハハ」警部は愉快そうに笑って、「これはひどく意見が分れましたね。四人で東西南北をみんないっちまった。ホームズさんは決定 投票をどこへ入れますね?」
「みんな違っていますよ」
「みんなという事はないでしょう」
「いいえ、みんなです。私はここを指摘する。ここが彼らのいるところです」ホームズは円の中心を指で押えた。
「だって十二マイルも走ったのに?」ハザリーは荒い息をした。
「六マイルいって、六マイル帰る。これほど簡単なことはありません。乗るとき馬が元気でつやつやしていたといいましたね? 悪い路を十二マイルも走ってきたものなら、そんなはずはありません」(「技師の親指」(心療文庫)より)

今回の事件でも寅次郎は2時間乗せられていたものの、監禁されていた場所は拉致された場所からすぐ近いデイサービスの車庫の中でした。

1時間行って1時間戻ったのか、2時間近所をぐるぐる回っていたのか分かりませんが、場所を悟らせないためのトリックだったということでした。

放送を(事情があって1時間遅れ)で見ていたとき、馬車で連れ去れた場所を推理する場面としてすぐに「技師の親指」と特定できず「ギリシア語通訳」とどちらか迷いました。周りの見えない馬車で連れ去られたのは共通していますが、円を描いて推理してたのは「技師の親指」でした。他に「四つの署名」でも、馬車で連れて行かれた場所をホームズが推理している場面がありました。

 

もう一つ、共通する要素として気がついたのが、ハザリーの解放の場面と、寅次郎拉致の場面。

寅次郎は介護士の長峰と施設長の寺島という男女二人に拉致されました。一方のハザリーは解放されたとき二人の男女によって運ばれていました。

ハザリーは庭から意識を回復した場所までどうして運ばれたか。これも永久の謎として残されるところであったが、幸いにして庭の軟かい土がいとも明瞭に説明してくれた。彼は二人の人物——著しく小さい足の持主と、なみはずれて大きい足の持主によって運ばれていた。思うにあの痩せた男よりも図太さと凶悪さにおいていくぶん劣るむっつり屋の肥った男が、女を手つだって、危くない場所まで運んで棄てたものだろう。(「技師の親指」(心療文庫)より)

 

そして、極めつけなのがこちら。

 

銀次の親指!

 

 

プライオリ学校からも

先週の予告から、ネタが登場しそうな匂いがプンプンしていたのが、「プライオリ学校」。

いくつかはプライオリ学校の要素はあったと思われます。

先週も書きましたが、寅次郎拉致現場のタイヤ跡と足跡は、同じ誘拐事件のプライオリ学校でも見られます。

 

沼地の低い部分に、泥ふかいこみちがあって、それに近づいたホームズが歓声をあげたので、見るとこみちの中央に電話線を束ねたような跡が残っている。パーマー製のタイヤの跡である。
「ハイデッガー君だよ。僕の推理は相当なものじゃないか、ワトスン君」ホームズは満悦である。
「お手柄だよ」 「いや、まだまだ。途は遠きにありだ。こみちをよけて歩いてくれたまえよ。この跡をたどってみよう。この跡はそう遠くまで続いてはいまいと思うけれどね」
 だが、この付近は水気の多いところがちょいちょいあって、時に轍のあとを見失いはしたけれど、すぐその先につづきを発見するのだった。 「ワトスン君、このへんはスピードを出して走っているが、わかるかい? まちがいない事実だよ。その跡を見たまえ、両車輪ともはっきり出ているだろう? ほとんど同じ深さの溝になっている。これはね、スピードを出すために上半身を伏せて、ハンドルに重みをかけた場合のみに起こる現象なんだ。おや、転んだな!」
 そのあたり何ヤードかは、幅ひろく不規則に泥が乱れていて、つづいて足跡が二つ三つあり、その先が再びタイヤの跡になっていた。
「横すべりしたんだね」と私。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

獅子雄は草の倒れ具合から車の向かった方向を推理しましたが、ホームズもタイヤの跡から方向を推理する場面もありました。

この車輪の跡は、学校の方から来ているね」
「学校の方へかもしれないよ」
「それは違うよ。この深いほうの跡が、体重のかかる後車輪だが、この通り前車輪の浅い跡に重なって、それを消している場所がいくつもあるだろう。だからこれは学校のほうから来ていることは間違いないのだ。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

また、今回は獅子雄は付近のホームレスの皆さんに聞き込みをして不審な車は見なかったということを聞き出しています。

プライオリ学校では、立ち番の巡査から証言を得ていました。

ところが不思議な幸運で、その晩この道を通った者が、ある程度調べあげられるのだ。というのは、いま僕のパイプのさわっているこの点に、その晩十二時から六時まで、巡査が一名立番していたのだ。このとおり学校から東へいって、第一の横町のある場所だが、この巡査が、勤務中一刻といえどもこの地点を離れなかったけれど、子供も大人も、一人も人は通らなかったというのだ。現にその巡査に会ってきたが、十分信頼のできる人物だった。だからこっちはこれで問題はない。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

また、プライオリ学校では、行方不明現場にはジプシーもいたのですが、ジプシーと今回河原にビニールシートの家を作っていたホームレスのおじさん達も似た要素と言えるでしょうか。

「ついに手掛りがありました。とうとう手蔓になるものが見つかりましたよ。これがあの少年の帽子です」
「どこにあったのですか?」
「ジプシーの荷車のなかです。荒れ地にはジプシーがキャンプしていましたが、火曜日にどこかへ行ってしまいました。警察がきょうその行くえを突きとめて、家財運搬用の荷車を調べたら、これが出てきたのです」(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

最後に獅子雄が見つけたお金から200万円という大金をせしめましたが、これもプライオリ学校の最後に大金を得たホームズに少し似ているかもしれません。

 

その他に気がついたところ

今回はいろいろと要素が多くて楽しめた回でしたが、他にもはっきりとではありませんが、連想できそうな要素もいくつかありました。

 

寅次郎は右手の親指の×印の入れ墨をしていましたが、老人が入れ墨をしているというのでは、グロリア・スコット号事件のトレバー老人が思い浮かびます。ホームズに入れ墨からの推理を聞かされ失神してしまいます。

『わけもないことですよ。ボートへ魚をあげるため、あなたは片袖をまくりあげたことがありますね。あのときひじの曲りめに、J・Aという字が刺青してあるのが見えました。それが、読めることは判然と読めたのですが、文字のぼやけていることといい、そのへんいったいの皮膚が引きつれになっていることといい、その刺青を消そうとなすったことがわかりました。それで、この頭文字の人と一時は親しくしていらしたが、あとではその人の名さえ忘れてしまいたくおなりになったことがわかります』(「グロリア・スコット号」(新潮文庫)より)

 

寅次郎がとらわれていた場所で、猿の鳴き声を聞いたと言っていますが、これは「這う男」を連想させるとの声も。

 

類人猿の血清のほうが好結果を来すものと考えられますが、過日も申しあげたように、材料入手の便宜上黒面の尾長猿を使用することにしました。もとより尾長猿が木登りをし、地上では匍伏前進するのに反し、類人猿は直立歩行するくらいで、より人類に近いものです。(「這う男」(新潮文庫)より)

猿つながりでは、「まだらの紐」のロイロット氏も庭にヒヒを飼っていたことが思い出されます。

 

冒頭、若宮君のプリンを獅子雄が食べたのではと疑うと、獅子雄は習慣と思い込みについて若宮を諭しています。習慣化して気がつかないという点で言うと、ホームズの観察の話にも少しつながるかと思い起こしました。

「君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ。たとえば君は、玄関からこの部屋まであがってくる途中の階段は、ずいぶん見ているだろう?」

「ずいぶん見ている」

「どのくらい?」

「何百回となくさ」

「じゃきくが、段は何段あるね?」

「何段? 知らないねえ」

「そうだろうさ。心で見ないからだ。眼で見るだけなら、ずいぶん見ているんだがねえ。僕は十七段あると、ちゃんと知っている。それは僕がこの眼で見て、そして心で見ているからだ。(「ボヘミアの醜聞」(新潮文庫)より)

若宮君も、プリンが何個あったのか見ているだけで観察していなかった、ということで丸め込まれてしまいました。

 

あとこんな連想も。

 

次週への期待

さて、いよいよ「シャーロック」も終盤になってきました。

来週のモチーフとなる「語られざる事件」は、予告からかなり明らかになっています。

死んだ二人の男のそばにあったというライオンの写真、その裏のメッセージに、「赤い蛭」という文字が見えました。

 

「金縁の鼻眼鏡」では次のように登場しています。

一八九四年の一年間に私たちのなしたる仕事を記録した、かさばった三冊の手記を手にとってみて、かくも豊富な材料のなかから、どの事件をえらびだせば、はたして読者諸君にもっとも興味があるだろうか、そしてまた、私の友のあの異常な才能をいちばんよく示しうるだろうかと、じつは私も少なからず困難を感じるのである。ページをくるに従って、私はまずあの忌わしい赤蛭の事件だの、銀行家クロスビーの惨死事件だのの記録を発見する。それからまたアドルトンの悲劇や、イギリス古代塚の奇怪な物語などもこのなかに記載されているのである。あの有名なスミス・モーティマーの相続事件もこの年のことである。ブールヴァールの刺客ユーレ追跡ならびに逮捕の顛末もまたしかりである。

赤蛭の事件は忌まわしいものだったようですが、細部については明らかにされていません。

語られざる事件が列挙されていますが、ちょっと気になるのがスミス・モーティマーの相続事件。次回の被害者(?)の一人が柴田雅樹ということで、頭文字が一致しています。何か相続関連の背景があるのかもしれません。

 

また、その他のキーワードとしてはライオンがあります。獅子雄の名前にも関連していますので気になります。

 

そして、予告で書かれているヴィジュネル暗号。

 

暗号が出てくる話もたくさんありますので、獅子雄がどんな解読をするのか楽しみ。

 

最後に、次の登場人物、亜蘭世津子=SA。

 

アランとモランの語感から、モリアーティの腹心であるセバスチャン・モラン大佐にあたるのが亜蘭世津子なのかもしれません。

こちらも楽しみです。

 

Tomo’s Comment 

今回も海外に出張中、かつ、うちの録画機が録画中は放送中の番組を遠隔で見られないということで、録画が終了した直後に市長と言うことになりました。

ネットが遅く、画質・音声も荒かったので、なかなか細部まで気がつきませんでしたが、今回は原作要素がかなり登場してきて、見ていて楽しかったのですが、それ以上にストーリーとしても、引き込まれる要素がありました。

次回以降守谷グループとの本格的な絡みが始まりそうですので、シリアスな展開に入る前のほっこりしたエピソードと言うことで、緩急がついてよかったと思います。

残りはおそらくあと4回。引き続き楽しみにしていきたいと思います。

 

今回もTweetを引用させていただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

前回までのまとめはこちら

新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる

アイリーン登場?新月9ドラマ「シャーロック」第二話もシャーロッキアン的に見てみる

早くも黒幕の影が!新月9ドラマ「シャーロック」第三話もシャーロッキアン的に見てみる

キーワードは失踪でなく橋?月9「シャーロック」第四話をシャーロッキアン的に見てみる

「マーゲートの婦人事件」がモチーフ。月9「シャーロック」第五話をシャーロッキアン的に見てみる

カナリア調教師ウイルソンが登場。月9「シャーロック」第六話をシャーロッキアン的に見てみる

 

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【#月9でシャーロック】カナリア調教師ウイルソンが登場。月9「シャーロック」第六話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第六話

ディーン・フジオカ、吉川愛、岩田剛典、(C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

 

いよいよ後半にさしかかってきた月9ドラマ「シャーロック」。

しばらく出てこなかったモリアーティ(守谷)の影もちらつき初めて、終盤に向けて盛り上がってきました。

ドラマのあらすじや感想は他のサイトにお任せして、こちらでは、いつもどおり原作であるシャーロック・ホームズの元ネタについて考察していこうと思います。

 

モチーフとなった語られざる事件

前回の記事でも予測したように、カナリアが登場した時点でほぼこれしかないという感じでした。

 

「黒ピーター」事件で言及されている「名うてのカナリヤ教練師ウィルソン」の事件が今回のモチーフとなっていました。

登場場面を再度おさらいしますと、下記のように言及されていました。

この忘れがたい一八九五年には、枢機卿トスカの急死に関する彼の有名な研究——これはローマ法王聖下の特別要求によって手をくだしたものであった——につづいて、名うてのカナリヤ教練師ウィルソンの逮捕——これはロンドンの貧困街の癌を除去するものだった——と、実に奇妙な事件が連続的にホームズを忙殺したものだったが、この二つの有名な事件に引きつづきやってきたのがウッドマン・リーの惨劇である。(「黒ピーター」(新潮文庫)より)

 

モチーフからある程度予測していました。

 

結末まで描かれませんでしたが、おそらく宇井が逮捕されたであろうこと、宇井の出身大学(勤務先もでしたっけ)が東端大学、東の端=イーストのエンド、留学先がイーストロンドン大学だったのも関係しているかと思います。

調教=刷り込みで、宇井が彩香にニセの記憶を刷り込んでいたのかと思ってましたが、結末でどんでん返しがあって、いい意味で裏をかかれました。

ただ、元々のウィルソンの事件で、「ウィルソンの逮捕——これはロンドンの貧困街の癌を除去するものだった」とあったので、宇井がやろうとしていた忘れたい記憶を取り除く、というのと関連しているように思いました。

 

黒ピーターの要素

回にもよるのですが、語られざる事件が触れられている事件から、いろいろなネタがとられているケースがあります。(特に第二話とか四話とか)

今回も黒ピーターの事件からいろいろな元ネタを探すことができました。

まずは、黒ピーター事件の別名、ウッドマン・リーの惨劇。

彩香の父親が務めている製薬会社の名前がウッドマンズ製薬。

ということで、黒ピーターネタが登場。

 

黒ピーターの冒頭で、ホームズが槍を持って帰宅して、ワトソンに驚かれている場面があります。ホームズが何をしていたかというと、人間が銛で串刺しにされて死んでいた事件で、銛で人を貫くのがどれぐらい大変か、豚に実際に銛を刺して検証していたのです。

私がひとりで食事をしているところへ、のっそりと帰ってきた。見れば帽子も被ったままで、縹のある大きなやりをコウモリがさのように小脇にかいこんでいるのである。
「どうしたんだ、ホームズ君! まさか君はそんなものを持って、ロンドン市中を歩きまわったんじゃあるまいね?」
「肉屋まで馬車で行ってきたのさ」
「肉屋へ?」
「おかげですっかり腹がへったよ。やっぱり朝飯まえの運動はすばらしく効果的だね、ワトスン君。僕は賭けてもいいが、どんな形式の運動だったか、君にはわかるまいよ」
「賭けようたって、かいもくわからないよ」
 ホームズはくすくす笑いながらコーヒーをついで、
「いまかりに、君がアラーダイスの店の奥をのぞけたら、上衣をぬいだ紳士がこのやりをとって、天井のかぎにつるした死んだ豚を、夢中になって突き刺しているのが見られたんだがね。その元気旺盛な紳士がすなわちかくいう僕さ。おかげでどんなに気ばってみても、ひと突きでは豚を刺し通せないのがわかって、僕は満足した。(「黒ピーター」(新潮文庫)より)

このシーン、ちょっとデフォルメされて今回の「シャーロック」にも登場していました。

 

獅子雄が突然中国語で叫ぶシーンなのですが、豚の記憶を持つ中国の少年の台詞だったのでした。

この槍をもって帰ってくるシーンというのは、とても印象的なので、こうした形で使われているというのは、なかなかシャーロッキアン心を分かってるなという印象です。

 

あとちょっと細かいのですが、彩香の母親の出身が黒松女子学院。黒=ブラックというところは気がついたのですが、さらに進めるとこんな推理も。

 

毎回のテーマカラーで獅子雄が冒頭にタイトルをペンで書くのですが、今回は紫でした。そこからこんなアイデアも。

 

その他の原作要素

ということで、今回の語られざる事件の登場していた黒ピーターからのオマージュが多かったのですが、その他の原作ネタと言うことで、次のようなことも。

 

「高名な依頼人」事件というのは、ヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢が悪名高いグルーナー男爵と婚約したのに反対しているさる高名な依頼人から、ホームズに調査の依頼のあった事件。

その調査の一環で、陶磁器好きのグルーナー男爵に近づくために、ワトソンが陶器の勉強を必死にして、バートン博士として乗り込む場面がありました。

「大丈夫、会うよ。彼のコレクションマニアは病膏肓にはいっているほうだからね。それも陶磁器ときたら人からも権威を認められているくらいなんだ。(「高名な依頼人」(新潮文庫)より)

 

専門家として売り込むというのは、陶磁器の専門ということで次のようなホームズの提案でした。

君がコレクターであること、偶然この逸品を手に入れたこと、男爵も同好の人と聞いて来たが、値段によっては譲ってもよいと申しいれるのだ。(「高名な依頼人」(新潮文庫)より)

 

さらにいうと、ヴァイオレットが今回のテーマカラーの紫とつながるとの指摘も。

 

獅子雄が若宮君をエキスパートとして売り込む場面で、「若宮は精神科医の資格を持っています」といい、若宮君が医師資格証を見せる場面がありました。(予告でもでてきたので気になっていたて、みなさんにいろいろと教えてもらっていました。実際は医師会の発光するもののようですが、こちらでは日本第一医師会が発行したもののようで、デザインがちょっと違っていました。)

そこに書かれている若宮君の誕生日、1988年8月7日。これについてこんな指摘が。

ワトソンの誕生日については、正典には一切記されていませんが、著名なシャーロッキアンであるベアリング・グールドによれば、1852年8月7日とされています。

生まれた年については、ワトソンが1878年に医学博士号を取得したことからある程度逆算できます。

一八七八年にロンドン大学で医学博士の学位をとった私は、軍医としての必須科目をおさめるため、ひきつづきネットリの陸軍病院へと進んだ。そしてそこで修業を終了してから、順調に第五ノーサンバランド・フュージリア連隊付の軍医補に任命されたのである。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

ちなみに、これはワトソンが学業優秀で落第などしなかった場合と言うことで、もう少し前に生まれたという反論もあるのですが。

 

一方、誕生日については特に根拠となる記載はありません。「四つの署名」で、ワトソンが昼からワインを飲んでいるシーンがあり、この日に誕生日を祝っていたとする説がありますが、この日自体が明確でなく、7月7日説と9月18日説があるため、はっきりとはしていません。

彼の偉大なる力、悠々たる態度、それに、しばしば見せつけられたすばらしい手なみは、彼にさからうのをつい遠慮がちに、控え目にさせる。
 ところがその午後はどういうものか、昼食のときに飲んだボーヌ・ワインのせいか、それとも彼のあまりに悠長な態度についむかむかしたためか、私は我慢がしきれなくなった。(「四つの署名」(新潮文庫)より)

私なども仕事じゃない日は昼からワインを飲むことはあるのですが、この頃は珍しいことだったのでしょうか。

 

6月7日説についてはホームズ・クラブのEさんの研究によれば、グールド自身の誕生日だったからとのこと。

 

次週への期待

今回から、開始前に予告された5つ以外の「語られざる事件」が登場してきており、予測が難しくなってきました。

今回はカナリアという分かりやすいキーワードがありましたが、次回については明らかなものはありません。

次回の話、フジテレビの情報サイトの次回ゲストのインタビューの下に次のような内容が書かれていました。(公式の方にちゃんとここまで細かく書いてほしいものです。)

仕方なく若宮が、獅子雄として虎夫の依頼を聞く。虎夫の依頼は行方不明になった祖父、寅二郎(伊武雅刀)探し。虎夫も探すと河川敷に寅二郎が持ち歩く小袋を発見していた。本気で取り合おうとしない若宮に、虎夫は本物の獅子雄を出せと迫る。すると、うそを見抜いた虎夫に、若宮より賢そうだと獅子雄。そして、小袋の中を確認した獅子雄は、寅二郎は危険人物かもしれないと、虎夫に発見場所に案内するよう促す。小袋の発見場所には、三人分の足跡が残されていた。しかし、途中で二人に。タイヤ痕もあることから、寅二郎は二人組みに襲われ車で連れ去られたと推測される。だが、付近のホームレスたちは不審な車は見なかったと証言。(「とれたてフジテレビ(https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/20195694.html)より)

 

誘拐とタイヤ跡というキーワードから思いつくのが、「プライオリ学校」の事件。

 

プライオリ学校の事件は誘拐されたのは息子で、第7話は祖父という違いがありますが、誘拐事件という共通点。

「あなたはあのホールダーネス公爵のたった一人の令息の誘拐事件をまだお聞きじゃありませんか?」
「えッ、あの前内閣閣僚の?」(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

 

さらにタイヤ跡と足跡いうキーワードも登場しています。

沼地の低い部分に、泥ふかいこみちがあって、それに近づいたホームズが歓声をあげたので、見るとこみちの中央に電話線を束ねたような跡が残っている。パーマー製のタイヤの跡である。
「ハイデッガー君だよ。僕の推理は相当なものじゃないか、ワトスン君」ホームズは満悦である。
「お手柄だよ」 「いや、まだまだ。途は遠きにありだ。こみちをよけて歩いてくれたまえよ。この跡をたどってみよう。この跡はそう遠くまで続いてはいまいと思うけれどね」
 だが、この付近は水気の多いところがちょいちょいあって、時に轍のあとを見失いはしたけれど、すぐその先につづきを発見するのだった。 「ワトスン君、このへんはスピードを出して走っているが、わかるかい? まちがいない事実だよ。その跡を見たまえ、両車輪ともはっきり出ているだろう? ほとんど同じ深さの溝になっている。これはね、スピードを出すために上半身を伏せて、ハンドルに重みをかけた場合のみに起こる現象なんだ。おや、転んだな!」
 そのあたり何ヤードかは、幅ひろく不規則に泥が乱れていて、つづいて足跡が二つ三つあり、その先が再びタイヤの跡になっていた。
「横すべりしたんだね」と私。(「プライオリ学校」(新潮文庫)より)

周囲の人が見てなかったというのは、プライオリ学校でも近くに待機していた巡査が何も見ていなかったと証言していました。

 

プライオリ学校に登場している「語られざる事件」は、二つ。未解決のファラースの証書事件と公判も近く始まるアバゲヴニの殺人事件となります。

開かずの金庫が登場するので、もしかしたら証書が入ってるという可能性はあるかもしれません。

上記の伊武雅人さんのインタビューでは、今回は殺人事件は起こらないとのこと。ただし、殺人予告はあると次回予告でトランプのシーンで江藤警部が言ってましたので、アバゲヴ二の殺人事件の可能性もわずかながらあるかもしれません。

 

 

金庫破りというキーワードからは、次のような説も。

ヴァンダビルドの金庫破りというのはホームズの自作ファイルのVの項目にある事件という意外にはどのような事件だったのか分かっていません。

 

金庫破りで、しかもバディだったということも言っていました。しかも、昔失敗をやらかしたとのことも。このキーワードからは、二人組の金庫破りと言うことで、「株式仲買人」に登場する「ベディントンといって兄とともに有名な偽造および金庫破り常習者」が思い浮かびました。

残念ながら、株式仲買人に登場する語られざる事件はなさそうです。

 

あと、次回登場人物名からこんな推理も。

 

たしかに、凄腕の金庫破りに開かずの金庫を開けさせようという構図は「義姉の親指」と似ているかもしれません。もしくは、「ギリシア語通訳」も、人から話を聞き出すという点と、誘拐に近い形で連れて行かれてしまったところも似ているかも。

 

さらに登場人物名からはこんなことも。

 

Tomo’s Comment 

今回は、フィジーに出張中の放送だったこともあり、週末の記事執筆となってしまいました。

フィジーでも家にある録画機のDIGAで録画しながら遠隔でリアタイ視聴できるはずだったのですが、二つある内蔵チューナーの一つが「シャーロック」、もう一つ裏で「吉田類の酒場放浪記」を録画していたこともあり(というかすっかり忘れていたのですが)、チューナーが二つ埋まってしまっていたため、リアルタイムで視聴できませんでした。

録画終了後、つまり一時間後から見始めたのですが、フィジー時間は日本プラス4時間なので、本放送が午前1時からということは見始めたのは午後2時から。時差ぼけしていたので眠くはなかったのですが、翌日朝から仕事で少しつらかったです。

フィジーから戻ってきたのですが、まだすぐに出張のため、次回第7話も海外で視聴予定。今度はマイナス4時間。本放送が現地の午後5時というとおそらくまだ仕事していると思われ、次回もリアタイは難しいかもしれません。

極力Twitterの#月9でシャーロックは見ないで、録画を見ながらつぶやいていきたいと思います。皆さんより周回遅れでつぶやいていますので、的外れなつぶやきもあるかと思いますが、まだ見終わってないと言うことで温かく見守っていただけたら幸いです。

 

今回もTwitter引用させていただいた皆様、ありがとうございます。

元ネタで書き漏れがありそうでしたら、#月9でシャーロック でつぶやいていただければと思います。(特に今回急ぎで書いたこともあり、書き漏れがありそうですので。)

 

今回は守谷も再登場してきて、後半にかけて盛り上がってきました。そして、SAというイニシャルの人物がなかなか特定できずもやもやしています。

私としては、最終回まで守谷の登場の仕方はあまり大きくせずに、徐々に露出させていってもらい最終回とその前あたりで一気に盛り上げてもらいたいと思っています。(そして、「シャーロックの帰還」という次回シリーズにつなげてもらいたい。)

 

前回までのまとめはこちら

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【#月9でシャーロック】「マーゲートの婦人事件」がモチーフ。月9「シャーロック」第五話をシャーロッキアン的に見てみる

シャーロック アントールドストーリーズ第五話

岩田剛典、 ディーン・フジオカ、(C) フジテレビ (画像クリックで公式へ)

 

第五話と言うことで折り返し地点まで来た月9ドラマ「シャーロック」

獅子雄と若宮君の同居生活や共同捜査もだんだん板についてきたようです。

今週はホームズ原作要素が薄かった気がしますが、気がついたことをまとめておきたいと思います。

ドラマも原作もネタバレありですので、ドラマを見てからお読みいただくことを推奨しております。

 

今週の語られざる事件は「マーゲートの婦人事件」

事前に取り上げられると予告されていた五つの「語られざる事件」ですが、第五話と言うことで残った一つが「マーゲートの婦人」事件。

こちらの事件は、「第二の汚点」という事件簿の中で登場している「語られざる事件」

こんな風に出てきています。

「とはいうものの、女の考えることばっかりはわからないものでねえ。同じ理由から僕が疑惑を抱いた『マーゲートの女』の事件を覚えているだろう? 鼻の頭に白粉をひとはけもつけていない女——結局それが正解だとわかったが……何といっても流砂のうえに家は建てられないじゃないか。女はほんの些末な動きの中に、大きな意味があったり、とんでもないことをやらかすから、調べてみたらヘヤピン一本のためだったり、カール鏝のためだったり、まったくわからないものだよ。(「第二の汚点」(新潮文庫)より)

 

事前の情報では、登場人物は、パワハラを受けていた建築士とその母親、パワハラをしていた上司、となっており、この中で婦人にあたるのは、建築士の母である乾千沙子でした。

事前の予想ではこんなこともつぶやいてました。

 

結果的には殺人事件は起こっておらず、自殺した乾の遺体から血を抜いてパワハラ上司を陥れようとしていた母親乾千沙子という構図の事件でした。

 

「マーゲートの婦人」が今回のモチーフとなっていたのですが、それが明らかになった要素がいくつかありました。

一つ目は、乾千沙子の元職場だった病院の名称が、セント・マーゲート病院。マーゲートということで、そのものズバリでした。

それとマーゲート絡みだと、乾とパワハラ上司が務めていたのが松角建設。門がゲート、ということで松のマと合わせるとマーゲート?

 

もう一つ、「マーゲートの婦人」事件で分かっている数少ない事が、「鼻の頭に白粉をひとはけもつけていない女」。

ということで、私も注意して登場人物のお化粧について見ていたのですが、獅子雄が最後に「彼女、テレビの前ではまったく化粧してなかった。家では薄化粧してたのにな。」って指摘されるまで、気がつきませんでした。

乾千沙子がテレビに取材されていたときに、「疲れていたように見えた」と獅子雄が言ってたところでも気がつくべきでした。まだまだ観察が足りないと反省しております。

「それはそうさ」とホームズは巻きタバコに火をつけて、肘掛椅子にどかりと腰をおろしながらいった。「君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ。たとえば君は、玄関からこの部屋まであがってくる途中の階段は、ずいぶん見ているだろう?」

「ずいぶん見ている」

「どのくらい?」

「何百回となくさ」

「じゃきくが、段は何段あるね?」

「何段? 知らないねえ」

「そうだろうさ。心で見ないからだ。眼で見るだけなら、ずいぶん見ているんだがねえ。僕は十七段あると、ちゃんと知っている。それは僕がこの眼で見て、そして心で見ているからだ。(「ボヘミアの醜聞」(新潮文庫)より)

 

さらに、最後に獅子雄が言っていた台詞「すべての女性の心理は謎だ、分かろうとしてはいけない。」というのも、上で引用しているホームズの台詞に重なる部分が多いと思いました。

 

「第二の汚点」との関連

必ずしも毎回ではないのですが、「語られざる事件」が出てくる事件との関係があることがあります。

今回のモチーフである「マーゲートの婦人」事件が登場している「第二の汚点」事件。ここにも何か関係があるのかも、と思い再度読み返してみたりしました。

事件名にもなっているこの「汚点」の意味なのですが、ホームズが解決した事件では、血痕のことを意味していて、それが事件解決の鍵になりました。

今回のドラマでは、浴室とベッドの血痕の二カ所。

獅子雄の謎解きで、「寝室からバスルームに死体を動かそうとする場合、普通血液が飛び散るはずだ。」と言っていました。つまり、二カ所の血痕が独立していたということ。

このあたりは「第二の汚点」事件から来ている要素なのかもしれません。

それと、被害者の夫人が鍵を握っていたというところもやや関連あるかもしれません。

 

ちなみに、この「第二の汚点」事件、別の事件でちょっとだけ言及されていて、そのままだったら語られざる事件の一つになるところだった事件です。幸い、ワトソンが後に公表公表してくれたので、語られた事件になっています。

登場していたのは「海軍条約文書」の事件。

私の結婚直後の七月は、三つの興味ある事件があったので、私には思い出が多い。幸い私はこれらの事件にシャーロック・ホームズとともにとくに関係し、彼の探偵法を研究することができたのである。この三つは私の手帳には「第二の汚点」「海軍条約文書事件」「疲労せる船長の事件」という題目で記録されている。けれどもこのなかの第一の事件は、重大な利害問題に関することでもあり、かつイギリスの上流家庭の多くにからまる事件なので、ずっと後年にならなければ公表はできない。とはいうもののこの事件ほど、ホームズの分析的探偵法の真価を発揮し、また関係者にふかい感銘をあたえたものはなかった。(「海軍条約文書事件」(新潮文庫)より)

 

さらに、「黄色い顔」事件でも言及されています。

およそ彼の失敗したような事件が、余人に解決できようはずもなく、解決がないとすれば、話がしりきれトンボになってしまうからである。だが時として、彼は失敗したが、それでも真相は明らかになったという事件もある。そうした事件の記録を私は五つ六つももっているが、そのなかでは「第二の汚点」事件と、いまここに語ろうとしているものとの二つが、とくに興味がふかい。(「黄いろい顔」(新潮文庫)より)

ただ、「第二の汚点」事件は、ホームズが失敗したとは言えないため、こちらの言及はやや矛盾しているとも言えます。版によっては、失敗の例として「マスグレーブ家の儀式」となっているものもあるそうですが、こちらも明らかな失敗とは言えず、いずれにせよ微妙なところです。

 

あと、こんなご指摘もありました。

何かが動いていることから気がついたというところは確かに似ているのかも。

 

若宮君による獅子雄の性格診断

 冒頭で、若宮君がロールシャッハテストで、獅子雄を分析しようとしていました。

曰く、「研究対象としては興味深い」とのこと。

 

ワトソンも、同居を始めたごく初期に、ホームズがどんな人物なのか考察をしていたことがあります。

初期の限られた情報からの分析ですので、後に間違っていたこともあったのですが、ワトソンによるホームズ像とは次のようなものでした。

私は心のなかで、彼のとくべつよく知っていることを示した、いろいろの項目を数えあげてみた。そしてついには鉛筆をとって、紙きれに書きとめてみた。書きあげてみると、思わず微笑がうかんできた。その一覧表というのはこうである。
  シャーロック・ホームズの特異点
 一、文学の知識――ゼロ。
 二、哲学の知識――ゼロ。
 三、天文学の知識――ゼロ。
 四、政治上の知識――微量。
 五、植物学の知識――不定。ベラドンナ、阿片、その他一般毒物にはくわしいが、園芸に関してはまったく無知。
 六、地質学の知識――限られてはいるがきわめて実用的。一見して各種の土壌を識別。散歩後ズボンの跳泥を小生に示して、その色と粘度によりロンドン市内のどの方面で付いたものかを指摘したことあり。
 七、化学の知識――深遠。
 八、解剖学の知識――精確ではあるが組織的ではない。
 九、通俗文学の知識――該博。今世紀に起きた恐るべき犯罪はすべて詳細に知っている。
 一〇、ヴァイオリンを巧みに奏す。
 一一、棒術、拳闘および剣術の達人。
 一二、イギリス法律の実用的知識深い。
 ここまで書いてきて、私は失望してその紙を火の中に投げこんでしまった。「こんな才能の寄せ集めをやってみて、それでやっとこの男のやろうとしていることを発見したり、あるいはまたそういう才能を要する仕事がなんであるかをさぐり当てようとしたり、そんなくだらないことは早くよしたほうがいい」私はつぶやいた。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

 

性格分析とはやや違いますが、ホームズという人に興味を持ち、さらに知りたいという気持ちは、原作のワトソンと若宮君に共通する要素だなと思いました。

 

家賃の支払いについて

これも冒頭のシーンで、若宮君が獅子雄に、同居人なのにまったく家賃も生活費も払ってくれないとこぼす場面がありました。

原作のホームズとワトソンも、出会いのきっかけはルームシェアをする相手を探していたことにありました。

ワトソンは戦争に行った軍医で、負傷して帰国し、財産もなくなりつつあって同居人を探していたところ、たまたま出会った後輩から、同居人を探していたホームズを紹介されました。

このころのホームズも、探偵としては駆け出しの時代で、家賃を一人で支払うにはまだ収入が苦しかったようです。

そして、同居が始まり、数々の事件が記録されることになったのですが、家賃の支払いについては、この初期の状況とは大分変化があったようで、ホームズの名声が知れ渡るようになると、ホームズとしてはわざわざ家賃をシェアしてもらう必要もなくなりましたし、ワトソンはワトソンで結婚していったんはベーカー街の部屋を去ったりもしています。

その後、ワトソンにも紆余曲折があって、再度同居生活に戻るのですが、そのころにはホームズは家賃に困るようなこともなく、むしろワトソンの診療所を買い取るだけの財力もあったほどでしたが、ワトソンに帰ってきてほしかったホームズの気持ちもよく分かるエピソードとなっています。

これを話しているのは、ホームズがロンドンヘ戻って数カ月後のことであるが、私はそのころ彼の乞いをいれて、医院を売り払って以前にかえり、ベーカー街で再び彼と同居の生活をしていたのである。ケンジントンの私の小さな医院を買ったのは、ヴァーナーという若い医者で、私の切りだした売値を驚くほど素直に承諾した。これは数年後になって、ふとしたことからわかったのだが、ヴァーナーはホームズの遠い親戚にあたり、金も実際に出したのはホームズであったという。(「ノーウッドの建築士」(新潮文庫)より)

 

次に書いている「ノーウッドの建築士」でこのエピソードが語られているのはなかなか興味深いところですね。

 

被害者がいない事件

若宮君が、最初の方で

亡骸がなければ死と認められない

といっていました。

今回の事件も、致死量の血はあるのに死体がないというのが最大の謎となって、いろいろ憶測をさせる要素となっていました。

 

ホームズの事件でも、死体がない事件がいくつかありました。

その一つが「ノーウッドの建築士」。

こちらは、母親に恨みのあった男が、その息子に自分を殺したという濡れ衣を着せようとした事件。

今回の事件では、容疑者に恨みのあった息子を、容疑者に殺されたように偽装した母親の事件と言うことで、ちょっとひねって共通性があったようにも思います。

建築士というキーワードでも、乾貴之が建築士だったりとつながりがあるようにも思えます。消えた(偽装された)死体が建築士だったということも。

でも、むしろ乾貴之に似てるのは、濡れ衣を着せられそうになっていたマクファーレン君のほうかもしれません。

私は暴力犯の嫌疑をうけているというこの青年を、興味ふかく眺めた。亜麻色の髪、おどおどした青い眼、すべすべと髭のない皮膚、口もとのよわよわしく敏感な、疲れたような消極的な美しさをもつ青年であった。年は二十七くらいか、服装も態度も紳士であり、うすい夏外套のポケットからはみだした裏書き入りの書類が、その職業を物語っている。(「ノーウッドの建築士」(新潮文庫)より)

 

 

もう一つ、ちょっと似てると思ったのが「ショスコム荘」の事件。こちらは妹が死んでしまうと不都合がある兄が、妹の死を隠していたという事件でした。と、思い、再読してみましたが、親族の死を隠すという要素以上の共通点はなさそうでした。生きてると思わせる替え玉がいたというところぐらい?

 

首つり遺体の蘇生

今回の事件、母親が自室で首をつっていた息子を蘇生しようとする場面がありました。

これについてこんなツイートが。

 

株式仲買人事件は、株式仲買店員になりすましていた犯罪者の兄が、犯罪発覚を知り自殺を図ったというもの。この事件では、ドラマの乾貴之と違い、幸いにも命を取り留めています。

そのときの様子はこんな感じです。

ホームズはそのドアにとびかかって、ぐっと引きあけた。すると上衣とチョッキとがその床に落ちており、わが仏英金物株式会社の専務取締役は、自分のズボンつりを首にまいて、ドアの裏がわのかぎに首をつっているのであった。ひざを折りちぢめ、首を前へつきだし、両足のかかとでガタガタとドアをけっている。
 私はいきなりその腰に手をかけて、抱きあげた。するとホームズとパイクロフトが、なまりいろの皮膚にくいこんでいるゴム入りのズボンつりをはずした。それから一同で彼を別室へはこんで横たえた。その顔はすっかりスレートいろをていし、紫いろになった唇は、一息ごとにあえいでいる——五分まえまではぴんぴんしていたのに、いまは何という浅ましさだろう!
「助かるだろうか、ワトスン君?」ホームズの質問だ。
 私は早速かがみこんで、検ためてみた。脈はよわくて結滞があるけれど、呼吸はしだいに長くなってくる。糸のように細くあいた眼瞼は、かすかに震えていた。
「まさに危機一髪というところだったが、もう大丈夫だろう。ちょっとその窓をあけて、水さしをもってきてくれたまえ」
 私は彼の胸をひろげて、顔に冷たい水をそそいでやった。それから自然な力づよい呼吸をしだすまで、両腕を上下して人工呼吸をしてやった。(「株式仲買店員」(新潮文庫)より)

 

「両腕を上下して人工呼吸」っていうのはどういうことなんでしょうね?

 

犯罪コンサルタントの獅子雄

江藤警部が、獅子雄に対して、探偵としての腕の見せ所だよって言うと、獅子雄はそれを否定して、自分は探偵ではなく犯罪コンサルタントと言っています。

シャーロック・ホームズというと「探偵」の代名詞とも言えるわけですが、彼自身は自分を探偵と言うよりは、より上位の「顧問探偵」として自認していました。

緋色の研究でこのように言っています。

「そう、僕には独自の職業がある。この職業をもっているのは、おそらく世界中で僕ひとりだろうが、じつは顧問探偵なんだ。といっても君にはわかるかどうか。いまこのロンドンには国家の刑事や私立探偵がたくさんいる。これらの連中が失敗すると、みんな僕のところへやってくるので、僕は、正しい手掛りを得させてやるのだ。依頼者がすべての証拠を僕のまえに提出するので、僕は犯罪史の知識を利用して、たいてい正しい方向を指摘してやることができる。(「緋色の研究」(新潮文庫)より)

 

探偵ものを現代に置き換えると、捜査権はないし、そうなると手がかりも得られないし、非常に探偵を登場させにくい時勢になっているのですが、本作では、獅子雄を「犯罪コンサルタント」として、警察から正式に調査を依頼され手がかりにもアクセスできるという設定は、なかなか秀逸だと思いました。

実際に、このような立場の人がどれだけいるのか分かりませんが、専門家として捜査に協力を要請される大学の先生なども知っていたりするので、あながち非現実的とも言えないかと思います。

 

次週への期待

すでに予告されていた五つの「語られざる事件」は使い切ってしまいましたので、次週以降については予告の限られた情報から推測するしかありません。

メインテーマとしては、前世に犯した罪、ということかもしれませんが、そのような事件は「語られざる事件」では見当たりません。

予告でちらっと登場した小鳥がカナリアなのではないかとの憶測から連想されるのが、「黒ピーター」事件で言及されている「名うてのカナリヤ教練師ウィルソン」の事件。

この忘れがたい一八九五年には、枢機卿トスカの急死に関する彼の有名な研究——これはローマ法王聖下の特別要求によって手をくだしたものであった——につづいて、名うてのカナリヤ教練師ウィルソンの逮捕——これはロンドンの貧困街の癌を除去するものだった——と、実に奇妙な事件が連続的にホームズを忙殺したものだったが、この二つの有名な事件に引きつづきやってきたのがウッドマン・リーの惨劇である。(「黒ピーター」(新潮文庫)より)

 

すでに判明している登場人物に宇井という名前があり、ウィルソンのウィとういということで共通性がありますね。

 

いろいろ予測は立てられますが、今分かっている情報からはこんなところでしょうか。

 

記憶を操るというのに無理があれば、誰かをかばって嘘をついているとか。宇井の罪をかばうとか。ウィルソンの逮捕だから、宇井が何か罪を犯しているのは堅いように思いますが。

貧困街の癌をとりさるということだけど、病気の設定とかが出てくるのかな。

 

Tomo’s Comment 

ということで、第五話のホームズ原作要素をまとめてみました。

というつぶやきもあるように、ホームズ原作の要素はかなり薄くなっていますが(今回はこれまでと違う監督さんだったからかも)、そしてミステリーとしてはいろいろと説明が必要なところが多いのですが、ドラマとしては、非常によくできた内容となっており、心を動かされるシーンも多くありました。

母親の過剰な愛と、試練を乗り越えられるように育てられなかった父親の無念、誰も悪くないけどすれ違っていた家族に起こった悲劇(パワハラ野郎は悪いけど)ということで、最後は悲しさとやるせなさが残りました。(パワハラ野郎も罰せられてないし。)

シャーロッキアンとしては、要素が少なくなりつつあるのがやや寂しくもありますが、引き続き見続けていきたいだけのクオリティのあるドラマであることは間違いありません。

見続けたいと思うものの、実は来週の月曜日はフィジーにいる予定で、さらに次の月曜日はパキスタンの田舎にいる予定ですので、生での視聴が難しいかもしれません。

ネットや録画機を駆使して、なるべく早くブログも更新したいと思っております。

 

前回までのまとめはこちら

新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる

アイリーン登場?新月9ドラマ「シャーロック」第二話もシャーロッキアン的に見てみる

早くも黒幕の影が!新月9ドラマ「シャーロック」第三話もシャーロッキアン的に見てみる

キーワードは失踪でなく橋?月9「シャーロック」第四話をシャーロッキアン的に見てみる

 

当ブログではホームズについては次のようなカテゴリーであれこれ書いています

「ホームズゆかりの地」案内

ホームズ研究書

ホームズパスティーシュ

 

BBC “Sherlock”

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